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中村恵理、清冽な絶唱!『ラ・ボエーム』@宮崎芸術劇場 2019.5.19

中村恵理の清冽で圧倒的な歌唱には今日も言葉はありません。第1幕の有名なアリア《私の名はミミ》の可憐な歌唱に胸を熱くし、第3幕の《ミミの別れ》の哀しくも美しい歌唱に心を打たれ、第4幕の最期の恋の歌に涙をこらえきれず、その素晴らしい絶唱に魅了され尽くしました。彼女の透き通った声の魅力は無限に心に沁み通ってきます。ラ・ボエームのミミはミレッラ・フレーニで永遠に封印したつもりでしたが、遂にその封印を解く最高のソプラノが登場しました。ミレッラ・フレーニのミミを初めてウィーン国立歌劇場で聴いたのは27年前の5月でした。その時、フレーニは既に57歳。素晴らしい歌唱でしたが、若い頃の可憐な声質はもっと強靭な声に変っていました。30歳頃の声でミミを聴きたかったと思ったのも事実。今日聴いた中村恵理はsaraiが理想とするミミの声、そのものでした。遂に生きているうちに最高のミミが聴けたという思いで深い感動を覚えました。

これで昨年の蝶々夫人と合わせて、プッチーニのリリックなソプラノがタイトルロールを歌う2つの名作を中村恵理の最高の歌唱で聴けました。タイトルロールではありませんが、リリックなソプラノの役はもう一つ、《トゥーランドット》のリューです。これもこの夏、東京で中村恵理の歌唱を聴けます。もう素晴らしい歌唱が聴けるのは確信しています。オペラにはまったきっかけはプッチーニのリリックなソプラノの歌です。遂に最高の歌い手に巡り会えて、その歌唱を聴きとおすことができます。オペラ好きとしてはこれで思い残すことはありません。ん・・・、もう一つ、あるかな。リリックな歌唱と言えば、モーツァルトの《フィガロの結婚》のスザンナ、そして、《コジ・ファン・トゥッテ》のフィオルディリージも聴きたいところ。これも中村恵理の美しい歌唱で聴いてみたい。それにR.シュトラウスのいくつかのリリックな役も聴きたい。もう少し長生きして、中村恵理の美しい歌唱を聴きながら、人生を過ごしていきたい。オペラ好きの欲は果てしないものです。

今日のオペラはコンサート形式と言いながら、とても聴きどころが多かったんですが、結局、中村恵理の絶唱を思い出すと、あとはどうでもよくなるというのが本音です。まあ、それも何なので、少しだけ、オペラで感じた点を触れておきましょう。
歌手では福井敬(テノール)、鷲尾麻衣(ソプラノ)、甲斐栄次郎(バリトン)の3人は素晴らしい歌唱でオペラを盛り立ててくれました。中村恵理の美しい歌唱に傾注できたのも、この3人のサポートがあればこそでした。福井敬は特に中村恵理との2重唱で素晴らしく声を張り上げてくれました。鷲尾麻衣は第2幕のムゼッタのワルツ《私が街を歩けば》での熱演だけでなく、第4幕でのミミを気遣う優しい歌声で涙を誘ってくれました。甲斐栄次郎は終始、張りのある歌唱で存在感を示しましたが、第3幕でのミミとの掛け合いで優しくミミを支える見事な歌唱。さすがにウィーン国立歌劇場で活躍した人材です。

広上淳一率いる宮崎国際音楽祭管弦楽団は即席のオーケストラとは思えない、繊細で美しいプッチーニのメロディーを見事に奏でてくれました。そして、何と言っても、コンサートマスター席にはウィーン国立歌劇場で長年、オペラを支えてきたライナー・キュッヒルの姿がありました。終始、オーケストラをリードしたばかりでなく、ソロのヴァイオリンの響きの美しかったこと! 中村恵理とキュッヒルのソロの掛け合いの素晴らしさには鳥肌が立つ思いでした。ウィーン国立歌劇場で何回も聴いてきたキュッヒルのヴァイオリンの響きは今も健在。これが日本で聴けるとは望外の喜びです。

宮崎の合唱団、とりわけ、少年少女合唱団の美しい歌声も素晴らしかったです。よくぞ、ここまで練り上げましたね。さぞや、厳しい練習を積んだのでしょう。さらには、第2幕でバンダ、そして、会場内を行進した宮崎のブラスバンドの女性たちの素晴らしい演奏には度肝を抜かれました。彼女たちも鍛錬を積んだのでしょう。今後、音楽の道を進んでいってほしいと願います。

最後にひるがえって、

ソプラノ、中村恵理、恐るべし!!!


プログラムは以下です。

 第24回宮崎国際音楽祭 プッチーニの世界「青春の光と影」

  プッチーニ:歌劇『ラ・ボエーム』(全曲) コンサート形式
   ミミ:中村恵理(ソプラノ)
   ロドルフォ:福井敬(テノール)
   ムゼッタ:鷲尾麻衣(ソプラノ)
   マルチェッロ:甲斐栄次郎(バリトン)
   ショナール:今井雅彦(バリトン)
   コッリーニ:伊藤純(バス)
   ブノア/アルチンドロ:松森治(バス)
   パルピニョール:清水徹太郎(テノール)
   指揮:広上淳一
   宮崎国際音楽祭管弦楽団 コンサートマスター:ライナー・キュッヒル
   宮崎国際音楽祭合唱団(宮崎県合唱連盟有志)
   合唱指揮:浅井隆仁
   宮崎県吹奏楽連盟有志
 
  《アンコール》
    第2幕終盤 出演:全員


今年の宮崎音楽祭はこれで打ち止め。と言っても、saraiは昨夜の最終便で横浜から駆け付け、今年はこれだけ聴きました。しかし、それで十分に満足しました。来年の5月はウィーン遠征を予定しているので、残念ながら、宮崎音楽祭は聴けないかもしれません。宮崎音楽祭がますます発展していくことを祈っています。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       中村恵理,        キュッヒル,

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aokazuyaさん

コメントありがとうございます。デジタルコンサートホールは当面、これきりですが、毎週末、聴かれているんですね。ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲ

03/03 23:32 sarai

DCHは私も毎週末、楽しみに聞いています。
・スーパースターには、ファゴットのシュテファン・シュヴァイゲルトの名も挙げたいところです。
・清水直子さん後半のみ登場、D

03/01 19:22 aokazuya

金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai
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