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渡辺玲子 ヴァイオリン・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2019.4.21

何も文句のない素晴らしい演奏でした。とりわけ、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ 第1番は気合十分で圧倒的。時折現れるリリックなパートも緊張感のある美しさ。グァルネリ・デル・ジェスの名器を弾きこなす器の大きささえも感じさせる渡辺玲子の会心の演奏でした。最近聴いた海外の若手には真似のできないような高いレベルの演奏に感銘を受けました。これまで彼女の演奏を聴いてこなかった己の不明を恥じてしまいました。やはり、日本人の弦楽器奏者はとてもレベルが高いことを再確認した次第。

その上で、いくつか感じたことも綴ります。
まず、プロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ 第1番ですが、ヴァイオリンは完璧で言うことがありません。できれば、ピアノがもう少し自己主張してほしかったところ。この曲はピアノのパートもとても重要ですからね。よく弾けてはいましたが、個性のぶつかり合いも楽しみたかったところです。

ヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタではヴァイオリンとピアノのバランスはよかったと思います。どうやら、渡辺玲子はヤナーチェク好きらしく、冒頭からちょっと力が入った演奏。もう少し、引き気味の演奏のほうがヤナーチェクらしさが聴けたような気がします。エネルギー感は表出されていましたが、音楽の深いところにある絶望感や哀しみがもう少し感じられれば、最高だったのにと思いました。ヤナーチェクのモラヴィア風のぎこちなく感じる語法を表現するのはとても難しいのは分かっていますが、彼女くらいのレベルの音楽家ならば、さらなる高みの演奏はできたのではとちょっと残念。素晴らしい演奏だったからこそのないものねだりです。ピアノはプロコフィエフに比べるととてもよかったと思います。

グリーグはとても美しい演奏。あまりに美し過ぎて、聴く側の緊張感が弛緩します。音楽は難しいものです。まあ、グリーグはこんな音楽なのでしょう。

秀逸だったのは、アンコール曲のR.シュトラウス。これは美しいといってもグリーグの比ではありません。本来は今日はプロコフィエフでなく、このR.シュトラウスが本編で弾かれる予定でした。後期ロマン派の時期を過ごした若きシュトラウスが作り出した初期の名作です。第2楽章だけでしたが、永遠の憧れに満ちたロマンの香りをたっぷりと聴かせてもらい、夢心地に浸りました。グリーグの代わりにこのR.シュトラウスを弾いてくれれば、今日のリサイタルは完璧だったのに・・・。

また、このホールに渡辺玲子さんが再登場して、R.シュトラウスとバルトーク、それにプロコフィエフの第2番あたりを聴かせてもらいたいものです。よろしくお願いします。


この日のプログラムは以下の内容です。

 ヴァイオリン:渡辺玲子
 ピアノ:坂野伊都子

  プロコフィエフ:ヴァイオリン・ソナタ 第1番 Op.80

  《休憩》

  ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ
  グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ 第3番 Op.45

  《アンコール》

    R.シュトラウス:ヴァイオリン・ソナタ 変ホ長調 Op.18 より 第2楽章 即興曲(Improvisation) アンダンテ・カンタービレ 変イ長調


最後に予習について触れておきます。

1曲目のプロコフィエフのヴァイオリン・ソナタ 第1番は以下のCDで予習をしました。

  ギドン・クレーメル、マルタ・アルゲリッチ 1991年3月、4月 ブリュッセル、Maison De La Radio Bri/Rib Studio 4 セッション録音

深い音楽性とともに美しい響きの素晴らしい演奏です。アルゲリッチのピアノが素晴らしく輝いています。もちろん、クレーメルも負けていませんけどね。


2曲目のヤナーチェクのヴァイオリン・ソナタは以下のCDで予習をしました。

   ギドン・クレーメル、マルタ・アルゲリッチ 1988年6月 ミュンヘン、ヘルクレスザール セッション録音

クレーメルは意外なほど、ヤナーチェクの本質に迫る演奏をしています。やはり、素晴らしい音楽家です。


3曲目のグリーグのヴァイオリン・ソナタ 第3番は以下のCDで予習をしました。

  オーギュスタン・デュメイ、マリア・ジョアン・ピリス 1993年5月、ベルリン セッション録音

これは期待通り、とても美しい演奏です。ピリスの堂々たるピアノも見事です。聴き映え十分です。



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