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天才モーツァルトと天才マーラーの最高の音楽・・・アリス=紗良・オット&インバル&ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団@東京芸術劇場 コンサートホール 2019.7.10

いやはや、音楽って素晴らしい! 天才モーツァルトはこんなにシンプルな音楽の中に芸術の神髄を詰め込んでいるし、一方、我らが天才マーラーは管弦楽法の複雑さと精緻さを極めたような恐ろしいほどの音楽を聴かせてくれます。両極端のような二人ですが、きっと、ミューズの女神に愛された二人なんでしょう。マーラーやブルックナーの大交響曲の前にモーツァルトのピアノ協奏曲が配されるプログラムは多いですが、その意味をはっきりと分からせてくれるようなコンサートでした。

まず、前半のモーツァルトのピアノ協奏曲第21番。会場の聴衆みんな、いや世界中の音楽ファンが体調を心配していただろうアリス=紗良・オットのピアノでしたが、その純度の高いピアノの響きでモーツァルトの名曲を最高に歌い上げます。これからはモーツァルト弾きに専心してもらいたいと思うほどの出来栄えでした。第2楽章の美しい抒情は彼女の少女の無垢な心を感じさせてくれます。一方、第3楽章はどこまでも澄み切った青空を飛翔するようなわくわくするピアニズム。終始、粒立ちのよい素晴らしいタッチでモーツァルトにふさわしい音色を聴かせてくれました。やはり、モーツァルトはオペラとピアノ協奏曲が一番、素晴らしいですね。最高のモーツァルトでした。

後半のマーラーの交響曲第5番は何と言っても、金管が素晴らしい。冒頭のトランペットのソロは素晴らしい演奏。安定感抜群で微塵も不安感などありません。他の奏者たちもインバルのマジックにかかったようにいきいきとした音楽を奏でます。しかし、主役は作曲した天才マーラーです。聴くだけでなく、見ていても、何と言う複雑な管弦楽の使い方でしょう。分かっていたつもりのこの曲の難しさが実感させられます。特に第3楽章はよくぞ、こんなに精緻な音楽を組み立てあげたものだと驚嘆させられます。その演奏も見事。インバルの指揮もオーケストラの演奏もよくぞと言うレベルです。そして、アダージェットに入ります。深い息を思わせる音楽、そして、実に密やかな演奏に感慨深く聴き入ります。単に美しいという言葉では片付けられない音楽と演奏。心の奥襞に沁み入ってくる魂の音楽です。久しぶりにインバルの素晴らしいマーラーを聴かせてもらい満足です。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:エリアフ・インバル
  ピアノ:アリス=紗良・オット
  管弦楽:ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団 コンサートマスター:日下紗矢子

  モーツァルト:ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K.467
    《アンコール》 リスト:パガニーニ大練習曲集 第5曲「狩り」 S.141 R.3b ホ長調

   《休憩》

  マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のモーツァルトのピアノ協奏曲 第21番は本当はクララ・ハスキルのピアノで聴きたいところですが、録音がないものは仕方ありません。以下のCDで予習しました。

 クリフォード・カーゾン、ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団 1976年12月16日 ライヴ録音

クーベリック指揮のバイエルン放送響の得も言われぬオーケストラの響きに心を奪われます。カーゾンのピアノの響きは期待したほどの純度の高い響きは聴けませんが、saraiの頭の中では、ハスキルのピアノの響きを想像しながら、聴いています。まあ、変な聴き方です。クーベリックとハスキルの組み合わせは最高でしたからね。それでも、第2楽章の有名な旋律が流れ出すと、カーゾンのピアノの響きも俄然よくなって、うっとりと聴き惚れます。まだ、この曲の最高の演奏には出会っていません。

2曲目のマーラーの交響曲第5番を予習したCDは以下です。

 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル 1963年1月、ニューヨーク ハイレゾ

バーンスタインのマーラーの5番と言えば、後のウィーン・フィルとの名演が有名ですが、バーンスタインがマーラーを世界に紹介したのはニューヨーク・フィルとの一連のマーラーの録音(第2番だけはロンドン響との演奏)でした。一昨年、マーラーがこの第5交響曲を作曲したヴェルター湖畔のマイヤーニックの作曲小屋を訪れた際に、そこで聴かせてもらったアダージェットがこのバーンスタインの旧盤でした。バーンスタインのマーラー交響曲全集(ニューヨーク・フィルとの旧盤)が置いてあった中の一枚でした。今回、その演奏をハイレゾで懐かしく聴かせてもらいました。啓蒙的ですが、よくスコアを読み込んだと思われる演奏で、とても新鮮に感じました。もちろん、バーンスタインらしく熱さもあり、ユダヤ的な粘りもあります。なぜか、昔、ベルティーニ指揮の都響ですみずみまで磨き上げられた演奏を聴いたときと同様の感動が蘇りました。これでまた、バーンスタインがウィーン・フィルを振ったときの演奏を聴き直すと、別の感慨がありそうです。ところで、アダージェットはとても素晴らしかったです。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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