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繊細かつ充実した響き:ヴォーチェ弦楽四重奏団@鶴見サルビアホール 2018.11.5

ヴォーチェ弦楽四重奏団は初聴きです。フランスのカルテットです。ステージに登場すると、そのあまりの容姿の美しさにびっくり。3名は女性でみなさん、美女です。まあ、音楽には関係ありませんけどね。しかし、音楽もその容姿に相応しく、素晴らしい響きと高い音楽性ですっかり魅了されました。演奏した4曲とも、それぞれの様式に合わせて、違う演奏スタイルで表現しますが、それがその曲にぴったりとはまり、美しい音楽になっています。当初は変な構成のプログラムだなと思っていましたが、終わってみれば、多彩な音楽を聴けた喜びに浸ることができました。

好みで言えば、最初のモーツァルトがよかったかな。響きのよい鶴見サルビアホールでありながら、あえて、響きを抑えて、古典様式の美しい演奏を堪能させてくれました。ヴォーチェ弦楽四重奏団の演奏を聴いたというよりもモーツァルトの音楽の素晴らしさに浸ることができました。これでこそ音楽の本道ですね。それにしても、この弦楽四重奏曲 第15番 K.421は聴けば聴くほど、モーツァルトの天才を感じてしまいます。凄い作品です。そう感じさせてくれたヴォーチェ弦楽四重奏団の演奏も凄い! 第2楽章の美しさ、第4楽章の哀しみには参りました。第1ヴァイオリンの少し生硬さのある演奏も新鮮さを感じました。

好みを除いて、一番凄かったのは2番目に演奏したシュルホフの《弦楽四重奏のための5つの小品》です。こんなに素晴らしい作品だったのですね。パヴェル・ハースと同様にシュルホフもナチスの収容所で命を落としたことが悔しいです。ナチスが芸術に対して犯した罪の数々はとても許せるものではありません。これからの世界で2度とこんなことが起きないために人々は行動を起こさないといけないと思っています。今の世界は転落の方向に向かっているような気がしてなりません。ともあれ、シュルホフはモーツァルトのときと違って、ホールに素晴らしい響きが満ち渡ります。第1曲のウィンナーワルツ風、第5曲のタランテラ風の演奏がとりわけ、素晴らしかったです。不意にこのヴォーチェ弦楽四重奏団のバルトークが聴きたくなりなりました。ちなみにこの曲は配置を変えて、ヴィオラが右前で、第1ヴァイオリンが第2ヴァイオリンと交代していました。エマーソン四重奏団のように第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンがよく交代するスタイルではないような気がします。この曲に限ってのことだったんでしょう。演奏スタイルも表現主義を前面に押し出したような意欲的な演奏でした。

3曲目のトゥリーナの闘牛士の祈りは以前、都響のコンサートで弦楽合奏版を聴いたことがありますが、あれは甘い雰囲気でした。今日聴いた弦楽四重奏版は適度に厳しさもあり、ヴォーチェ弦楽四重奏団の演奏はパーフェクトに思える完成度の高さでした。オリジナルはリュートの四重奏だそうです。

4曲目のドビュッシーはよほど、ヴォーチェ弦楽四重奏団が得意にしているのでしょう。最初から確信に満ちた堂々たる演奏でした。第2楽章、第3楽章の弱音の美しさは特筆するものでした。多分、客観的に言えば、今日、最高の演奏だったでしょう。


今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ヴォーチェ弦楽四重奏団
    サラ・ダイヤン vn   セシル・ルーバン vn ギヨーム・ベケール va   リディア・シェレー vc

  モーツァルト: 弦楽四重奏曲 第15番 ニ短調 K.421
  シュルホフ: 弦楽四重奏のための5つの小品

   《休憩》

  トゥリーナ: 闘牛士の祈り Op.34
  ドビュッシー: 弦楽四重奏曲 ト短調 Op.10

   《アンコール》
    ハムザ・エル・ディン:水車 Escalay(Waretwheel)

最後に予習について触れておきます。
1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲 第15番は既に昨年末からCDを聴き続けています。
過去の記事を以下に再掲します。

----------------------------------2017.11.27

 ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1952年録音
 アマデウス弦楽四重奏団(全集盤) 1966年録音
 エマーソン・カルテット 1991年録音

この曲でもエマーソン・カルテットは見事な演奏です。響きの素晴らしさはもちろん、ニ短調に似合った哀調の滲む演奏です。でも、本命はウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の演奏ですね。最初の1小節を聴いただけで、その魅力に引き込まれます。あるべきものがあるべきところに収まっているという感じの演奏です。充足感に満たされます。一方、アマデウス弦楽四重奏団も無理のない自然であっさりした演奏で、これまた、モーツァルトの魅力がたっぷりです。この3枚はどれを聴いても満足できるでしょう。

----------------------------------2017.12.13

 ハーゲン・カルテット(全集盤) 1995年録音
 ジュリアード弦楽四重奏団 1962年録音

ハーゲン・カルテットは一昨年、来日演奏でモーツァルト・ツィクルスを聴かせてくれましたが、CDはそのときほどの素晴らしさではありません。再録音が望まれます。一方、ジュリアード弦楽四重奏団は実に端正な演奏で、これぞモーツァルトという感じです。ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の名演にも迫る演奏です。これはハイドン・セットをすべて聴かないといけませんね。

----------------------------------過去記事引用終了

今回はまだ聴いていないCDということで以下を聴きました。

 ジュリアード弦楽四重奏団 1977年録音

これはジュリアード弦楽四重奏団の2度目の録音です。1度目ほどの冴えた印象はありませんが、何故か、心に残る演奏です。第1ヴァイオリンのロバート・マンの力が大きいのでしょう。


2曲目のシュルホフの5つの小品は以下のYOUTUBEで予習をしました。

 マイアミ・カルテット

大変、迫力のある演奏ですが、今日のヴォーチェ弦楽四重奏団を聴いてしまうと、演奏の精度と完成度が違いますね。


3曲目のトゥリーナの闘牛士の祈りはYOUTUBEで予習をしました。

 コントラス・カルテット

これはなかなかよい演奏でした。


4曲目のドビュッシーの弦楽四重奏曲は以下を聴きました。

 ベルチャ・カルテット

これは素晴らしい演奏です。新鮮かつ完璧な響きでドビュッシーの世界を満喫させてくれます。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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