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ベルクとマノンの精神に報いる素晴らしい演奏・・・ヴェロニカ・エーベルレ&大野和士&東京都交響楽団@東京文化会館大ホール 2019.9.3

明日は長期のヨーロッパ遠征に出発ですが、ほぼ、荷物も作り終えて、壮行演奏会のつもりで余裕でコンサートに出かけます。配偶者も気持ちよく送り出してくれました。

ヴァイオリンの若手奏者、ヴェロニカ・エーベルレには何かと縁があって、このところ聴く機会が多々あります。これまではもう一つの音楽表現だという印象が強く、今日もあまり期待していませんでした。しかし、才媛は突然、豹変します! 何とも瑞々しいロマンにあふれるベルクのヴァイオリン協奏曲を聴かせてくれました。大野和士の指揮も大変、精度が高く、見事なアンサンブルを展開してくれます。これが最高のベルクのヴァイオリン協奏曲とまでは言いませんが、こんなに魅力にあふれた演奏に接したのは初めてです。これがCD化されたなら、間違いなく、愛聴CDになるでしょう。第1楽章の無調の音列の旋律の繊細で気品にあふれた表現には絶句します。その後は無調とは思えない瑞々しいロマンティックな演奏が続きます。第2楽章にはいると、18歳で突然逝った美しきマノンへのベルクの哀歌がエーベルレの密やかな表現で粛々と表現されていきます。saraiの脳裏には2度もお墓参りしたウィーンのマノン・グロピウスの可愛いお墓のイメージが蘇ります。今週末には久しぶりのウィーンですが、あのマノンやアルマ、そして、マーラーが眠るグリンツィング墓地の静かな佇まいが懐かしく感じてしまいます。そう言えば、日曜日にはグリンツィングのホイリゲにでも行こうと思っています。マノンのお墓参りもいいかな。話が逸れてしまいましたが、そういう妄想を呼び起こすようなエーベルレの素晴らしい演奏でした。エーベルレの演奏はそれほど、自己主張が強くなくて、心の内をシャイな感じで表現するというのが特徴だと感じました。ですから、曲目によって、合うものとそうでないものが出てきます。誤解されるかもしれませんが、ムッターとは正反対のところにあるような人ですね。今日のベルクの遺作のヴァイオリン協奏曲はぴったり、彼女に合っていました。

後半はブルックナーの遺作、交響曲第9番。今日のプログラムはウィーンを中心に活躍した作曲家の遺作つながりだったんですね。演奏は素晴らしかったです。とりわけ、都響の弦は素晴らしく、弦のアンサンブルのパートには聴き惚れてしまいました。大野和士の丁寧な指揮も好感を持てました。大野和士はすっかり、都響を掌握したようです。やはり、聴きどころは第3楽章。ブルックナーが完成させた最後の楽章です。そして、ブルックナーの最高の音楽です。それなりのオーケストラが演奏すれば、うっとりと聴き惚れるような名曲です。大野和士&東京都交響楽団の純日本人コンビがここまでのレベルのブルックナーを演奏できたのは素晴らしいことです。感銘を受けるような第3楽章の演奏でした。

週末からのウィーンでは、この最後の作品を書いたベルヴェデーレ宮殿内のブルックナーの家にも詣でましょう。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:大野和士
  ヴァイオリン:ヴェロニカ・エーベルレ
  管弦楽:東京都交響楽団  コンサートマスター:四方恭子

  ベルク:ヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》
《アンコール》 プロコフィエフ : 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 Op. 115より 第2楽章

   《休憩》

  ブルックナー:交響曲第9番 ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のベルクのヴァイオリン協奏曲を予習したのは以下です。

 イザベル・ファウスト、アンドリス・ネルソンス指揮ルツェルン祝祭管弦楽団 2014年4月6日 ルツェルン・クンストハウス・コンサートホール ~クラウディオ・アバド・メモリアル・コンサート~ 映像
 
アバドがいかにリスペクトされていたかが感動的に映し出された映像作品。演奏はとてもヒートアップしたものです。


2曲目のブルックナーの交響曲第9番も映像作品で予習しました。

 ギュンター・ヴァント指揮北ドイツ放送交響楽団 2001年7月8日 ムジーク&コングレス・ハレ、リューベック シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭 ライヴ収録

崇高な演奏です。それが神に捧げようが、大自然への敬意に満ちていようが、高齢のヴァントの最後に行き着いた境地がいかばかりのものか、感動なくして、聴けません。ヴァントの強い目の光が印象的でした。このとき、ヴァントは89歳。この半年後にこの世を去りました。



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