ココシュカの「風の花嫁」、遂に感動の日
バーゼル市立美術館Kunstmuseum Baselの1階の展示室での鑑賞を切り上げ、上の階に上がります。
中2階もさっと見て、2階にあがり、美術館のスタッフに遂にたまりかねて、ここでのお目当てというよりスイスに来た目的とも言えるココシュカの「風の花嫁」はどこにあるかと訊いてしまいます。するとたちどころに、3階のどのあたりにあるかを答えてくれます。
あとはもう一直線。ほかの絵はほぼ無視して、その絵に向かって突進です。3階に上がると、回廊のずっと奥にそれらしい絵が正面に見えています。あれはもしかして、夢にまで見ていたあの絵ではないでしょうか。どんどん近づくと、そうです。あの大好きな絵です。
これまで、この絵の前に立つ自分を何年もの間、想像していました。まさにその時はきます。
胸にジーンときます。素晴らしい青味がかった色彩に愛し合う男女の姿。涙が出そうになるほど感動します。
この絵に匹敵するのは、ゴッホの「オーヴェールの教会」だけです。オルセー美術館Musée d'Orsayにある、あの絵も全体の青い色彩が素晴らしい絵。何かの因縁でしょうか。
しばらく、この絵の前に立ちすくんで、じっと頭の中に絵のイメージを刻み付けます。

いつまでも見ていたい気持ちですが、現実にはそうもいきませんね。立ち去り難い心を振り切って、別れを告げます。
本音では、この絵さえ見れば、その印象を胸に美術館から立ち去っても構わないのですが、それもなんですね。
それにこの美術館には、一般的には、とても名高い絵があります。
通常はその絵を見に来る人が多いでしょう。
それはホルバインの《死せるキリスト》です。
美術館内をうろうろしながら、探しますが、なかなか見当たりません。
仕方がないので、また、そのあたりにいた美術館のスタッフに『ホルバインはどこにありますか?』って、またまた訊いてしまいます。
すると、『そこだよ』って、すぐ後ろのほうを指さします。
本当に話が分かったのかなと半信半疑でとなりの展示室に向かうと、まさにそこはホルバインだらけ。
ホルバインの展示室です。
ありました。有名な《死せるキルスト》です。
等身大で横長の絵はまるでお棺のなかに横たわるキリストを思わせるインパクトのある絵です。

あとはゆっくりこの美術館を鑑賞しますが、数々の名品群に脱帽です。
そうそう、クラナッハ好きとしては、なかなか珍しいクラナッハの絵もあります。
聖母子です。美しい絵ですね。題名は《一切れのパンと聖母子》です。

ゴッホ好きとしても、思わぬ絵に出合います。
《ピアノを弾くマルグリット・ガシェ(Marguerite Gachet at Piano)》です。初めて見る絵です。
なかなかよい絵です。

最後に3階のフロアから階段を下りて、美術館に別れを告げる段になって、どうしてももう1度、《風の花嫁》を見たくなります。
未練です。
同行の3人に待っていてもらい、急いで、《風の花嫁》に直行。
ああ、なんて素晴らしい絵なんでしょう。
この世の愛やあきらめやもろもろの人間的なものをすべて絵の中に表現し尽くし、美しい芸術に昇華させています。
もちろん、saraiは画家のココシュカになりきって、この絵に自分を没入させます。
無限の愛、アルマへの愛、それがすべてです。
もう十分ですね。saraiの頭のなかに、絵の細部は難しくても、絵の本質的な部分はすっかり取り込めました。
待っていてくれた3人に心から感謝の気持ちを抱きつつ、美術館をあとにします。
ところで、このバーゼル市立美術館には多くの名品が展示されています。今回はたった4枚の絵画しか紹介できませんでしたが、この2年半後にまた、この美術館を再訪することになります。それほど、このココシュカの《風の花嫁》に魅せられているんです。その折にこの美術館の名作群を徹底紹介することになります。ご興味のあるかたは以下のブログ記事をご参照ください。
ラインの旅:スイス編~ココシュカの《風の花嫁》に感動の再会@バーゼル市立美術館
ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その1@バーゼル市立美術館
ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その2@バーゼル市立美術館
ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その3@バーゼル市立美術館
ラインの旅:スイス編~珠玉のコレクション、その4@バーゼル市立美術館
ラインの旅:スイス編~ピカソ展@バーゼル市立美術館も見終わり、《風の花嫁》に告別
この後は少しバーゼルの街を散策しましょう。
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