fc2ブログ
 
  

グレの歌 藤村実穂子の絶唱に感動! 大野和士&東京都交響楽団@東京文化会館 2019.4.14

シェーンベルクの大作、グレの歌を実演で聴くのは、saraiは3度目のことです。1度目はウィーンのコンツェルトハウスでナガノ指揮のウィーン交響楽団。トーヴェがデノケ、森鳩が藤村実穂子という豪華陣で、この曲の実演はもう2度と聴けないと思っていました。2度目はちょうど1カ月前のカンブルラン&読響。カンブルランの読響の常任指揮者としての最後のサントリー定期でした。カンブルランも思い入れのある公演だったのでしょう。大編成のオーケストラ、合唱団を見事にドライブした名演でした。
そして、今日の3度目のグレの歌ですが、今年はさらにもう1回、聴けそうです。ノット&東響です。ミューザ川崎シンフォニーホール開館15周年記念公演です。それがキャストから言って、そして、絶好調のノット&東響であることから、大本命です。今年は本当に一体、どうしちゃったんでしょう! ともあれ、嬉しい驚きです。

今日も東京春祭の15周年のフィナーレを飾る記念公演だったようです。それにしても、シェーンベルクのグレの歌で聴衆が集まるのは、さすが、東京ですね。今日もほぼ満席のようでした。

今日の演奏ですが、森鳩の歌を歌った藤村実穂子のパーフェクトで気魄あふれる歌唱には絶句してしまいました。今、世界でもこの藤村実穂子を置いてほかに、これほど素晴らしい森鳩の歌が歌える人がいないことは誰しもが認めるところでしょう。それにしても、これほど圧巻の歌を聴けるとは正直、思っていませんでした。美しい声の響き、音楽の表現力、強い声の迫力、そして、何と言っても、抒情に満ちた究極のロマン。そのあまりの素晴らしさに終盤では深く感動して、思わず涙が滲みました。まさか、シェーンベルクにこんなに感動するとは・・・。以前、ウィーンで聴いたときも藤村実穂子はアーティスチックで気魄のある歌唱で凄かったのですが、今日は一段と歌唱を磨き上げたという感じです。さらなる高みに上り詰めたようです。こうなると、ノット&東響ではどんな歌唱が聴けるか、今からワクワクしてしまいます。

独唱では、ヴァルデマルを歌ったテノールのクリスティアン・フォイクトは迫力には欠けますが、そのリリックな歌唱は聴きものではありました。第1部の最後の歌唱、「不思議な娘トーヴェよ」での深い優しさに満ちた表現には癒される思いになりました。こういうヴァルデマルもあるのですね。イメージとしては、低域から高域までパワーにあるヘルデンテノールが歌うものと勝手に決め込んでいました。
トーヴェを歌ったソプラノのエレーナ・パンクラトヴァは今一つ、声の透明さが不足して、saraiの趣味には合いません。まあ、以前聴いたデノケでさえ、もうひとつ満足できなかったので、このトーヴェの歌は難しいのかもしれません。
農夫役のバリトンの甲斐栄次郎は深い響きの迫力ある歌唱。道化師クラウス役のテノールのアレクサンドル・クラヴェッツはトリッキーですが、見事な歌唱。語りのバス・バリトンのフランツ・グルントヘーバーはさすがに美しい歌唱というか、語りを聴かせてくれました。ところで彼のヴォツェックを生で聴いていないことに思い至り、今更ながら、残念な思いにかられました。ちなみに今度のノット&東響のグレの歌では、語りはサー・トーマス・アレンが担当するとのこと。次々と大物歌手が語りをやってくれます。それほど重要な役どころなんですね。まあ、最後の締めみたいなものですね。

で、やはり、オーケストラにも触れないといけませんね。あまり、書きたくないのですが、久しぶりに聴いた都響の弦楽セクションには正直がっかりしました。あの美しい響きはどこにいったのでしょう。練習不足なんでしょうか。指揮者の大野和士の責任ですね。彼の指揮自体はリリックな表現で悪くなかったのですが、大編成オーケストラをドライブして、美しい響きを引き出すという点ではとても不満です。インバルが指揮したときの都響の究極のアンサンブルはどこにいったんでしょう。

それはそれとして、第3部のフィナーレの女声合唱が加わったところの美しい高潮は素晴らしかったです。太陽の賛歌とでも呼びたいような圧巻のフィナーレ。最高のカタルシスを感じました。

色々、書きましたが、藤村実穂子の最高の森鳩の歌を聴けて、とても満足できたグレの歌でした。ともかく、レベルの高いグレの歌が日本で今年、3回も聴けるのは日本の音楽史上、快挙です。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:大野和士
  ヴァルデマル:テノール=クリスティアン・フォイクト
  トーヴェ:ソプラノ=エレーナ・パンクラトヴァ
  森鳩:メゾ・ソプラノ=藤村実穂子
  農夫:バリトン=甲斐栄次郎
  道化師クラウス:テノール=アレクサンドル・クラヴェッツ
  語り:バス・バリトン=フランツ・グルントヘーバー
  合唱:東京オペラシンガーズ(合唱指揮=マティアス・ブラウアー、宮松重紀)
  管弦楽:東京都交響楽団 山本友重(コンサートマスター)

  シェーンベルク:グレの歌

   《第1部と第2部の間で休憩》


最後に予習についてですが、読響で聴いたばかりなので、パスしました。
なお、1カ月前にグレの歌を予習したCDは以下です。

 ミヒャエル・ギーレン指揮SWR南西ドイツ放送交響楽団 2006年10月28~31日 ライヴ録音 フライブルク、コンツェルトハウス、他
  メラニー・ディーナー(S:トーヴェ) イヴォンヌ・ナエフ(A:山鳩)
  ロバート・ディーン・スミス(T:ヴァルデマール) ゲルハルト・ジーゲル(T:クラウス)
  ラルフ・ルーカス(Bs:農夫) アンドレアス・シュミット(Br:語り)
  バイエルン放送合唱団 MDRライプツィヒ放送合唱団



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR