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フォーサイスのバレエの夕べ@ドレスデン・ゼンパーオーパー 2013.6.13

ドレスデンで一度、バレエを見るのもいいかなと思って、たまたま、そのときにやっていたバレエを鑑賞しました。バレエは門外漢なので、何をどう書いていいやら、分かりませんが、素人なりの印象を書いてみます。

この日はアメリカの振付家ウィリアム・フォーサイスの作品、3本立てです。フォーサイスのバレエの夕べ:Ein William Forsythe Ballettabendというタイトルでした。
フォーサイスはフランクフルトのバレエカンパニーを主宰していて、今日の作品は一部を除いて、1980年代から1990年代にフランクフルトで作った作品です。モダン・バレエの作品でクラシックバレエのように筋立てはなく、音楽とそれにあわせた振付のダンスだけです。saraiにとっては、抽象絵画の作品のようなものです。

最初の作品《Artifact Suite》は2部構成で、前半はバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番のシャコンヌ(ナタン・ミルシティンの録音)に合わせて、踊られます。ラヴェルのボレロのバレエのように、ぐるりと群舞のダンサーが半円形に舞台いっぱいに取り囲む中を、パ・ドゥ・ドゥー2組が順番に、あるいは同時に踊り、群舞の動きは最小限です。全体の指揮者のような女性ダンサー:The Other Womanが舞台の中央に観客に背を向け、彼女の動きに合わせて、群舞のダンサーが手振り中心の動きをします。バッハのシャコンヌの美しい音楽に合わせたバレエということで、美しいバレエを期待しましたが、ダンスがごちゃごちゃした感じで、バッハの音楽を活かしたバレエには思えず、これは不満。後半はEva Crossman-Hechtという作曲家のピアノ独奏曲に合わせたバレエ。現代の作曲家でしょうが、無調音楽ではありません。これは群舞中心でしたが、やはり、ごちゃごちゃ感はぬぐえず、あまり、面白くありません。

休憩後、次の作品《Neue Suite》。これはパ・ドゥ・ドゥーのシリーズもので、5人の作曲家の作品に合わせて、踊られます。まずはヘンデルのコンチェルト・グロッソ第6番(カラヤン指揮ベルリン・フィルの録音)ですが、これは音楽もダンスも美しく、うっとりと見ていました。楽章ごとにダンサーが交代しますが、どちらかといえば、スローなテンポの曲に合わせたダンスが素晴らしく感じました。ダンスは派手な動きやリフトは少なく、古典的な感じのバレエです。次はバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第1番のアルマンドです。同じバッハでも、先ほどのシャコンヌよりも美しいバレエですが、動きが早いので、優雅さが今ひとつという感です。残りはベリオ、 Gavin Bryars, Thom Willemsです。曲を知らないこともあり、馴染みにくい感じでした。

休憩後、最後の作品《Enemy in the Figure》。これはこの日の演目で一番、面白く見ることができました。オランダの作曲家Thom Willemsはバレエ作品を中心に手掛けている人で、この作品は重低音のずしりとくる音をベースに旋律線のあまりないゆったりしたリズムのバレエ音楽です。舞台は巨大な木の壁(衝立?)がひとつ立っているだけのシンプルなもので、照明が落とされ、真っ暗です。舞台上に移動可能なスポットライト照明装置を据えて、その光を浴びたダンサーの動きだけが見えます。フォーサイスによると、空間は固定的なものではなく、動的に変化するもので、舞台上のスポットライトの変化で空間があたかも変容するようになるということです。ダンサーの激しい動きと光の移動で、実に斬新なバレエシーンが表現されました。とても刺激的です。こういうものを見ると、普通のバレエが生ぬるく感じられそうです。ダンサーの肉体表現も見慣れているクラシックバレエの動きとは本質的に異なり、新しさを感じます。見事なバレエでした。

今日のプログラムは以下です。

Artifact Suite

  振付:William Forsythe
  音楽: Eva Crossman-Hecht, Johann Sebastian Bach

Neue Suite

  振付:William Forsythe
  音楽: Georg Friedrich Handel, Johann Sebastian Bach, Luciano Berio, Gavin Bryars, Thom Willems

Enemy in the Figure

  振付:William Forsythe
  音楽: Thom Willems

今日のキャストは以下です。

Artifact Suite

  The Other Woman: Vanja Vitman
  1. Pas de Deux: Duosi Zhu, Laurent Guilbaud
  2. Pas de Deux: Courtney Richardson, Raphael Coumes-Marquet

Neue Suite

 Handel

  1. Pas de Deux: Duosi Zhu, Saverio Pescucci
  2. Pas de Deux: Sarah Hay, Francesco Pio Ricci
  3. Pas de Deux: Alice Mariani, Laurent Guilbaud

 Berio

  1. Pas de Deux: Mo'nica Tarda'guila, Michael Tucker
  2. Pas de Deux: Courtney Richardson, Fabien Voranger
  3. Pas de Deux: Duosi Zhu, Pavel Moskvito

 Bach

  Julia Weiss, Raphael Coumes-Marquet

Enemy in the Figure

  Sarah Hay, Sangeun Lee, Vanja Vitman, Anna Merkulova, Carmen Piqueras, Julia Weiss
  Claudio Cangialosi, Laurent Guilbaud, Francesco Pio Ricci, Jon Vallejo, Fabien Voranger


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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