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極上の音楽に衝撃!!歌劇《ポッペアの戴冠》クリスティ指揮レザール・フロリサン@モーツァルト劇場 2018.8.15

古楽のレジェンド、ウィリアム・クリスティの畢生の演奏のあまりの凄さに口あんぐり状態で笑ってしまうほどの衝撃を受けました。saraiのザルツブルク音楽祭の初日から、これほどの音楽を聴けるとは恐れ入りました。手練れの演奏家、歌手を集めて、クリスティが練りに練った音楽はこれぞ究極と思えるほどの素晴らしい音楽で、一瞬も気が抜けない緊張感を持って拝聴しました。

古楽オーケストラは左右2つに分かれたピットに収まり、クリスティは一番左端に陣取って、さりげなくチェンバロを弾きます。指揮者然としていないので、最初はどこにいるのか探したほどです。あっと驚いたのは左のピットにいたリュート奏者。よく見知った顔です。トマス・ダンフォードですね。CTのイェスティン・デイヴィスの来日公演で伴奏のリュートを弾いていた人です。古楽オーケストラのレザール・フロリサンはヴァイオリンはたった二人だけ。一人は日本人の顔をしたヒロ・クロサキ。あとはブロックフレーテ、もう二人のリュートとテオルベ(これが物凄く上手い!!)、古楽のコルネット、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リラ・ダ・ガンバ等々でクリスティを含めて、総勢16人。あまりに少ないオーケストラですが、達人たちの奏でる音楽がこれで十分でした。

歌手もみな上手過ぎですが、一人群を抜いていたのはタイトルロールのポッペアを歌ったソーニャ・ヨンチェバです。ヨンチェバと言えば、彼女のウィーン・デビューの場に立ち会ったことが思い出されます。衝撃のデビューでした。そのときの記事はここです。これはほんの5年前のこと。その後、彼女は世界のオペラハウスのディーヴァになりましたが、saraiは5年ぶりの再会です。今日は圧倒的な美声、それに存在感で魅了してくれます。ポッペアはいわば悪女ですが、こんな魅力的な悪女なら、皇帝ネロならずとも、全人生を捧げたいと思わせるような魅力たっぷりの歌唱と演技です。皇帝ネロ役のケイト・リンジーは以前聴いたときは素晴らしい歌唱でしたが、今日は悪役に徹し過ぎたのか、今一つ、声の魅力に欠けます。オッターヴィア役のステファニー・ドゥストラックはライバルがヨンチェバですから、最初はぱっとしませんが、最後の歌、さらば、ローマでは魂のこもった歌唱で聴くものの心をゆさぶります。オットーネ役のカウンター・テノール、カルロ・ヴィストーリは声はそれほどではありませんが、表現力の素晴らしさが圧倒的です。このオペラの陰の主役とも言える活躍ぶり。saraiは大変、感銘を受けました。セネカ役のレナート・ドルチーニは自害を受け入れる場面での歌唱が最高。涙を誘います。切りがないのでこのあたりにしますが、よくぞ、こんな素晴らしい歌手を揃えたと驚愕するほどでした。そうそう、アルナルタ役のドミニク・ヴィッセは往年の名CTですね。まだ、その美声の片鱗は感じられます。武満徹の作品を歌った見事なCDは永遠の金字塔です。

最後に演出ですが、あまりコメントできません。音楽に集中していて、舞台はそれほど詳細には見ていません。まあ、音楽をそんなに邪魔しなかったのだから、よかったんじゃないでしょうか。カメラで映像を撮っていたので、そのうち、放送されるのかな。それともBDになるのかな。もう一度、詳細に音楽を聴きたいところですが、あの微妙な空気感はその場限りのものでしょう。

最高のオペラを聴きました。


モンテヴェルディ:歌劇《ポッペアの戴冠》

ポッペア: ソーニャ・ヨンチェバ
ネローネ: ケイト・リンジー
オッターヴィア: ステファニー・ドゥストラック
オットーネ: カルロ・ヴィストーリ
セネカ: レナート・ドルチーニ
ドルジッラ/美徳の神: アナ・キンタンス
ルカーノ: アレッサンドロ・フィッシャー
アルナルタ: ドミニク・ヴィッセ
乳母: マルセル・ビークマン
小姓/愛の神: レア・デサンドレ
検察官/兵士/護民官: デイヴィッド・ウエッブ
メルクリオ/領事: ヴァージル・アンスリー

演出:ヤン・ロワース              
管弦楽:レザール・フロリサン
指揮:ウィリアム・クリスティ


予習したのは以下のDVDです。数少ない日本語字幕の貴重な演奏です。ポネルの演出、アーノンクールの指揮というのもいいですね。しかし、今日の公演には遠く及びません。

ポッペア: ラシェル・ヤカール
ネローネ: エリック・タピー
オッターヴィア: トゥルデリーゼ・シュミット
オットーネ: ポール・エスウッド
セネカ: マッティ・サルミネン
ドルジッラ: ジャネット・ペリー
ルカーノ: フィリップ・フッテンロッハー
運命の神: レナーテ・レンハルト
美徳の神: ヘルルン・ガードウ
愛の神: クラウス・ブレットシュナイダー

演出:ジャン=ピエール・ポネル              
管弦楽:チューリヒ歌劇場モンテヴェルディ・アンサンブル
指揮:ニコラウス・アーノンクール

1978年、チューリヒ歌劇場 



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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