クリスマスにはメサイアを・・・バッハ・コレギウム・ジャパン@サントリーホール 2017.12.23
ヘンデルのメサイアと言えば、最近、シュテファン・ツヴァイクの《人類の星の時間》の中の1章「ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルの復活」で読んだばかりです。脳溢血の後遺症から立ち直った53歳のヘンデルは音楽的創造力が枯渇していました。詩人ジンネンス(ジェネンズ)から送られてきた新しい詩が劇的にヘンデルの創造力を復活させます。24日間、不眠不休で書き続けて完成させた作品がメサイアです。書き上げた途端、ヘンデルは17時間、爆睡したそうです。そして、爆睡から目覚めたヘンデルは物凄い食欲で食べまくり、飲みまくったそうです。ヘンデルはこのメサイアを作曲できたのは神の啓示だと信じて、このヘンデルを復活させた作品からの都度の収入の500ポンドを施療病院に寄付したそうです。このメサイアはそういう特別な作品です。ヘンデルの最高傑作、記念碑的な作品です。
ヘンデルの特徴であるメロディアスな美しさ、骨組みのがっちりした力強さはもちろんですが、天上の音楽のような無私の精神性が貫かれていることが感じられる稀有な作品を鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの合唱と管弦楽、独唱陣が清冽な演奏で見事に演じ切ってくれました。高いレベルの安定性を持った演奏であったことが素晴らしいです。とりわけ、ヴァイオリンを中心とした弦楽パートの美しい響きが特筆されます。バッハ・コレギウム・ジャパンが演奏するバッハ作品の素晴らしさはいつも体感させられますが、ヘンデルでも同様ですね。そうそう、オーボエの三宮正満の音色も素晴らしかったです。合唱のソプラノパートと同じメロディも重ねて演奏したときのオーボエの響きに感服しました。独唱では、テノールの櫻田亮の抜け切った高音の響きが傑出していました。ソプラノの森麻季も相変わらずピュアーな歌声を聴かせてくれましたが、彼女ならもっと歌えたのではないかという感は残りました。CTのテリー・ウェイの歌唱も及第点ではありますが、感銘を受けるところまではいきません。
演奏的には冒頭のシンフォニーからテノールのレシタティーボ、アリアのあたり、ハレルヤ・コーラス、アーメン・コーラスはやはり、感銘を受けました。大変、聴き応えのあるメサイアをクリスマスシーズンに聴けて、満足しました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:鈴木雅明
合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
ソプラノ:森麻季
アルト(カウンターテナー):テリー・ウェイ
テノール:櫻田亮
バス:ドミニク・ヴェルナー
ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 HWV 56
1部と2部の間に《休憩》
《アンコール》
トラディショナル(鈴木優人編):いけるものすべて
なお、予習したCDは以下です。まことに美しい演奏で感服しました。
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団 1982年11月録音
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