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スダーン渾身のベートーヴェン「田園」・・・東京交響楽団@サントリーホール 2018.9.22

今日の東京交響楽団の定期演奏会は珍しく、チャレンジャブルなプログラムから離れて、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの有名作品をずらっと並べた、地味と言えば、地味なものです。となると、演奏の質を高めてもらうしか、ありませんね。

冒頭のハイドンの交響曲 第100番「軍隊」ですが、あまり、水際立ったアンサンブルとは言い難い内容です。きちんと演奏はしていますが、東京交響楽団ならば、室内楽に思えるほどの切れのよいアンサンブルにまとめてほしかったものです。それでも第2楽章は部分的には、とても美しい演奏にはなっていましたが、全体としては、もう一つ。特に弦楽セクションの高度なアンサンブルが実現できていなかったのが残念です。演奏者の人数をもっと少なくして、レベルの高い演奏を志してもよかったのでは・・・。

次のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第4番はハイドンよりは、演奏者の人数が少ないためか、オーケストラの響きがよくなりました。そのアンサンブルに乗って、堀米ゆず子の美しい響きの自在な演奏が圧巻でした。余裕を持って、音楽の愉悦をふりまきながらの演奏です。こういうモーツァルトが演奏できるとは驚きです。本当に日本のヴァイオリニストはレベルが高いですね。大満足の演奏でした。聴衆の反応が今一つだったのは何故?

休憩後、ベートーヴェンの交響曲 第6番「田園」です。これは素晴らしい演奏でした。よほど、リハーサルに時間をかけたんでしょう。終始、素晴らしいアンサンブルで、音楽で描く自然の美しさを堪能できました。解説によると、指揮者マーラーはこの曲をよく取り上げていたそうですが、作曲家マーラーも交響曲の中で自然を描いていました。マーラーの場合は、自然を心象風景として、己の内に取り込んで、それを主観的な表現で音楽に仕立て上げていました。ベートーヴェンの自然表現も主観的ではあるものの、マーラーよりももっと直接的な表現になっています。今日の指揮者のユベール・スダーンはその音楽を丁寧に心を込めて、美しく表現しました。東京交響楽団も現在持てる能力をすべて発揮して、音楽表現に貢献した感じです。当初、この選曲を不思議に思いましたが、相当に思い入れのあったのだろうと推測されます。兄弟曲の「運命」とか、ほかの交響曲ではなく、この「田園」に込められた美感を表現したかったのでしょう。それは十分に達成されました。今日のプログラムでは最高の演奏でした。とすると、ハイドンは選曲ミス、あるいは練習不足だったということになります。難しいもんですね。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ユベール・スダーン
  ヴァイオリン:堀米ゆず子
  管弦楽:東京交響楽団

  ハイドン:交響曲 第100番 ト長調 Hob.I:100 「軍隊」
  モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 op.68 「田園」


最後に予習について、まとめておきます。

ハイドンの交響曲 第100番「軍隊」を予習したCDは以下です。

  トマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル 「ロンドン・セット」全曲(第93番~第104番) 1957~59年録音

典雅な演奏です。まだ、この第100番「軍隊」を聴いただけですが、ほかの11曲も早く聴きたくなります。オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン・フィルの「ロンドン・セット」全曲も聴くべく、用意していましたが、コンサート日程が詰まっていて、聴けませんでした。少しハイドンの後期交響曲を集中的に聴きたいものです。


モーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第4番を予習したCDは以下です。

  ギドン・クレーメル、ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・フィル ヴァイオリン協奏曲全5曲 1983~87年録音

安心して聴ける美しい演奏ですが、もうちょっと遊びも欲しいところです。モーツァルトに関しては、アンネ・ゾフィー・ムターの演奏が好きなので、それも聴きたかったところです。彼女が最初に録音したカラヤンとコンビを組んだのではないCDを聴こうとして、手間取って、結局、聴けませんでした。カラヤン以外に2つの録音があるようです。


ベートーヴェンの交響曲 第6番「田園」を予習したCDは以下です。

  ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団 1958年録音

今更、予習でもありませんが、大本命の録音をハイレゾで聴いてみました。子供の頃から慣れ親しんでいる録音ですが、より、自然な音で聴けました。これ以上の演奏はありませんね。フルトヴェングラーはもっと違うアプローチですが、あくまでもワルターを聴いた上で聴くべき演奏でしょう。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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たかぼんさん、初めまして。saraiです。

嬉しいコメント、ありがとうございます。ブッシュ四重奏団は素晴らしいですよ。とりわけ、第14番は最高です。
もっとも、ブッシュ

09/17 02:04 sarai

とても素晴らしいお話をお聞かせ頂き感謝いたします。
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ブッシュ四重奏団は別なレコード(死

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えりちゃさん、コメントありがとうございます。
最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

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