デュッセルドルフK20州立美術舘:20世紀の傑作絵画にめまい!
デュッセルドルフDüsseldorfのK20州立美術舘K20, Kunstsammlung Nordrhein-Westfalenにオープンと同時に入場です。この美術館の訪問は5年来の望みでした。いよいよ、この美術館のクレーのコレクションを鑑賞できます。
チケットを購入。一人12ユーロは普通の料金ですが、シニア割引はないのね。このレシートがチケット代わりだったのかな。バーコードがあるから、そうなのかしら。

まずは階段で3階の展示スペースに向かいます。

いきなり、傑作群が並びます。むさぼるように次々と作品を鑑賞。
パウル・クレーの《雷雨の後の庭Garten nach dem Gewitter》です。1932年、クレー53歳頃に描かれた作品です。暗い色調のモザイク文様の作品です。まずはこの美術館を代表するクレーの作品の一枚目。

アンリ・マティスの《サン・トロペの海際の風景》です。1904年、マティス35歳頃に描かれた作品です。明るい色彩に満ちた一枚。

アメデオ・モディリアーニの《カリアティード》です。1911年~1912年、モディリアーニ27~28歳頃に描かれた作品です。カリアティードとは、ギリシャ風またはギリシャ風の建物のエンタブラチュア(柱で支えられる水平材)を支える柱として使用されているドレープの女性像の石の彫刻のことです。実際には裸婦像ですが、それを古代の石の彫刻と見立てたんですね。あまり、モディリアーニらしさが表出されていません。

アメデオ・モディリアーニの《ディエゴ・リベラDiego Riveraの肖像》です。1914年、モディリアーニ30歳頃に描かれた作品です。ディエゴ・リベラはメキシコの画家で、多くの壁画作品で知られています。20歳年下のフリーダ・カーロの夫でもありました。パリのモンパルナスでの若き日にはモディリアーニの友人の一人でした。この作品ではちょっと誇張はされていますが、太っちょで不格好なリベラの特徴がよく捉えられています。やはり、モディリアーニは肖像画家としての才能に恵まれていました。

ピエール・ボナールの《ヴェルノンVernonのテラス》です。1928年、ボナール61歳頃に描かれた作品です。明るい色彩に満ちた一枚。ヴェルノンはボナールが敬愛する画家モネの住むジヴェルニーからそう遠くない、ノルマンディーとイル=ド=フランスの間のセーヌ川の谷にあり、ボナールはその地に彼の家を定めました。この作品はその家のテラスからセーヌ川を望む風景を明るく、色彩豊かに描いたものです。もちろん、愛妻マルトも描かれていますね。一番お気に入りのモデルですからね。このヴェルノンの家からの風景は繰り返し描かれています。

アウグスト・マッケの《フライブルク大聖堂》です。1914年、マッケ27歳頃に描かれた作品です。アウグスト・マッケはミュンヘンの芸術運動、青騎士Der Blaue Reiterの創設メンバーの1人ですが、早逝の画家でした。この作品も亡くなる年に描かれたものです。マッケはこの年に勃発した第一次世界大戦の前線で戦死を遂げます。作風を確立して、これからというところでした。この作品では、彼の早すぎる死を予感するような暗い色調の陰鬱な雰囲気が漂っています。なお、マッケはこのデュッセルドルフの美術アカデミーで学んだ、ご当地画家とも言えます。

フェルナン・レジェの《対照的なフォルム》です。1914年、レジェ33歳頃に描かれた作品です。円筒を多用したキュビズム的な作品。

パブロ・ピカソの《フェルナンドの肖像》です。1909年、ピカソ28歳頃に描かれた作品です。この作品はピカソの恋人、オリヴィエの肖像です。オリヴィエは美貌で有名ですが、ピカソの手にかかると、その美貌も台無し。多面的に捉えられたピカソ独特の表現です。

フェルナン・レジェの《パイプを持つ戦士》です。1916年、レジェ35歳頃に描かれた作品です。これも円筒を多用したキュビズム的な作品。

パブロ・ピカソの《マンドリンを持つ女》です。1908年、ピカソ27歳頃に描かれた作品です。ピカソの初期分析的キュビズムの作品。モデルはピカソの当時の妻フェルナンド・オリヴィエ。後に描く傑作《マンドリンを弾く少女》の習作的な位置づけでしょうか。

パブロ・ピカソの《ギター》です。1913年、ピカソ32歳頃に描かれた作品です。ピカソの総合的キュビスムの初期の作品。ピカソは常に新しい道を目指します。

ジョルジュ・ブラックの《ハープとヴァイオリンのある静物画》です。1911年、ブラック29歳頃に描かれた作品です。ピカソと一緒に確立したキュビスムですが、この手の作品では、ブラックがピカソの一枚上をいっているような気がしてなりません。ピカソが別の道を志向したのもそのせいではないかと邪推してしまいます。まあ、途轍もなく、完成度の高い作品です。

フアン・グリスの《ヴァイオリンとインク壺のある静物画》です。1913年、グリス26歳頃に描かれた作品です。グリスはピカソとブラックが確立したキュビスムを終生、守り続けて、画家活動を全うします。ピカソとブラックがキュビズムを離れてしまった後を守り抜いたとも言えます。グリスの作品は色彩が豊かで明快なキュビズム作品です。

フアン・グリスの《ティーカップ》です。1914年、グリス26歳頃に描かれた作品です。この作品では色彩が抑えられていますが、やはり、フォルムが明快なキュビズム作品です。

20世紀の傑作がどんどん続いて、見ているsaraiの意識も高揚していきます。まだまだ、作品は続きます。そうだ、まだ、クレーの大コレクションがありませんね。
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