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聖金曜日に響き渡る感動のマタイ受難曲、バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2018.3.30

期待を上回る素晴らしいマタイ受難曲でした。とりわけ、休憩後の第2部はずっと感動していました。西欧音楽の最高峰の名曲の数々が続きましたが、すべて素晴らしい最高の演奏だったんです。合唱が素晴らしく、特にコラールは目を閉じて聴き入りました。以降、バッハの旧版全集の曲番号を使いますので、ご注意ください。5回登場する受難コラールはすべて素晴らしかったのですが、特に第63曲の受難コラールは前半がドラマティックな迫力で、対比して後半の清澄さが際立ちました。これで感動しない人はいないでしょう。オーケストラも素晴らしかったです。トータルなアンサンブルもよかったし、個々の独奏のレベルの高さは驚異的です。寺神戸 亮、若松夏美のオブリガート・ヴァイオリンの演奏も凄く、特に若松夏美の演奏には鳥肌が立ちました。菅きよみのフラウト・トラヴェルソはいつも感銘を受けます。名人ですね。でも、それらを取り仕切っていた鈴木雅明の指揮が見事でした。後半の合唱を伴う楽曲の迫力ある指揮によって、劇的な音楽が表現されていました。バッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲を聴くのは今回が2度目。前回は3年前でした。前回も素晴らしい演奏でしたが、今回の後半の第2部はまさに魂のこもった名演奏でした。

独唱にも触れておきましょう。エヴァンゲリストの櫻田亮のあまりの美声には驚きました。第2部はその美声に加えて、劇的な表現が加わり、これまで聴いた最高のエヴァンゲリストです。第46曲のペテロの否みで、最後のビターリッヒBitterlichを弱音で歌い終えた後の一瞬の静寂には大きな感動を覚えました。ソプラノのレイチェル・ニコルズもピュアーな歌声で素晴らしい出来です。第58曲のアリアでは菅きよみのフラウト・トラヴェルソのソロと絡みながら、アウス・リーベ、ヴィル・マイン・ハイラント・シュレルベン(愛故にわが救い主は死にたまわんとす)と歌い上げます。「アウス・リーベ」(愛故に)が幾度も繰り返されますが、それが実に感動的でした。アルトはカウンターテノールのクリント・ファン・デア・リンデです。悪くはないのですが、saraiの趣味はこのマタイ受難曲だけはアルトは女声で聴きたいんです。ヘルタ・テッパーの声が大好きなので、女声で聴きたいんです。もっとも女声でも満足したことはありませんけどね。ヘルタ・テッパーが凄過ぎるんです。でも、第47曲のアリアだけはなかなかよかったです。この曲は「マタイ受難曲」中、最高の名曲、いや、もう古今東西、名曲中の最高の名曲です。エルバルメ・ディッヒ、マイン・ゴット(憐れみたまえ、我が神よ)と清澄に歌い上げてくれました。それまでは力強い歌い方だったのですが、打って変わって、抑えた歌唱で、それがよかったんです。寺神戸 亮のオブリガート・ヴァイオリンの演奏もよかったです。アルト2を歌ったカウンターテノールの藤木大地も見事な歌唱でした。アルト1を歌ってもよさそうな気もしました。第61曲のアリアは第47曲のアリアに次ぐ名曲「わが頬の涙」ですが、藤木大地が熱唱しました。ケンネン・トレーネン、マイナー・ヴァンゲンという歌詞が繰り返し、歌われ、ここでも感銘を受けます。若松夏美が率いる第2オーケストラの弦楽合奏も素晴らしい響きでした。

という具合に聴き所満載でとてもすべてを書き切れません。感想はこのくらいにしておきましょう。

今日は聖金曜日ですが、この日にマタイ受難曲を聴くのは初めてです。きっと、ドイツやオランダでも演奏されているんでしょうね。少なくとも今週は世界中の各地でこの最高の音楽が演奏されていることを想像すると、心の中が熱くなります。宗教曲とは言え、人々が己の罪に心を致しながら、自省と人に対する愛を深く心に刻む音楽です。殺伐とした世界情勢ですが、世界中でこのバッハの崇高な音楽が響き渡り、すべての人が優しい気持ちに立ち返ることを願わずにはいられません。バッハは音楽以上の何かをこの作品に込めました。ライプツィヒの聖トーマス教会での初演からちょうど289年後になるわけですが、人類史上の素晴らしい遺産とも思えるマタイ受難曲が今こそ、音楽のチカラを発揮して、愛と平和をもたらすことを祈りたいと切に思いました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木雅明
  ソプラノ: レイチェル・ニコルズ、澤江衣里
  アルト: クリント・ファン・デア・リンデ、藤木大地
  福音史家/テノール: 櫻田亮
  テノール: 中嶋克彦
  イエス/バス: シュテファン・フォック
  バス:加耒 徹
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
   コンサート・マスター:寺神戸 亮、若松夏美(第2オーケストラ)
   フラウト・トラヴェルソ(独奏):菅きよみ

  J.S.バッハ:マタイ受難曲BWV244

   1部と2部の間に《休憩》

最後に予習について、まとめておきます。

昨日も書きましたが、ネットオークションで落札した4枚組のLPレコードを聴きました。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団 1958年
  エルンスト・ヘフリガー(T,福音史家)
  キート・エンゲン(B,イエス)
  イルムガルト・ゼーフリート(S)
  ヘルタ・テッパー(A)
  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)

何も言うことのない凄い演奏です。CDでは残響の多い音質で、それはそれでよかったのですが、LPレコードはもっと自然な音質で音楽がすっと入ってくる感じです。中古レコードですが、ほとんどノイズもなく、素晴らしい財産になりました。


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       バッハ・コレギウム・ジャパン,

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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