素晴らしい演奏でした。先週、新たに定期会員になった東京交響楽団のシーズン最初のプログラムで素晴らしいマーラーとブルックナーを聴いたばかりですが、今度はやはり新たに定期会員になった読売日本交響楽団のシーズン最初のプログラムでsaraiの最も愛する音楽作品、マーラーの交響曲第9番の素晴らしい演奏を聴かせてもらいました。この演奏を聴きながら、saraiの胸に去来した思いは、自分はこのマーラーの9番を聴くために生まれてきたんだということです。人それぞれ人生への思いはあるでしょうが、saraiはこの作品と出会ったことが一番の強い感情です。もちろん、この作品への思いは単なる芸術作品への愛情を超えて、自分の人生観と強く結び付いたものです。マーラーの妻アルマへの愛と死生観が強く反映された、この作品は、saraiの妻への愛と来たるべき自分の死と重ね合わせることなしには聴けません。自分の個人的感情と人生感がストレートにこの音楽作品に投影されています。ですから、通常の意味で音楽や演奏の感想は綴ることができません。簡単に要約するだけに留めます。素晴らしかったのは第1楽章です。すべてのフラグメントが音楽的に意味付けされて、巨大なパズルとして組み上げられていました。楽譜をきちんと読み込んだカンブルランとその指揮に見事に応えた読売日本交響楽団のアンサンブルの素晴らしさに感銘を受けました。第4楽章は音楽を超えた何かがありました。優しい愛の詩でしょうか。マーラーの愛は甘美な死に昇華したように感じました。カンブルランはいわゆるマーラー指揮者ではないでしょうが、それ故に実に丁寧に楽譜に忠実な演奏をしてくれたように感じます。そこらのちょっとしたマーラー指揮者には真似をできないようなレベルのマーラー演奏でした。また、読響の管楽器奏者たちの見事な演奏にも驚嘆しました。とりわけ、木管の素晴らしさには感動しました。第4楽章の中間部分の長い木管パートの見事な演奏に魅了されました。もちろん、弦楽器奏者たちが素晴らしかったのは期待通りです。対向に配置された第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンの繊細で美しい演奏にはうっとりとしました。ユニゾン、掛け合いなど、マーラーがその音楽の集大成として、練り上げたすべてが完璧に再現されました。
もう、これ以上、書くことはありません。というか、書き尽せるわけがありません・・・。残りはsaraiの胸の内に仕舞っておきます。
ところで誤解のないように付記しますが、今日の演奏が最高の演奏だったというわけではありません。マーラーの9番の実演は毎回が一期一会の演奏です。それぞれの演奏への思いは異なります。毎回、実演を通して、マーラーの魂と会話する機会を持てるのが喜びです。今日もそういう気持ちにさせてくれる演奏だったということです。次の機会は秋のラトル&ロンドン交響楽団の公演になります。
今日のプログラムは以下です。
指揮:シルヴァン・カンブルラン
管弦楽:読売日本交響楽団 小森谷 巧(コンサートマスター)
アイヴズ:ニューイングランドの3つの場所
《休憩》
マーラー:交響曲 第9番 ニ長調
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