義経千本桜:通し狂言@歌舞伎座 2013.10.8
朝10時半頃に地下鉄の東銀座駅に到着。駅からは歌舞伎座の地下に直結する通路ができていて、とても便利になりました。

歌舞伎座の地下には地下街ができていて、大変混雑しています。ここからはエスカレーターで地上に出ます。

地上に出ると、歌舞伎座の前に出ます。ここからの雰囲気は以前の歌舞伎座とそっくりな感じ。

しかし、正面から上を見上げると、背後に巨大な歌舞伎座ビルが聳えています。やはり、新歌舞伎座になったんだなあという思いになります。

歌舞伎座の中にはいると、中はピカピカ。ロビーも赤じゅうたんで立派。

このロビーの壁にちょっとゆかりのある若手俳優の中村梅乃さんの名題昇進のあいさつが貼ってあり、嬉しく思います。今日も彼は2幕目に出演します。

ホール内は広々としていて、真新しいです。1800も客席があるそうです。今日は1階席の3列目、4列目で鑑賞します。

今日の公演内容は以下です。
通し狂言 義経千本桜
《昼の部》
序幕 鳥居前
2幕目 渡海屋
大物浦
3幕目 道行初音旅
《夜の部》
4幕目 木の実
小金吾討死
5幕目 すし屋
大詰 川連法眼館
この義経千本桜は、義経が頼朝に都を追われて、流浪する旅が底流にあり、源平合戦で討死した筈の平家方の知盛、維盛、そして、安徳天皇が生き延びているという設定で、さまざまな人間模様が描かれます。共通テーマは親子の色々な形の情愛です。まあ、よくぞ、こんなに複雑な筋を考え出したものだと感心するくらいのもので、当ブログで詳細なストーリーは語り尽くせません。詳細はここをご参照ください。
義経千本桜では、大きな役どころが3人。さすがにそれぞれを名優が見事に演じ切りました。
まず、銀平、実は平知盛役の中村吉右衛門。2幕目の渡海屋・大物浦で、存在感だけでも圧倒的。銀平役での吉右衛門らしい余裕のある演技で唸らせます。そして、知盛の姿の立派さ。最後に碇綱を巻き付けて、壮絶な最期を遂げるところは実に感動的です。吉右衛門は歌舞伎界の宝です。現代を代表する最高の名優だと感じます。
次は、いがみの権太役の片岡仁左衛門。5幕目のすし屋での、小悪党・善人を演じ分ける難しい役どころを見事にこなします。悪人が改心して善人になることを歌舞伎用語で「モドリ」というそうですが、そこが最高に素晴らしい場面です。この場面、バックに三味線と篠笛の素晴らしい音楽も聴こえてきて、仁左衛門の迫真の演技ともども、胸が熱くなります。いわゆる、世話物と呼ばれる、お涙頂戴の幕ですが、これに日本人的感性のsaraiは弱くて、涙もろくなってしまいます。そうそう、仁左衛門は関西の俳優。彼がこの役で登場したからには、セリフは当然、関西弁。これが違和感なく、すっとはいってくるところも凄い。
最後は、佐藤忠信、実は源九郎狐役の尾上菊五郎。大詰の川連法眼館での、ひょうきんで瑞々しい狐の演技が見事です。一体、おいくつなんでしょう。意外性のある立ち回り、そして、何とも立派なセリフ回しには感嘆。
このほか、義経役の中村梅玉は出番はそう多くはないものの風格のある存在感を示していました。また、銀平の女房お柳、実は典侍(すけ)の局(つぼね)役の中村芝雀の圧巻の演技にも泣かされました。
そして、浄瑠璃の語りと三味線の見事さには恐れ入りました。西洋音楽のトップクラスとも十分に渡り合える気魄に満ちた演奏は心に響きました。ついつい、視線が舞台から浄瑠璃の演奏者に移ってしまうこともしばしばでした。
ところで、《昼の部》が終わったところで、名題昇進した中村梅乃さんの楽屋を訪問。

お祝いの言葉を述べさせてもらいました。女形の中村梅乃さんの素顔はさすがにハンサム!でした。
歌舞伎座の楽屋にはいるのはもちろん初めてです。廊下を通りながら、キョロキョロ。仁左衛門の楽屋は立派でした。

舞台裏もちらっと見えました。

食事ですが、昼食は館内でお弁当を買って、客席でいただきました。
夕食ははりこんで、豪華松花堂弁当を事前に予約。《夜の部》の5幕目の後の30分の休憩時間に館内のお食事処「鳳」でいただきました。とても美味しい夕食になりました。

オペラ・オペレッタも素晴らしいですが、日本文化の歌舞伎も西洋文化に負けない芸術的感動があります。たまには歌舞伎に足を運んで、日本文化の精華を味わいものだと思った次第。
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