庄司紗矢香+東響@ミューザ川崎 2010.6.20
彼女は東響交響楽団の定期公演のソリストとしての登場です。
ホールはミューザ川崎。以前はこのホールの会員でしたが、このところ、ご無沙汰でした。
で、まごまごしながら自分の席につきましたが、3階席中央の席で、ステージは遠い。
このホールはご存じの方はお分かりでしょうが、本格的なワインヤード型で、しかも客席の傾斜がかなりあるので、3階席ともなると、ずっと下のステージを見下ろす感じになります。
で、本日のプログラムは以下のとおりです。
ワーグナー:楽劇「パルジファル」第1幕への前奏曲
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63
<アンコール>
J.S.バッハ:無伴奏パルティータ第1番から<アルマンド>
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73
演奏は
指揮:マーク・ウィグルスワース
ヴァイオリン:庄司紗矢香
オーケストラ:東京交響楽団
予習したCDは
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番
スターン、メータ、NYフィル
あんまりスターンに向いた曲ではありませんが、さすがに美音。
第2楽章はそもそもあまりプロコフィエフっぽくないので、
かえってスターンの綺麗な演奏が活きます。
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73
ヴァント、北ドイツ放送交響楽団
立派な演奏ですが、ヴァントだということで期待すると
もうひとつ面白みに欠けるという感じです。
で、ホールがほぼ満員になったところで、まずは最初の曲目、パルジファル前奏曲。
いかにもワーグナーらしい響きが3階席まで満ちてきます。なかなか音響の優れたホールですね。
徹頭徹尾、厳かさに満ちた響きに包まれ、音楽の世界に導かれます。
で、次はいよいよお目当ての庄司紗矢香。
今日は真紅のロングドレスに身を包み、颯爽と登場です。
ただ、3階席だと遠くてあまり顔の表情がつかめないのが残念です。
曲はまずヴァイオリンのソロから始まります。
低音から高音までバランスがよく、深い響きです。
今使っているストラディヴァリウス”Recamier”の特徴でもありますが、
どうやら、以前に比べて、すっかり、このヴァイオリンを弾きこなすようになった印象です。
以前は少し高音に不満がありましたが、今は高音もよく響き、文句なし。
第2楽章にはいると、オーケストラをバックに独奏ヴァイオリンが実に美しい旋律を奏でていきます。
うっとりとするところ。全曲中の白眉ともいえますが、これがプロコフィエフとはとても思えないのも事実。
でも、まあ、いいでしょう。美しくて悪いわけありませんね。
庄司紗矢香もこんなフレーズも素晴らしく、弾きこなすようになりましたね。
高音の響きがよくなったことも一因でしょう。
第3楽章は後半にはいると、俄然、プロコフィエフっぽく、細かいリズムのフレーズでばりばりと突き進んでいきます。
このあたりは庄司紗矢香の真骨頂でしょう。大変、切れのある演奏です。
そして、そのまま、フィナーレ。
大満足といいたいところですが、なにせ3階席からだと、ヴァイオリンの響きはとらえられるものの、とても細かい演奏のニュアンスまでは分かりません。
もっと、ステージ近くで微細な演奏の機微を聴きたかったところ。
というところで、庄司紗矢香の今については次のリサイタルまで評価は持ち越しにしましょう。
次の機会はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタのリサイタル。
CDも久しぶりに出るそうで、期待は大です。
そうそう、アンコールのバッハの無伴奏はとても個性的でよかったと思います。
やはり、彼女には、持って生まれた音楽の感性があるようです。
ファンとしては、技術ももちろんですが、この音楽性が一番の魅力です。
ヒラリー・ハーンのパーフェクトなバッハとまた違って、心のこもった魂の音楽を感じます。
休憩後はブラームスの2番。
よく響いて、期待以上のブラームスでした。
特に弦楽セクション、特に高音(ヴァイオリン)の響きが美しく、木管もなかなかでした。
フィナーレは結構しびれました。
まあ、難をいえば、いろいろありますが、楽しめたブラームスでした。
で、また、明日のコンサートはオール・ブラームス。
頭の中がブラームス1色になりそうです。
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この記事へのコメント
saraiさん、おはようございます。
昨夜も素敵な時間を過ごされたようですね。
庄司紗矢香さんは、私も好きなヴァイオリニストです。
昨年?一昨年?のサンクトベテルブルグとのチャイコフスキーは
本当に感動的な演奏でした。
プロコ聴いてみたいです。
今日もブラームスなんてとっても贅沢ですね!
先日名古屋で聴いたウイーン響のブラームスも素晴らしかったです。
これからsaraiさんの過去ウイーンブログを参考に
おいしいものや美術館巡りなどの計画をしようと思っております。
リタイアされたこれからの時間を
ますます素敵にお過ごしなさってくださいね!
2, saraiさん 2010/06/22 01:32
ユノチさん、こんばんは。
たびたびのコメントありがとうございます。
そうです。テミルカーノフとのチャイコフスキーは彼女の成長を感じさせられたよい演奏でした。
ルイージ+ウィーン響は聴きたかったんですが、残念ながら、ヒラリー・ハーンと重なり、断念しました。次の機会には聴きたいですね。
当ブログを参考にしてもらえば、こちらも励みになりますよ。
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