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メンデルスゾーンの未完の傑作、オラトリオ「キリスト」 美し過ぎる合唱に感動! 読売日本交響楽団@サントリーホール 2018.10.26

前半はモーツァルトとモーツァルトの同時代の未知の作曲家、J.M.クラウスのシンフォニーです。まあ、読響ならば、これくらいの演奏は当然、聴かせてくれるでしょう。モーツァルトの交響曲 第39番の第4楽章はまさにめくるめき演奏で、とっても魅惑されましたけどね。やはり、コンミスの日下 紗矢子が入ると、絵になりますね。いやいや、そうではなくて、音の響きが一段と素晴らしくなったような気がします。J.M.クラウスのシンフォニアはフーガ形式とソナタ形式が融合したユニークな音楽です。モーツァルトのジュピターの第4楽章とは違い、ソナタ形式の提示部の主題がフーガで演奏されます。とても面白いです。J.M.クラウスの名前は恥ずかしながら、今回、初めて聞きました。名前の埋もれた色んな作曲家がいるものですね。

後半は声楽が入り、しかも宗教曲。となれば、指揮の鈴木 雅明が本領発揮。今や、彼はメンデルスゾーンのオラトリオの世界的権威です。バイエルン放送交響楽団に招かれて、メンデルスゾーンのオラトリオ「パウロ」を振ってきたばかりです。そして、今日は完成作の「エリヤ」、「パウロ」ではなく、未完のオラトリオ「キリスト」を聴かせてくれます。もちろん、初めて聴きます。で、どうだったか・・・素晴らしい演奏でした。特にドイツから招いたRIAS室内合唱団の合唱が滅法、素晴らしく、感激しました。第2部の《シオンの娘たちよ》の清澄な響きには胸を打たれました。続くコラールのしみじみとした抒情はまるでマタイ受難曲なみです。そうです。このメロディーはマタイ受難曲の第10曲と第37曲でも使われていたハインリヒ・イザークの美しいの旋律、「インスブルックよ、さらば」でした。マタイ受難曲の復活上演を果たしたメンデルスゾーンがとっておきの旋律を繰り出してきたんですね。いやはや、このオラトリオ「キリスト」が完成していたら、メンデルスゾーンの最高傑作になっていたかもしれません。そして、メンデルスゾーンの音楽史上の位置づけも変わっていたことでしょう。未完とはいえ、素晴らしいものを聴かせてくれて、感謝です。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木 雅明
  ソプラノ:リディア・トイシャー
  テノール:櫻田 亮
  合唱:RIAS室内合唱団
  管弦楽:読売日本交響楽団 日下 紗矢子(コンサートミストレス)

  J.M.クラウス:教会のためのシンフォニア ニ長調 VB146
  モーツァルト:交響曲 第39番 変ホ長調 K.543

   《休憩》

  メンデルスゾーン:オラトリオ「キリスト」 Op.97
  メンデルスゾーン:詩篇第42番「鹿が谷の水を慕うように」 Op.42

   《アンコール》
    J.S.バッハ:モテット「来たれイエスよ来たれ」BWV229よりアリア(終曲) (RIAS室内合唱団のアカペラ)


最後に予習について、まとめておきます。

J.M.クラウスの教会のためのシンフォニアは予習なし。そもそも、J.M.クラウスっていう作曲家の存在を知らなかったので、仕方ありません。実演を聴いてみて、ちょっとだけでも予習しておけばと後悔しました。コンチェルト・ケルンあたりのCDを聴けばよかった・・・。

モーツァルトの交響曲 第39番を予習したCDは以下です。

 ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団 1960年録音 クリーヴランド、セヴェランス・ホール ハイレゾ

このコンビの演奏は絶品です。しかもハイレゾで音質も素晴らしく、このような聴き知った曲でもついつい、聴き入ってしまいます。うーん、何と素晴らしい!

メンデルスゾーンのオラトリオ「キリスト」を予習したCDは以下です。

サンドリーヌ・ピオー(ソプラノ)
ロバート・ゲッチェル(テノール)
ロラン・スラール(バス)
マルクス・ブッター(バス)
アクサンチュス室内合唱団
アンサンブル・オルケストラル・ド・パリ
ローレンス・エキルベイ(指揮)
    2011年録音

初聴きなので、正直、どれほどのレベルの演奏かは判断できませんが、とりあえず、文句のない、よい演奏であるとは言えます。特に第2部のコラールの合唱は素晴らしいです。

メンデルスゾーンの詩篇第42番「鹿が谷の水を慕うように」を予習したCDは以下です。

  イザベル・ミュラー=カント(ソプラノ)
  ヨーロッパ室内合唱団
  ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団
  ニコル・マット(指揮)
    2002年録音 ロイトリンゲン、ヴュルテンベルク・フィルハーモニー・スタジオ セッション録音

これまた、初聴きなので、これもどれほどのレベルの演奏かは判断できませんが、なかなか、よい演奏です。



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