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精緻を究めたフルシャ指揮の新世界交響曲・・・バンベルク交響楽団@横浜みなとみらいホール 2018.6.28

前半のプログラムのドヴォルザークの交響曲第8番は悪くはないが、普通の出来に思えます。1昨日のサントリーホールでのドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」のときと同じような印象に思えます。実はsaraiは今日も集中力が欠けていたので、そんな風に聴こえたのかもしれません。

集中力を取り戻した後半、フルシャは凄い指揮ぶりを見せて(聴かせて)くれました。何と言っても、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」への細部へのこだわりが尋常ではありません。まるでマーラーの交響曲でも演奏しているかの如く、テンポの細かい揺れ、強弱の変化、アーティキュレーションの限りを尽くします。多分、リハーサルでもバンベルク交響楽団のメンバーにこの細かい指示を出していたのでしょうが、本番ではさらに要求レベルを上げているような感じです。このフルシャの指揮にオーケストラもよく対応しています。さすがにドイツの一流オーケストラです。しかし、フルシャの要求レベルの高さにパーフェクトに応じられるわけがありません。それほどの指揮の精度の高さなんです。オーケストラの演奏はパーフェクトではないとしても仕上がった音楽は超ど級のレベルに達しています。一昨日のサントリーホールで感じたのはこの指揮とオーケストラ演奏のちょっとした乖離を違和感として受け止めてしまったようです。つまり、演奏は素晴らしいのだけれども、まだ、さらなる飛躍の可能性を秘めているという感じなんです。フルシャの無限の才能はさらなる進化を遂げていく中で、このバンベルク交響楽団の枠内で収まりきれるかというと疑問も残ります。フルシャの才能ある指揮を受けてたてるのはもしかしたら、ベルリン・フィルクラスのオーケストラかもしれません。例えにならないかもしれませんが、フルトヴェングラーの指揮が最高に発揮できたのはウィーン・フィルとベルリン・フィルだったわけですからね。これから、フルシャの挑戦は続くでしょう。今日の演奏で指揮とオーケストラがぴたりとはまったのは、第2楽章の終盤、弦楽八重奏から弦楽三重奏に移り、また、弦楽合奏に戻った個所です。ここはぞくりとくるほどの衝撃的な演奏でした。テンポの変化、パウゼのタイミング、ピアニッシモも効果的な美しさ、それらが完璧に決まり、あり得ないほどの素晴らしさ。フルシャの精緻を究めた指揮が完璧に機能したとき、曲全体がこの第2楽章の終盤と同様のレベルに達するのでしょう。そのとき、我々はあの聴き慣れたドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」から、その究極の姿を体験するのだと思います。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  管弦楽:バンベルク交響楽団

  ドヴォルザーク:交響曲 第8番 ト長調 Op.88 「イギリス」

   《休憩》

  ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調 Op.95 「新世界より」

   《アンコール》
     ブラームス:ハンガリー舞曲第17番 嬰ヘ短調
     ブラームス:ハンガリー舞曲第21番 ホ短調 – ホ長調

最後に予習について、まとめておきます。

ドヴォルザークの交響曲第8番を予習したCDは以下です。

  ラファエル・クーベリック指揮指揮ベルリン・フィル 1966年 ハイレゾ
  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1958年 ハイレゾ
  ジョージ・セル指揮チェコ・フィル 1969年8月30日 ルツェルン音楽祭 ライブ録音
  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1970年4月 セヴエランス・ホール ハイレゾ

今回のドヴォルザークの交響曲2曲の予習は今更何を聴くのかという名曲です。そこで特にチェコ、ハンガリー出身の指揮者がドイツやアメリカのオーケストラを振った録音を抽出しました。今回のコンサートがチェコ出身のフルシャがドイツのバンベルク交響楽団を振るからです。ひとつだけ、チェコ・フィルが混ざりましたが、これは忘れられない名盤だし、セルをまとめて聴きたかったからです。ハイレゾにもこだわってみました。素晴らしい音質に満足です。
クーベリックがベルリン・フィルの高機能性を遺憾なく活かした演奏は見事としか言えません。クーベリックの最高の1枚です。セルの3枚の録音はそれに対抗して余りある素晴らしい演奏です。音楽の完成度とバランスでは1958年、硬軟取り混ぜての熱演では1969年の奇跡のコンサート、そして、成熟して燃焼度の高いのは亡くなる3か月前の1970年となり、どれも聴き逃がせない名演です。

ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」を予習したCDは以下です。

  フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル 1959年
  ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1959年 ハイレゾ
  イシュトヴァン・ケルテス指揮ウィーン・フィル 1961年 ハイレゾ
  ラファエル・クーベリック指揮指揮ベルリン・フィル 1972年 ハイレゾ

上記の第8番と同様ですが、最後に聴いたフリッチャイの気宇壮大な演奏は凄まじいばかりです。フルトヴェングラー亡き後にベルリン・フィルをこんなに響かせた指揮者はいないでしょう。ゆったりとしたテンポでためを作っての演奏はフリッチャイならではの演奏です。この人だけにはもっと長生きしてほしかったとしみじみ思いました。ケルテスは良くも悪くもウィーン・フィルならでは音楽です。セルとクーベリックはやはり、別格の素晴らしさです。あとはアンチェルを聴けば、もう十分かもしれません。それにしても名人たちの演奏がハイレゾでよみがえるのは嬉しいですね。



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