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言葉も出ないブルックナー7番byプレートル+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2011.10.30

待ちに待ったプレートル指揮ウィーン・フィルのウィーン楽友協会でのソワレ公演は長かった旅の最終日。この日に向けたヨーロッパを旅してきた感があります。
そして、その演奏したブルックナーの交響曲第7番はもう言葉も出なくなるような素晴らしいものでした。確かにCDで聴く亡きオイゲン・ヨッフムの演奏はコンセルトヘボウもベルリン・フィルもシュターツカペレ・ドレスデンもこれ以上はない出来栄えですが、生で聴ける演奏ではありません。楽友協会の素晴らしい響きで聴くウィーン・フィルの美しい演奏、そして、我が敬愛する巨匠ジョルジュ・プレートルの活き活きして硬軟とりまぜた自在な表現はヨッフムにも負けず劣らず、今後決して聴くことのできないものでした。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ジョルジュ・プレートル
 管弦楽:ウィーン・フィル

 シューベルト:交響曲第7番《未完成》

  《休憩》

 ブルックナー:交響曲第7番

5日前に聴いたゲネプロともちろん同じです。違いと言えば、コンサートマスターのホーネックの隣に座っているのがシュトイデからダナイローヴァに変わったくらい。

まずはシューベルト。もともとゲネプロでも完成された演奏でしたが、今日はさらに磨きのかかった演奏。破たんのないのが寂しいくらいの完璧な演奏。プレートルも特に変わったことをするわけではありません。実にオーソドックスです。ゲネプロでちょっと物足りなかった第1楽章も悲劇的な感じがよく出ていて、満足です。秀逸だったのは第2楽章のフィナーレで第1ヴァイオリンがピアノッシモで繰り返し演奏する部分の緊張感です。フォルッティシモで演奏する以上の心に強く響く演奏。こんなのは初めて聴きました。これでこそ、未完成も第2楽章で完結できると初めて納得できました。プレートル渾身のフィナーレでしょう。生で聴く演奏会ならではの感動です。

休憩後は最高に期待していたブルックナーです。事前に9枚ものCDを予習して臨んだ、真剣勝負。ちなみに9枚はヨッフム3枚、ヴァント2枚、ハイティンク2枚、ジュリーニ、クナッパーツブッシュです。そのsaraiの意気込みは裏切られませんでした。言葉で表現するもどかしさを覚えますが、できるだけ書いてみましょう。
第1楽章は弦の漣から、低弦の美しいメロディーが朗々と流れます。実に美しいブルックナーです。弦も木管も金管もすべて楽友協会のホールに美しく響き、盛り上がりが凄まじく耳を襲います。これがウィーン・フィルのブルックナーです。美しい響きはsaraiの生まれる前のクナッパーツブッシュの時代から変わりません。強烈なフィナーレで第1楽章は終わります。ふーっ・・・
第2楽章、ゲネプロでは幾分速めに感じられたテンポも今日は普通のテンポで美しく、丁寧な開始です。しみじみとした演奏が続き、徐々に盛り上がり、シンバルの強烈な一撃。この楽章の聴きどころ、第1ヴァイオリンがうねるような上昇音形から下降音形に移る最高の盛り上がりの素晴らしさ、ホールがブルックナーの音で満たされます。最長の楽章もいつまでも続いてほしいくらい終わるのも残念に感じる熱演です。
普通はここまでがこの曲の山場ですが、さらに第3楽章は激しく襲いかかってきます。何という迫力でしょう。中間部で少し静まりますが、再度、激しく迫ってきます。凄まじいばかり。
第4楽章は幾分テンポアップして、軽快で美しい高弦の響きです。音楽は流れ、朗々たるユニゾンが繰り返され、ゲネプトではなかった溜めが何とも言えない心地よさです。その後は・・・もう意識が飛んで、フィナーレの強烈なコーダだけが頭に残ります。何たる感動、圧倒的です。語る言葉を失ってしまいました。しばらくは無言状態。茫然自失です。

旅の最後にプレートルはそのご老体を駆使して、最高のプレゼントを贈ってくれました。彼の音楽を味わえた喜びで満たされたsaraiは楽友協会をふらふらと歩み出ました。外で待っていてくれたはっぱさんの明るい笑顔でやっと我に返りました。常に行動を共にし、一緒に旅に出てくれた配偶者に最大の感謝を送らなければならないでしょう。今日の感動はすべて、みなさんのお蔭です。感謝!感謝!の最後のコンサートでした。


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この記事へのコメント

1, ハルくんさん 2011/11/03 21:57
saraiさん、無事にお帰りなさい!

ウイーンでのブル7、随分と素晴らしかったようですね。
どこまでがプレートルの魅力か、ウイーンフィルの魅力か、はたまた楽友協会ホールの魅力か判りませんが、いずれにしても貴重な体験をされて羨ましいです。
私もそのうち定年を迎えたら、ヨーロッパの音楽ツアーに是非行ってみたいものです。

2, saraiさん 2011/11/03 23:22
ハルくんさん、ありがとうございます。

ブルックナーの7番、もともと好きな曲ですが、こんなに終始引き込まれたことはありませんでした。
おっしゃる通りなんです。プレートル、ウィーン・フィル、楽友協会グローサーザールのすべてが揃って、初めて成り立つ演奏でした。まあ、このうち、プレートルでブルックナーを聴くのは今後難しいかもしれませんから、プレートルを聴きに無理して行ったのが正解だったと思っています。

ハルくんさんの輝かしい未来(それって定年・・・)をお祈りします。
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ジャンル : 音楽

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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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