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偉大なる“平凡”・・・カヴァコス、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@横浜みなとみらいホール 2017.11.09

ブロムシュテットは別に特別な表現をしているわけではありません。たんたんと楽譜にしたがって、音楽を積み重ねていくだけです。90歳という年齢に達して、枯れた表現になっているのではなく、彼のスタイルは以前から、こうでした。平凡と言えば、平凡なのかもしれませんね。昔のsaraiなら、こういう演奏を聴いて、格別に感銘は受けなかったでしょう。ブロムシュテットが年齢を重ねたと言うよりも、saraiが年齢を重ねたということなのでしょう。音楽に対して、受容できる幅が広くなりました。ブロムシュテットの“平凡”はsaraiにとって、言わば、偉大なる“平凡”とでも言うのでしょうか・・・その何でもないような普通の演奏の底に深い精神世界が垣間見えるような感じです。後で触れますが、もちろん、フルトヴェングラーのような超天才指揮者のあり得ないような演奏があることは分かっていますが、それでも今日のようなシューベルトはなかなか聴けるようなレベルの演奏ではありません。
第1楽章はもうひとつの感じで始まりましたが、コーダに至っては大変な盛り上がりです。ここで誰も拍手しないのは当たり前とは言え、心の中では大拍手です。素晴らしかったのは第2楽章。これこそ、タイトルの通り、「ザ・グレート」です。(交響曲第6番ハ長調が小ハ長調で、この交響曲第8番ハ長調が大ハ長調と区別するために「ザ・グレート」と名付けられていることは分かっていますが、長さだけでなく、内容的にも偉大な作品だとsaraiは思っています。)シューベルトの長大な作品に対してよく言われるように、天国的な美しさが滲み出るような素晴らしい演奏です。うっとりという気持ちを通り越して、強い感銘を受けます。第3楽章も分厚い響きで迫力のある演奏です。トリオはまた美しい舞曲が魅惑的に響きます。そして、圧巻だったのは第4楽章です。これぞ、ロマンの極みという素晴らしい演奏です。シューベルトの面目躍如たる、懐かしくも美しいメロディーが次々と現れますが、その演奏はパーフェクトです。美しさだけでなく、わくわくするような生命感に満ち溢れています。来たるべきシューマンの交響曲やブラームスの交響曲の出現を予感させるような、ロマン派の交響曲の誕生を告げる内容に心が沸き立ちます。そして、感動のフィナーレです。とっても、とっても、満足しました。

前半のブラームスも素晴らしい演奏でした。カヴァコスのヴァイオリンが美しさと精神性の両面を兼ね備えていることに驚愕しました。以前聴いたときには、もっと荒っぽい表現で外面的な効果を強調していたような記憶があります(シマノフスキーのヴァイオリン協奏曲第2番だったので、作品の印象とごっちゃになったのかもしれません。)。今日は静謐な美しさが漂う見事な演奏でした。ブロムシュテットの音楽ともぴったり合っている感じで、大満足の演奏でした。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ヘルベルト・ブロムシュテット
  ヴァイオリン:レオニダス・カヴァコス
  管弦楽:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団

  
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲 ニ長調op.77
     ※ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(指揮:ブラームス・ヴァイオリン独奏:ヨアヒム)により1879年1月1日初演

     《アンコール》 J.C.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ短調 BWV1004より、第3曲サラバンド

     《休憩》

    シューベルト:交響曲 第8番 ハ長調D.944「ザ・グレート」
     ※ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(指揮:メンデルスゾーン)により1839年3月21日初演


今回の予習はシューベルトは以下のCDを聴きました。

 1951年 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音
 1979~81年 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデン ドレスデン、ルカ教会 セッション録音

フルトヴェングラーのCDを聴いて、腰を抜かしそうになりました。フルトヴェングラーの指揮するベートーヴェンの交響曲を上回るのではないかと思うような素晴らしさで、この曲の真髄を教えられました。天才シューベルトの音楽を天才フルトヴェングラーが演奏するとこうなるのねって感じです。シューベルトの底知れぬ魅力に今更ながら、目覚めました。音質も最高です(MEMBRANのフルトヴェングラー大全集(107枚))。ベートーヴェンの交響曲第9番はフルトヴェングラーが余人の追随を許しませんが、同様にこのシューベルトの交響曲第8番も最高です。すべてのCDを聴いたわけではありませんが、こんな演奏は誰にも真似できないでしょう。
ブロムシュテット指揮シュターツカペレ・ドレスデンのシューベルト交響曲全集は目下、saraiの一番のお気に入りのシューベルトの交響曲のCDです。今日のライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団はそのシュターツカペレ・ドレスデンに優るとも劣らないレベルの演奏だったのにびっくりです。

ブラームスは以下のCDを聴きました。

 1949年 イェフディ・メニューイン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ルツェルン祝祭管弦楽団 セッション録音
 1948年 ジネット・ヌヴー、ハンス・シュミット・イッセルシュテット指揮北西ドイツ放送交響楽団 ハンブルク・ムジークハレ、ライヴ録音
 1974年 ナタン・ミルシテイン、オイゲン・ヨッフム指揮ウィーン・フィル

フルトヴェングラーの演奏はやはり破格です。まるでブラームスの交響曲を聴いているようです。精神性の高い演奏でメニューインのヴァイオリンも格調が高いものです。世評に高いヌヴーのヴァイオリンは熱い演奏です。これ以上の濃厚なロマンはあり得ないでしょう。イッセルシュテット指揮北西ドイツ放送交響楽団も素晴らしいです。ミルシテインは彼らしい美しい響きですが、もうひとつ乗り切れていないかな。ヨッフム指揮ウィーン・フィルは美しい演奏です。

ところで、今日の演奏曲目はいずれもライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が初演したものです。凄いですね。さらに私事ながら、いずれの曲もsaraiの今年のヨーロッパ遠征で訪れた地で作曲されたものというつながりもあります。ブラームスはクラーゲンフルト近くの保養地、ヴェルター湖畔の町ペルチャッハで作曲されました。マーラーの作曲小屋がヴェルター湖畔にあるので訪れましたが、ついでにヴェルター湖の観光船に乗って、このペルチャッハも訪れました。ただ、真夏の盛りで暑かった! シューベルトはザルツブルク近くのチロルの温泉地バート・ガシュタインで作曲されました。saraiはそんなことは今日まで気が付きませんでした。単にチロルの温泉に入りたかったので訪れたんです。大変、風光明媚なところでした。いずれも偶然です。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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