ハイドン《天地創造》に感動!・・・東京都交響楽団@サントリーホール 2017.09.11
今日の演奏はそのアーノンクールの素晴らしい演奏にも匹敵する会心のものでした。独唱者、合唱団、オーケストラのすべてが素晴らしかったのですが、一番の立役者は指揮の大野和士でしょう。キャスティングも含めて、音楽作りのすべてが見事でした。正直言って、初めて、彼の素晴らしさを認識しました。前任者のインバルのカリスマ性の高さとはまた違ったタイプの音楽性を持っているのですね。特に声楽を含めた音楽への知的なアプローチが彼の持ち味なのかもしれません。今後、コンサート形式のオペラでも上演してくれればいいのではないでしょうか。
今日の公演は第2部第1場(第19曲)までが前半で、そこでいったん休憩が入りました。その前半を聴いただけでも素晴らしい演奏だと思いましたが、圧巻だったのは後半です。ハイドンの平明でかつ端正な音楽をとことん、丁寧に演奏してくれます。バリトンのディートリヒ・ヘンシェルも後半に体力を温存していたのか、後半冒頭から、力のはいった歌唱を聴かせてくれます。ソプラノの林 正子がハイドンの書いた優し気なメロディーを都響の美しい弦とともにしっとりと歌い上げてくれます。テノールの吉田浩之はある意味、日本人離れした、張りのある歌唱を前半から続けています。久しぶりに聴くスウェーデン放送合唱団は相変わらずの美しいハーモニーです。珍しく対向配置の都響は抑えた演奏ですが、両翼のヴァイオリン群の演奏は光っています。フルートの柳原佑介の音色も素晴らしいです。そして、これらをまとめ上げた大野和士の指揮が最高です。じわじわとハイドンの古典的な端正さを極めた演奏が心に響いてきます。第2部の最後を飾るハレルヤ・コーラスでいったん、頂点に上り詰めます。このあたりの迫力は晩年のハイドンならではのものですが、それを最高の形で示してくれた大野和士にも脱帽です。圧巻だったのは第3部です。ハイドンが書いた最高に美しい音楽、それは音楽による理想郷の実現ですが、大野和士を中心とした独唱者、合唱団、オーケストラの共同作業で天国的な世界を描き尽すことに成功していました。特にソプラノの林 正子とバリトンのディートリヒ・ヘンシェルによるアダムとイヴの素晴らしさと言ったら、うっとりというレベルではありませんでした。フィナーレのアーメン・コーラスは高揚し、最後にテンポを落として、アーメン、アーメンというあたりではもう鳥肌ものでした。古典派の究極の完成形を聴かせてもらいました。素晴らしく美しい音楽に深く感動しました。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:大野和士
ソプラノ:林 正子
テノール:吉田浩之
バリトン:ディートリヒ・ヘンシェル
合唱:スウェーデン放送合唱団
管弦楽:東京都交響楽団
ハイドン:オラトリオ《天地創造》 Hob.XXI:2
(第2部第1場(第19曲)の後で休憩)
再開した都響のサントリーホール定期演奏会の今後は大いに期待が持てそうです。
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