《こうもり》@ウィーン・フォルクスオーパー 2011.4.12
今日のキャストは以下です。
指揮:ルドルフ・ビーブル
ロザリンデ:Elisabeth Flechl
アデーレ:Bernarda Bobro
イーダ:Klaudia Nagy
オルロフスキー公:Zoryana Kushpler
アイゼンシュタイン:Dietmar Kerschbaum
ファルケ博士:Marco Di Sapia
アルフレード:Jorg Schneider
イヴァン:Stefan Tanzer
フランク:Martin Winkler
フロッシュ:Gerhard Ernst
ブリント博士:Jeffrey Treganza
この公演の印象はまさに正統的という感じです。ある意味、安心してみていられます。特に変わったことは何もなし。ドイツ語の分からないsaraiでも状況はほぼ分かり、現地の方と一緒に笑えます。私見では、ウィーンではこういうものを是非残してほしいと思いました。昨年聴いたアン・デア・ウィーン劇場の《こうもり》は刺激的で音楽的にも水準が高く、忘れられないプロダクションですが、正統あっての新機軸です。ウィーンにはフォルクスオーパーやシュターツオーパーで正統中の正統を残した上で、さらに実験的・野心的なアプローチに挑戦してもらいたいものです。
さて、公演の内容ですが、まず大御所のビーブルさんの指揮で序曲が始まります。これもまさに正統的な演奏。テンポといい、そのテンポの変化といい、いい意味で特別なことは何もありません。まったく問題なしの演奏。刺激がないと言えばそうですが、それを望むのなら、ほかでいくらでも聴けるでしょう。これはあくまでもオペレッタです。
歌手ではアイゼンシュタイン役のケルシュバウムのお芝居の熱演が光りました。また、ロザリン役のフレッヒルさんの美しさと優雅な身のこなしが抜群。歌はまあまあですね。アデーレ役のボブロさんは可愛さは出ていましたが歌は少し粗さが目立ちます。勢いがあると言えば、そうも言えますが、この役は意外に歌が重要です。オルロフスキー役のクシュプラーさんは演技はともかく、よく声が出ていて好感がもてました。まあ、異常な性格を表現するところまではいってませんでしたが、演出の問題もあるでしょう。昨年のアン・デア・ウィーン劇場でのエキセントリックなオルロフスキーのイメージが頭から離れないので、なにか生ぬるく感じてしまうことも事実です。ファルケ役のディ・サピアさん、アルフレード役のシュナイダーさんも好演でした。フランク役のヴィンクラーさん、フロッシュ役のエルンストさんには笑わされました。巧みな演技力ですね。
この公演は全体を通して、音楽性よりも歌芝居という側面を強調したものでそれはそれでよかったと思います。ある意味、有名歌手を起用したシュターツオーパーの《こうもり》は歌手の歌はうまくてもオペレッタとしての面白みには欠ける部分もあります。それにしても、高音を誤魔化すのがうまいなあとも思う反面、もっと歌の響きがよければなあと感じたのも事実でした。
よくも悪くもこれがフォルクスオーパーの《こうもり》であり、素直に受け取って満足しましょう。オペレッタの楽しさは存分に味わえましたからね。
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