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R.シュトラウス:町人貴族とツェムリンスキー:人魚姫 東京都交響楽団@サントリーホール 2018.1.10

今日の都響の定期演奏会はR.シュトラウスの組曲《町人貴族》とツェムリンスキーの交響詩《人魚姫》という、なかなか面白くて、マイナーな曲を組み合わせたプログラム。さすがに客席には空席が目立ちますが、saraiはとってもいいプログラムだと思います。その演奏は対照的な結果に終わりました。

まず、最初に演奏されたR.シュトラウスの組曲《町人貴族》ですが、これはとっても期待していました。小編成のオーケストラでコンサートマスターが矢部達哉ですから、精密で美しいアンサンブルを聴かせてくれると思っていました。で、結果は決して悪くはなかったんですよ・・・でも、今の都響の力量はこんなものかとがっかりするような演奏に終わりました。技術的にもアンサンブルが不揃いで、音楽的にも委縮したような演奏で、とてもR.シュトラウスの擬バロックの真髄からは遠く離れた演奏です。やはり、あんなにマーラーを見事に演奏する都響でもR.シュトラウスのこの曲は難曲過ぎて、果敢にチャレンジするもはね返されたという感じです。言わずもがなではありますが、どうしてもウィーン・フィルの演奏を思い出します。この組曲《町人貴族》自体をウィーン・フィルで聴いたことはありませんが、同じような小編成の楽劇《ナクソス島のアリアドネ》の見事な演奏を思い出します。一番の違いは、今日の都響の硬い表情の演奏とウィーン・フィルの自由で闊達な演奏です。日頃弾き込んできた伝統の力の違いでしょうか。技術的な差よりも、R.シュトラウスの音楽への理解と愛情の差が大きいのかな。そう言えば、都響はあんまり、R.シュトラウスの音楽をプログラムに入れていませんね。今後、もっと弾き込んでいくことで音楽的な面での成熟は進むでしょう。同時にアンサンブルの技術も向上することを願います。日頃、素晴らしい演奏を聴かせてくれる弦楽パート(コンサートマスターを含めて)が不出来だったことが残念です。唯一の救いは女性オーボエ奏者が見事な演奏を決めてくれたことです。これは聴き惚れました。古川展生の独奏チェロもよかったですよ。曲そのものの素晴らしさはそれでも伝わってきましたから、今年最初の音楽としては満足です。

今回予習したCDは以下です。

 リヒャルト・シュトラウス指揮シュターツカペレ・ベルリン 1930年録音 SPからの復刻
 ルドルフ・ケンペ指揮シュターツカペレ・ドレスデン 1970~76年、ルカ教会での録音 R.シュトラウス・オーケストラル・ワークス(9枚)より
 ラトル指揮ベルリン・フィル 2005年9月、ベルリンでの録音

リヒャルト・シュトラウス自身が指揮した演奏は音質的にもなかなかよくて、とりわけ、音楽的には言うことはありません。実に凝った曲をそのまま提示してくれます。ケンペ指揮のものは録音も素晴らしく、最上の演奏です。ラトルはベルリン・フィルの技量を活かした熟成した演奏を聴かせてくれます。このCDに併録された交響詩《英雄の生涯》が目当てでしたが、どちらも最上級の演奏になっています。このCDがラトルのR.シュトラウスのフルオーケストラ作品の初CDだとは信じられない出来栄えです。ウィーン・フィルでこの曲が聴けなかったのが残念です。誰が指揮しても、きっと見事な演奏になったでしょう。

一方、ツェムリンスキーの交響詩《人魚姫》はR.シュトラウスのような難曲ではなく、都響らしい美しいアンサンブルで無難に聴かせてくれました。矢部達哉のソロもさきほどと違って堂に入ったもの。聴き惚れます。一番の聴きどころは第3楽章の後半です。ヴァイオリンの下降音型で人魚姫が海に身を投げたところから後の美しくも哀しい音楽は素晴らしい演奏で、ぐっと聴き入ってしまいました。感動とまではいきませんが大変、感銘を受けました。同時にツェムリンスキーに失恋させたアルマ・マーラーが多くの芸術家に素晴らしい作品を書く端緒となったことに驚きを禁じ得ません。マーラーしかり、ココシュカしかりです。ツェムリンスキーの音楽は少々、甘さが目立って、芸術的な昇華が不足しているのがもう一つ、演奏機会が少ない原因なんでしょうね。聴いていて、なかなか、気持ちはいいのですが、魂の燃焼は感じません。

今回予習したCDは以下です。

 ジェームズ・コンロン指揮ギュルツェニヒ管 1997年録音

この曲に関してはコンロンがスペシャリストですね。まったくもって、素晴らしい演奏です。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:大野和士
  管弦楽:東京都交響楽団

  R.シュトラウス:組曲《町人貴族》 Op.60

   《休憩》

  ツェムリンスキー:交響詩《人魚姫》

都響の定期演奏会も残りは3月を残すのみ。最後はインバルが振ってくれるから、素晴らしい演奏になるでしょう。期待しましょう。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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