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気宇壮大なロマンのメンデルスゾーン:クァルテット・アロド@鶴見サルビアホール 2017.12.13

今日で今年の室内楽のコンサートもおしまい。それにふさわしい素晴らしい演奏でした。今日演奏したクァルテット・アロドは若手のグループでもあり、初聴きなのであまり期待もせずに出かけましたが、特に後半のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第4番の溌剌として、壮大なロマンに満ちた演奏に大きな感銘を受けました。変な言い方になりますが、恐いもの知らずのような、思いっ切りのよい演奏が素晴らしかったんです。メンデルスゾーンの若さにあふれたロマンティックな音楽とクァルテット・アロドのチャレンジャブルな演奏が見事にマッチして、素晴らしい結果になりました。とりわけ、両端の第1楽章と第4楽章のメロディアスな音楽と激しい動きのアクティヴな音楽が交錯する様は感動的なものでした。第3楽章の抒情的な音楽も素晴らしかったですけどね。

実は前半のプログラムのモーツァルトの弦楽四重奏曲 第15番の第1楽章を聴き終ったところでは、がっかりしていたんです。響きも音楽の流れも少しもよくはなくて、今日はひどいコンサートになりそうだと思っていたんです。それが緩徐楽章の第2楽章にはいると、響きがよくなり、あれっという感じ。第1楽章は軽快さが足りなかったのかなと首を捻っていたら、第3楽章以降は響きも音楽の動きも格段によくなります。どうやら、この聴衆100人という世界でも稀有な室内楽専用ホールの空気をつかめていなかったのが、第2楽章からは徐々に空気感をつかめ出したようです。まだ、響かせ過ぎの感もありますが、若さと勢いという感じでどんどん飛ばしていきます。それはそれでいいでしょう。それが素晴らしい結果になったのが、ベンジャミン・アタイールの《弦楽四重奏のための「アスル(午後の礼拝)」》です。現代音楽にしては古典的とも思えるようなトナーリティの感じられる作品ですが、ともかく、ハイテンションな躍動に満ちた熱い音楽です。バルトークの攻撃的な面をさらに先鋭化したようなアクティヴさに圧倒されます。こういう音楽を聴くと気持ちが前向きになりますね。これに変拍子でも加えれば、室内楽のストラヴィンスキーみたいなものです。もちろん、激しいパートばかりの音楽ではありませんが、初聴きなので、熱いパートに耳が向いてしまいます。大変な力演に高揚感を抱いてしまいました。

そうそう、アンコール曲はメンデルスゾーンのカプリッチョだったんですが、チェロのサミー・ラシドがたどたどしい日本語!で曲名の紹介をしてくれました。これは大変、素晴らしい演奏でした。今日、最高の演奏だったように思えます。これが今年聴く最後の室内楽でしたが、大変満足しました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:クァルテット・アロド
    ジョルダン・ヴィクトリア vn   アレクサンドル・ヴ vn
    コレンティン・アパレイリー va   サミー・ラシド vc

   モーツァルト: 弦楽四重奏曲 第15番 K.421
   B.アタイール: 弦楽四重奏のための「アスル(午後の礼拝)」

   《休憩》

  メンデルスゾーン: 弦楽四重奏曲 第4番 Op.44-2

   《アンコール》
    メンデルスゾーン:「弦楽四重奏のための4つの小品」より、第3曲 カプリッチョ ホ短調 Op.81-3


最後に予習について触れておきます。
1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲 第15番は先日、聴いたばかりで、そのときに予習したのは以下の3枚です。

 ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1952年録音
 アマデウス弦楽四重奏団(全集盤) 1966年録音
 エマーソン・カルテット 1991年録音

今日はそのときに聴けなかった以下の2枚を聴きました。

 ハーゲン・カルテット(全集盤) 1995年録音
 ジュリアード弦楽四重奏団 1962年録音

ハーゲン・カルテットは一昨年、来日演奏でモーツァルト・ツィクルスを聴かせてくれましたが、CDはそのときほどの素晴らしさではありません。再録音が望まれます。一方、ジュリアード弦楽四重奏団は実に端正な演奏で、これぞモーツァルトという感じです。ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の名演にも迫る演奏です。これはハイドン・セットをすべて聴かないといけませんね。

2曲目のアタイールは予習すべきCDを持っていません。

3曲目のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第4番は以下を聴きました。

 エマーソン・カルテット(全集盤)

エマーソン・カルテットのCDボックス(51CD+ボーナスCD)の中に含まれています。他の演奏と同様にこのメンデルスゾーンも素晴らしく充実した演奏です。

これで今年もコンサートは3回を残すのみとなりました。今年もよく聴いた!!



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トナーリティとはどういう意味ですか?

No title

トナーリティは、調性という意味です。つまり、無調ではないということです。

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No title

コメントでトナーリティは一般的にトーナリティと表記する旨の指摘をいただきました。同様にノントナールもノントーナルと表記するのが一般的のようです。Toneはトーンと表記するのだから当然かもしれません。実は以前、バーンスタインが現代音楽に触れていて、当時、無調でないと現代音楽でないという風潮があったことを話した際、はっきりとトナーリティと発音していたので、それに従っていました。今後は表記をトーナリティ、トーナル、ノントーナルに改めます。混乱させたことをお詫びします。ご指摘ありがとうございました。
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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

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04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

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