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極美のアダージョに深く感動!マーラー:交響曲第9番・・・ラトル&ロンドン交響楽団@横浜みなとみらいホール 2018.9.28

ラトルのマーラーの交響曲第9番に過大とも思える期待を持って、コンサートに臨みましたが、その期待は見事に叶えられました。ともかく、今日のコンサートは第4楽章のアダージョの素晴らしさに尽きます。第1楽章から第3楽章については触れなくてもいいでしょう。第4楽章にはいると、この日、不調に思えたロンドン交響楽団のアンサンブルが奇跡的に復活したんです。第4楽章の冒頭から、素晴らしい響きに変わります。実はそれでも音量が小さくなると、アンサンブルが乱れるのではないかと心配しながら聴いていましたが、その心配は杞憂に終わります。むしろ、弱音での響きのほうが素晴らしいくらいです。アンサンブルのことが気がかりでしばらくは音楽自体にあまり集中できませんでしたが、途中からはその心配よりも、あまりに美し過ぎる音楽に魅了されていきます。前半は素晴らしい出来です。音楽の高潮も収まり、木管のソロがリレーするパートに入っていきます。クラリネットが高音で演奏するあたりからはその美しい音色にうっとりと聴き惚れます。そして、弦楽セクションが引き継いで、大きな高まりを作っていきます。その頂点で弦楽器群がユニゾンでゆったりと緊張感を持って、下降するあたりで、聴いているsaraiも手にぐっと力が入り、音楽と一体化していきます。次第に感情が高揚し、エクスタシーの境地にはいりこみます。そして、音楽が沈静化し、終結部に向かっていきます。チェロのソロが愛の動機を演奏し、弦楽セクションの極めて繊細で優しい弱音の極致のパートにはいっていきます。感動のあまり、涙が滲んできます。マーラーの愛の終焉、そして、自然や人生への告別・・・薄明の世界です。もう、頭を上げては聴いていられません。ただ、うつむくのみで最後の告別を待ちます。長い長い、そして、美の極致のような弦楽セクションの弱音が続いていきます。人間の呼吸がだんだん浅くなるように音楽も呼吸しながら、弱まっていきます。やがて、永遠の静寂・・・この先には何もありません。ただ、永遠の時間が待ち受けるのみです。現実世界は残酷です。パラパラとした拍手が永遠の時間を妨げます。そうです。素晴らしかった演奏の時間は終わりました。saraiは呆然として、拍手もできずに現実世界に引き戻されていきます。

これ以上、書くことはありません。たくさんの思いが頭の中に浮かびましたが、じっとそれを自分の中にしまいこみます。

マーラーの交響曲第9番は人生のすべてです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:サイモン・ラトル
  管弦楽:ロンドン交響楽団

  ヘレン・グライムHelen Grime:織り成された空間Woven Space(日本初演)
   Ⅰ.ファンファーレfanfares
   Ⅱ.織り成なされた空間Woven Space
   Ⅲ.水路Cource

   《休憩》

  マーラー:交響曲第9番 ニ長調


最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第9番を予習したCDは以下です。もちろん、今更、予習でもないので、ラトルの演奏を聴いてみました。

  サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル 1993年12月 ウィーン楽友協会大ホール ライブ録音
  サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル 2007年10月 ベルリン・フィルハーモニー ライブ録音

どちらも初めて聴きましたが、その素晴らしさに驚きました。それぞれ、そのオーケストラの持ち味を活かしつつ、ラトルの個性を発揮した演奏になっています。ウィーン・フィルとの共演は何とラトルのウィーン・フィル定期公演へのデビュー時の録音です。ラトルは若干37歳。ウィーン・フィルの柔らかくて甘い響きを使って、とりわけ、弱音の美しさが素晴らしいです。ユダヤ的な粘液質の甘さではなく、後期ロマン派の甘美さにしびれます。一方、ベルリン・フィルとの共演はベルリン・フィルの硬質で鋭角的な響きを活かして、緊張感の高い演奏を聴かせてくれます。このコンビでの日本公演のときの演奏を彷彿とさせます。これも弱音での高い緊張感が凄い演奏です。


最後に言わずもがなのことを書きます。今日は大変な日でした。saraiがどうしても聴きたかったコンサートがこのほかに4つもあったんです。

 サントリーホール 読響の定期公演 定期会員ですから、チケットもあります。指揮はカンブルランで是非聴きたかったんです。娘に代わりに行ってもらいました。
 紀尾井ホール アンジェラ・ヒューイットのバッハ・オデュセイで平均律第2巻でした。聴き洩らせないコンサートでした。友人に後で様子を訊かないとね。
 鶴見サルビアホール ドヴォルザーク・プロジェクトの最終夜でした。聴きたかった。
 芸術劇場 田部京子のコンチェルト・コンチェルト!!でモーツァルトのピアノ協奏曲第21番とグリークのピアノ協奏曲。特にグリークが聴きたかった。

それらを泣く泣く、あきらめて、ラトルのマーラーを聴きましたが、報われました・・・


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ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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