名曲、ブルックナーの交響曲第7番 ツァグロゼク&読売日本交響楽団@サントリーホール 2019.2.22
ブルックナーに先立って、現代音楽のリームのIns Offene...が演奏されます。これはsaraiは門外漢です。雰囲気は味わえますが、理解はできないし、大きな興味を持つこともありません。まず、その前に12音技法のウィーン学派を完全制覇するほうが先でしょう。旋律もなく、リズムもない・・・あるのは、音響的な場での原初的とも言える先鋭的な響きの変化・変容です。こういう音楽もあるのでしょうが、そこまで自分の領域を広げていくと、際限もないことになります。こういうコンサートの場でちょっとだけ聴いて、ああそうなのねって、頭に収めておくだけにしましょう。ところで、タイトルのIns Offene...をGOOGLE自動翻訳にかけると、英訳では、Into the Open...となります。どうして、タイトルが日本語訳されないのか、疑問ですが、《解放された場の中に...》となるのかな。コンサートホールを境界のない開かれた音響の場として、変容する響きをその中に漂わせるということだと理解しましたが、違うのでしょう。ステージ上の奏者以外に5人の奏者が客席の周囲に立って、響きを客席の場の中に漂わせていました。理解はできませんでしたが、延々と続く音の響きの雰囲気は楽しみました。
後半は期待していたブルックナーの交響曲第7番です。第1楽章の冒頭は素晴らしいです。特に弦楽器が弱音で静謐に美しい旋律を奏でるあたりでは、ワーグナーの《痛みの音楽》を思わせます。この調子で全編続けば、大名演になるところでしたが、フォルテの音の純度が低くて、ブルックナーの美しさが損なわれます。全般的には、とてもよいブルックナーでしたし、実際、最後まで集中して聴けましたが、肝心のアンサンブルの精度が少し不足していたようです。指揮者のローター・ツァグロゼクと読響はこれが2度目の顔合わせだそうですが、今後、関係を続けていけば、もっと素晴らしい演奏が期待できそうな予感はあります。名曲、ブルックナーの交響曲第7番を聴けたので、よしとしておきましょう。かなり、楽しめました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:ローター・ツァグロゼク
管弦楽:読売日本交響楽団 日下 紗矢子(コンサートマスター)
リーム:Ins Offene...(第2稿/日本初演)
《休憩》
ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB.107
最後に予習について、まとめておきます。
リームのIns Offene...を予習したCDは以下です。
ゲルト・アルブレヒト指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1995年録音
世界初演を謳ったCDです。耳慣れない現代音楽ですが、なかなか美しい音質でその音響的な響きを楽します。しかし、こういうCDはなかなか売れないでしょうね(笑い)。
ブルックナーの交響曲第7番を予習したCDは以下です。
オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1970年3月15日、ライヴ録音
ヨッフムの緊張感漲るブルックナーは何も言うことのない素晴らしさ。ヨッフムのブルックナーの中では何と言っても、この第7番がとどめを刺すというのがsaraiの意見です。ヨッフムのどのCDも第7番は素晴らしいです。なかでもこのCDはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団ならではの素晴らしい低弦が響きます。saraiが聴いているのは、オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の第4番~第8番のライヴ録音がセットになった2016年のTahraのリマスター盤です。
ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2006年11月23~25日 ライヴ録音
某ネットサイトで激賞していたので、試しに聴いてみました。ブロムシュテットらしい丁寧で美しい演奏です。悪くはありませんが、まあ、普通でしょうか。やはり、チェリダッケのように超個性的か、ハイティンクのように作曲家崇拝型のほうがsaraiの好みです。ブロムシュテットは旧盤のシュターツカペレ・ドレスデンでも聴き直してみましょうか。
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