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絶好調ルガンスキーのチャイコフスキー、テミルカーノフはさすがのラフマニノフに納得・・・読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2018.2.12

おー、今日の読響のコンミスは日下紗矢子です。読響のコンサートでsaraiにとって、初めての登場です。待ちに待ってました。楽しみです。

前半はお馴染みのチャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番です。ロシアの大御所テミルカーノフの指揮なので、ロシアスタイルの対向配置かと思いましたが、普通のオーケストラ配置です。冒頭のオーケストラの響きはテミルカーノフの手兵サンクトペテルブルク・フィルの重厚な響きとは異なり、読響らしい明るい響きです。そのオーケストラの有名な主題に乗って、初聴きのニコライ・ルガンスキーのピアノがジャン、ジャン、ジャンと鳴ります。響き渡るというような豪壮な響きではありません。意外に軽めの響きです。響きの豊かさは抑え気味ですが、表現上は美しい音楽になっています。ピアノのタッチの美しさはもう一つでしょうか。そこそこの演奏に思えます。このまま、長大な第1楽章の中盤を過ぎていきます。と、なぜか、急にピアノの演奏の切れがよくなってきます。響きも冒頭とは比べものにならないくらい、リッチになってきました。だんだんとルガンスキーの演奏が乗ってきたようです。第1楽章終盤は素晴らしいピアノの演奏に圧倒されます。ルガンスキーは今や絶好調でピアノを弾きまくっています。第2楽章もそのままの調子で素晴らしい演奏です。タッチも繊細で美しいです。パーフェクトとも思える演奏に聴き惚れます。第3楽章はさらに素晴らしく、ルガンスキーはガンガンとピアノを叩きまくって、響きはリッチで迫力も最高です。音もクリアーで美しいです。いやはや、驚きました。とても素晴らしいチャイコフスキーでした。アンコールのラフマニノフの前奏曲も素晴らしい演奏でした。ルガンスキーはよほど絶好調だったのでしょう。何を弾いても見事な演奏になります。素晴らしいピアノでした。満足です。

後半はラフマニノフの交響曲 第2番です。チャイコフスキーのピアノ協奏曲と同様に読響は明るく、輝かしい響きです。ラフマニノフの音楽には向いているように感じます。テミルカーノフはラフマニノフのロマンティックな面を前面に出した美しい音楽を表現していきます。それほどロシア的な鬱屈したところは感じられませんが、この曲はこれでいいのかもしれません。第1楽章はとても美しく、終盤は熱情的に燃え上がります。第2楽章は勢いのある面とロマン性の高い面をうまく表出した演奏でした。第3楽章は美しいヴァイオリンの旋律に先導されてクラリネットが切々した調べを歌います。後半はクラシック音楽とは思えない甘美な調べにただただうっとりするのみです。賛否両論はあるでしょうが、ハリウッド音楽のごとく、美しく哀愁に満ちた音楽をここまで見事に聴かせてくれたテミルカーノフと読響には感謝するのみです。ああ、まだ第4楽章がありますね。熱っぽく、美しく、完全燃焼して、完了です。これまた満足しました。あっ、ひとつ忘れていました。今日のコンミス、日下紗矢子は実に華がありました。オーケストラのリーダーとしてもアンサンブルをまとめていましたし、ヴァイオリン・ソロの美しさは特筆すべきものでした。彼女はかって、正式なコンサートマスターでしたが、現在は特別客演コンサートマスターで滅多に読響のコンサートに登場しません。何とかコンサートマスターに復帰してもらえないでしょうか→日下紗矢子さま。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ユーリ・テミルカーノフ
  ピアノ:ニコライ・ルガンスキー
  管弦楽:読売日本交響楽団 日下 紗矢子(コンサートマスター)

  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23
   《アンコール》ラフマニノフ:前奏曲 Op.32-12

   《休憩》

  ラフマニノフ:交響曲 第2番 ホ短調 Op.27


最後に予習について触れておきます。
チャイコフスキーのピアノ協奏曲 第1番は今更予習でもありませんが、一応、以下のCDを聴きました。

 アンドレイ・ガヴリーロフ、ウラディミール・アシュケナージ指揮ベルリン・フィル 1988年

ガヴリーロフのピアノは唖然とするほど素晴らしいテクニックです。聴き惚れました。ベルリン・フィルのアンサンブルも素晴らしいです。

ラフマニノフの交響曲 第2番を予習したCDは以下の3枚です。

 アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団 1973年
 ウラディミール・アシュケナージ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1981年
 エフゲニ・スヴェトラーノフ指揮ロシア国立交響楽団 1995年

こういうことを言うと、本当のラフマニノフ好きの方には叱られそうですが、この曲とかピアノ協奏曲第2番とかはそれなりに甘い調べを聴かせてくれる演奏が好みです。そういう面ではアシュケナージは失格。意外にスヴェトラーノフが甘い音楽を聴かせてくれます。とりわけ、第3楽章はしびれます。録音も最高です。甘さも熱さも兼ね備えて聴きやすいのはプレヴィンです。彼の聴かせ上手ぶりは無類のものです。特にこういう曲は素晴らしいですね。古い録音ですが、SACDで音の輝きが際立つようになりました。



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