saraiの音楽総決算2018:ピアノ・室内楽編
今年は国内・海外合わせて、厳選したコンサート・オペラに計94回足を運びました(昨年の計70回、一昨年の計80回に比べるとかなり増えて、最高記録です。ちょっと行き過ぎですね。)。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。今年もこのジャンルをたくさん聴きました。計43回です(昨年は計31回、一昨年は計36回)。内、ピアノ・リサイタルが17回、弦楽四重奏曲コンサートが12回、その他の室内楽コンサートが14回です。とりわけ素晴らしいピアノ・リサイタルに恵まれました。で、今年も、ピアノ・リサイタルと室内楽コンサートに分けて、ランキングしてみます。
ちなみに昨年の結果はここです。
まず、ピアノ・リサイタル部門です。ベスト10は次の通りです。ともかく、田部京子、アンジェラ・ヒューイット、アンドラーシュ・シフの3人は昨年に続き、今年も圧倒的に素晴らしく、感動の演奏でした。この3人は今や、saraiの最高にお気に入りの音楽家です。
1位 人生で一度きりのコンサート:ゴルトベルク変奏曲 The Bach Odyssey Ⅵ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2018.5.24
2位 シューベルトとシューマン、極上!の素晴らしさ 田部京子@浜離宮朝日ホール 2018.6.22
3位 ザルツブルク音楽祭:偉大なバッハ、偉大なシフ、平均律クラヴィーア曲集第2巻@ザルツブルク・モーツァルテウム大ホール 2018.8.16
4位 さよならはベートーヴェンで:マリア・ジョアン・ピリス・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2018.4.12
5位 ただただ感動!アンナ・ヴィニツカヤ ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2018.2.2
6位 シューベルティアーデ賛 田部京子@浜離宮朝日ホール 2018.12.19
7位 圧巻のロ短調フーガ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 The Bach Odyssey Ⅴ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2018.5.22
8位 河村尚子の美しき疾走 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ・プロジェクト Vol.1@紀尾井ホール 2018.6.1
9位 究極のドビュッシー《花火》 イリーナ・メジューエワ・ピアノ・ソナタ・リサイタル@東京文化会館 小ホール 2018.12.1
10位 伊藤恵 ピアノ・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2018.5.20
アンジェラ・ヒューイットの弾くバッハの素晴らしさには毎回驚かされますが、とりわけ、ゴルトベルク変奏曲は途轍もない高みの演奏でした。人生で何度も出会えるような演奏ではありません。平均律クラヴィーア曲集第1巻も素晴らしいとしか言えない演奏でした。来年はどんなバッハを聴かせてくれるでしょう。(1位と7位)
田部京子のシューベルトは遂に遺作ソナタのすべてを聴けました。こんな素晴らしい演奏が日本人ピアニストによって聴けるとは彼女に出会う前は想像もしていませんでした。今はせっせと彼女の過去のアルバムを収集して聴いているところです。全35枚のCDを聴く楽しみは並行して聴いているハスキルの全録音と共にsaraiの無上の宝物です。彼女が来年も続けるシューベルト・プラスのシリーズはアンジェラ・ヒューイットのThe Bach Odysseyと共に一番の楽しみです。(2位と6位)
アンドラーシュ・シフの弾くバッハの平均律クラヴィーア曲集第2巻を遂に聴くことができました。ただ、それだけで幸せでした。再来年は来日コンサートでブラームスの後期作品のすべてを弾いてくれるようです。今から楽しみです。
マリア・ジョアン・ピリスは聴き納めのリサイタルでした。とてもよいベートーヴェンのソナタを聴いて、やはり、彼女は名人だったと強い感銘を受けました。
アンナ・ヴィニツカヤは予想もしていなかったショパンの素晴らしいプレリュードを聴かせてもらい、とっても感動しました。田部京子やアンジェラ・ヒューイットのリサイタルに割って入るほどの特別な演奏でした。
河村尚子のベートーヴェンのソナタのシリーズも好調です。来年はいよいよ後期のソナタに突入します。とても期待しています。
初めて聴いたイリーナ・メジューエワのピアノは予想を大きく上回る演奏でした。お気に入りの仲間入りになりそうです。
伊藤恵のリサイタルは最高の出来。ベートーヴェンもシューマンもショパンも最高水準の演奏でとても魅惑されました。シューマンをさらに聴きたいし、シューベルトの遺作ソナタも聴きたいです。
次は室内楽部門です。ヒラリー・ハーンの念願のバッハの無伴奏の全曲が聴けkたこと。今年はそれに尽きます。感動の演奏でした。ベスト10は次のとおりです。
1位 夢の一夜・・・ヒラリー・ハーン バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ@東京オペラシティ コンサートホール 2018.12.3
宇宙の深淵・・・ヒラリー・ハーン バッハ:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ@東京オペラシティ コンサートホール 2018.12.5
2位 最高のシューマン:フォーレ四重奏団@トッパンホール 2018.10.1
3位 秋の夜のブラームスに酔う:フォーレ四重奏団@トッパンホール 2018.10.5
4位 ロータス・カルテット:ベートーヴェン後期弦楽四重奏曲の2大名作を聴く@鵠沼サロンコンサート 2018.3.13
5位 ロータス・カルテット:驚きのアンコール@鶴見サルビアホール 2018.2.13
6位 室内楽の楽しみ極まれり:クァルテット・ベルリン=トウキョウ@鶴見サルビアホール 2018.2.13
7位 ドヴォルザーク・プロジェクト第1夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.21
ドヴォルザーク・プロジェクト第2夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.25
もう一つの《アメリカ》~ドヴォルザーク・プロジェクト第3夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.26
8位 圧巻のブラームスの弦楽六重奏曲 第1番 カルテット・アマービレ、磯村和英、ズロトニコフ@鶴見サルビアホール 2018.2.7
9位 繊細かつ充実した響き:ヴォーチェ弦楽四重奏団@鶴見サルビアホール 2018.11.5
10位 藤木大地の絶唱! 高木綾子の超絶技巧!@宮崎芸術劇場演劇ホール 2018.5.11
ヒラリー・ハーンのバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの全曲演奏は長年、夢に見てきたリサイタルでした。予期した以上の素晴らしさに報われた思いです。
フォーレ四重奏団の2年前の演奏は期待を裏切るものだっただけに、今回のシューマンとブラームスの素晴らしさには言葉もない嬉しさでした。(2位と3位)
ロータス・カルテットのベートーヴェンの後期の3曲(13番、14番、15番)はいつ聴いても素晴らしいです。凄い日本人クァルテットが出現したものです。(4位と5位)
クァルテット・ベルリン=トウキョウの清新な演奏には驚かされました。次の来日が楽しみです。
ウィハン・カルテットのドヴォルザーク・プロジェクトは予想以上の出来でした。とりわけ、珍しい糸杉(Cypresses)が聴けたのが収穫でした。
カルテット・アマービレ、ヴォーチェ弦楽四重奏団という女性中心の団体が活躍したのも今年の特徴でした。音楽も素晴らしいですが、容姿も素晴らしい・・・。
武満徹と彼の仲間たちの作品が11人の日本を代表する演奏者たちによって熱演されました。カウンターテナーの藤木大地による《Songs》の熱唱は心を打たれました。
一応、この部門全体を通した最上位を決めておきましょう。それは以下です。
ヒラリー・ハーンのバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータの全曲演奏
今年もピアノは高いレベルの演奏ばかりでしたが、やはり、長年待ち続けたヒラリーのバッハの魅力に優るものはありません。全曲演奏を聴くのは最後の機会だったかもしれません。
次回はオペラ編です。
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