ティーレマン+ウィーン・フィルのベートーヴェン交響曲チクルスへの助走:交響曲第7番②ウィーン・フィル以外2回目
なお、予習に向けての経緯はここ。
交響曲第1番についてはここ。
交響曲第2番についてはここ。
交響曲第3番《英雄》についてはここ。
交響曲第4番についてはここ。
交響曲第5番《運命》については1回目はここ、2回目はここ、3回目はここ。
交響曲第6番《田園》については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第7番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここ、5回目をここ、6回目をここ。
交響曲第8番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ。
交響曲第9番については1回目をここ、2回目をここ、3回目をここ、4回目をここに書きました。
(全予習が完了したので、全予習へのリンクを上記に示します。参考にしてくださいね。)
今回は交響曲第7番イ長調 Op.92の2回目、ウィーン・フィル以外のCDのうち、1959年から1970年までの録音を聴いていきます。
では、録音年順に感想を書いていきます。
コンヴィチュニー、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 1959年録音
全集盤からの1枚です。
第1楽章、序奏からライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の素晴らしい響き。主部で、素晴らしいフルート独奏、そして、深い響きのトゥッティ、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の美しい演奏が続きます。悠然としたテンポですが、テンポの遅さを感じさせないほど、充実の響きです。演奏スタイルは実にオーソドックスなものです。ただ、ディテールの表情付けはきっちりとできています。
第2楽章、インテンポで淡々と進んでいきます。実に生真面目さが浮き出ている演奏です。そういう朴訥としたところに味わいが感じられます。誤解のないように言いますが、オーケストラの響きは実に美しいんです。
第3楽章、繰り返しがあるので、全体の演奏時間は長くなっていますが、テンポは速くて、きびきびした演奏です。深くて、切れのよい響きが耳に残ります。
第4楽章、怒涛のような迫力の響きが鳴り渡ります。推進力に満ちた演奏です。さらに終盤の迫力は凄いものです。とても熱い演奏です。
フリッチャイ、ベルリン・フィル 1960年録音
第1楽章、序奏、ベルリン・フィルの各パートの響きが素晴らしいです。主部、トゥッティで奏される主題が颯爽として素晴らしく感じます。終始、安定した演奏が繰り広げられます。
第2楽章、静かに波紋が広がっていくような静謐な演奏。実に見事な演奏ですし、そして、表現力が優れています。
第3楽章、ゆったりと明確なリズムを刻む、張りのある演奏。
第4楽章、悠然として、彫りの深い音楽。アクセントが明確で切れもよい演奏です。終盤、息も継がせぬ展開は素晴らしいものです。
バーンスタイン、ニューヨーク・フィル 1964年録音
バーンスタインの旧盤の全集からの1枚です。ウィーン・フィルとの全集に先立つこと、20年以上も前の録音です。saraiが初めて購入した第7番のLPレコードがこの演奏でした。第7番と言えば、この演奏が刷り込まれています。久しぶりに聴いてみましょう。なお、バーンスタインはファイナルコンサートでボストン交響楽団とこの第7番を演奏し、CD化されています。これも素晴らしい演奏でした。
第1楽章、序奏、意外に重量感のある表現。主部、これは素晴らしいです。颯爽としたレニーらしい演奏です。提示部は繰り返します。繰り返しの提示部はさらに颯爽として素晴らしいです。テンポは意外に普通で落ち着いています。
第2楽章、低弦のはいりがとてもいいです。そのため、高弦へのバトンタッチがスムーズです。悲しみを湛えた、何とも言えない、郷愁を帯びたような音楽です。若きバーンスタインの思いは何だったんでしょうか。
第3楽章、明快な演奏。繰り返しがあります。
第4楽章、最初から気魄が伝わってきます。素晴らしいとしか、言いようがない音楽が続きます。トスカニーニを少し、柔らかくしたような演奏で、息を継がせぬ緊迫感は同じです。高揚感を味わえる素晴らしい演奏です。感動!!
カザルス、マールボロ祝祭管弦楽団 1969年録音
カザルス、初登場です。チェロの巨匠も晩年は指揮者としても活躍しました。
第1楽章、序奏は他の演奏とは異なる独特の歌い回し。かなり、ゆっくり目です。主部にはいり、音楽は整然として進んでいきます。自然な表現が印象的です。
第2楽章、心穏やかな音楽です。永遠の平安を願うような気持ちが感じられます。温もりのある音楽です。終盤近くの弦楽合奏は見事な演奏です。室内楽的な魅力が感じられます。
第3楽章、細かくリズムを刻んでいくような独特の表現が見事です。かなり、アクセントを明確にした演奏です。この曲では、それがよく合っています。節回しも見事です。
第4楽章、歯切れよく、最初から、ガンガン鳴らしていきます。ちょっと平板に感じなくもありません。それでも、アクセントの強調された演奏は次第に熱を帯びていきます。コーダの盛り上がりは凄いです。力演です。
クーベリック、バイエルン放送交響楽団 1970年録音
これは全集盤ではなく、手兵のバイエルン放送交響楽団との録音です。現在、廃盤で入手の難しい演奏ですが、亡くなった叔父から譲られたLPレコードの中から見つけました。なお、全集盤はウィーン・フィルとの演奏なので、ウィーン・フィル編で取り上げる予定です。
第1楽章、伸びやかな序奏。強弱の幅の大きい、スケール感のある演奏です。主部、美しいフルートのソロ。続くトゥッティも伸びやかで素晴らしいです。爽やかで瑞々しい美しい演奏にうっとりします。素晴らしい音楽に感動します。
第2楽章、風格漂う美しい演奏。あくまで自然な表現です。インテンポで貫かれた素晴らしく充実した音楽です。
第3楽章、きびきびと躍動感のある演奏です。そして、トリオでの繊細、かつダイナミックな表現は見事。
第4楽章、速いテンポで流麗、かつダイナミックな音楽が進行していきます。スリリングな緊張感のある熱い演奏です。そして、感動のフィナーレ。凄い名演です。廃盤なんて、もったいない演奏です。
次回はこの交響曲第7番のウィーン・フィル以外の演奏、1971年以降の録音を聴きます。
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