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クルレンツィスは進化する!モーツァルトのオペラ《コジ・ファン・トゥッテ》@ウィーン・コンツェルトハウス 2019.9.9

音楽的には、一昨日の《ドン・ジョヴァンニ》以上の演奏に思えました。作品自体もモーツァルトのオペラの最高傑作だと確信させる素晴らしいレベルの演奏です。歌手ではフィオルディリージ役を歌うナデージダ・パヴロヴァがドンナ・アンナに続く素晴らしい歌唱。クルレンツィスはどえらい逸材を発掘しましたね。現在、これ以上のモーツァルトのオペラを歌うソプラノはいないでしょう。《フィガロの結婚》でも伯爵夫人を歌ってもらいたいくらいです。そのナデージダ・パヴロヴァを中心に素晴らしいアンサンブルの歌唱でした。もちろん、クルレンツィスがすべてを仕切っています。歌手もオーケストラも自由に演奏しているような雰囲気を醸し出していますが、すべてはクルレンツィスの掌の中にあるのは明らかです。CDでは少々の不満がありましたが、この実演では音楽の精度が磨き抜かれ、まさに天才モーツァルトがこのオペラで意図した音楽はこういうことだったのかと目を開かれる思いです。モーツァルトのオペラの集大成の作品であることが実感できました。アリアを少なめにして、アンサンブルとしてのオペラで音楽の純度を高めた作品です。それを天才クルレンツィスは見事に再現してみせました。歌と器楽の融合体としてのオペラはこういうものなのですね。今回のキャストはCDとは主要な4人を総入れ替えして、若返りを図りました。クルレンツィスの意図は、声の透明性が高く、ソット・ヴォーチェを有効に歌える歌手を選定したものと思われます。クルレンツィスの音楽の本質がそこにあるからです。オーケストラの演奏も同じく、透明性が高く、特に弱音の効果を高めた演奏が基本に思えます。オーケストラと言えば、管楽器の鄙びた音色がモーツァルトのオペラにピタッとはまっていました。それに《ドン・ジョヴァンニ》のときに書くのを忘れていましたが、フォルテピアノのマリア・シャバショワは美貌だけでなく、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。クルレンツィスの音楽には欠かせない逸材です。天才クルレンツィスのもとには、続々と高い音楽性を持つ人材が参集しているようです。

演奏の内容にも若干触れておきます。上に述べたようにナデージダ・パヴロヴァが素晴らしく、第1幕と第2幕で歌ったアリアは最高。第2幕のドラベッラとグリエルモの2重唱はうっとりするようなラブソング。同じく第2幕のフィオルディリージとフェランドの2重唱はぞくぞくするような愛の成就に魅了されました。他も聴きどころ満載で書き切れません。

なお、今回のモーツァルトのオペラ・チクルスはホールの中央の座席の一部を取り払って、録音機材が並べられていました。ライヴ録音した模様です。そのうちにCD化されるのでしょう。前回のCDの録音から5年も経っていませんが、クルレンツィスの音楽的進化は明らかです。みなさんも自身の耳で確かめられるでしょう。

キャストは以下です。(デスピーナ役がチェチーリア・バルトリに変わる以外はルツェルン音楽祭と共通)

 モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』 K.588 全曲


 ナデージダ・パヴロヴァ(フィオルディリージ)
 ポーラ・マリヒー(ドラベッラ)
 コンスタンティン・スチコフ(グリエルモ)
 ミンジェ・レイ(フェランド)
 アンナ・カシヤン(デスピーナ)*
 コンスタンティン・ヴォルフ(ドン・アルフォンソ)*
 ムジカエテルナ
 ムジカエテルナ合唱団
 テオドール・クルレンツィス(指揮)
 ニーナ・ヴォロビオヴァ(演出)
  *クルレンツィスのCDでも同一キャスト


予習したCDはもちろん、クルレンツィス。キャストは以下です。

 ジモーネ・ケルメス(フィオルディリージ)
 マレーナ・エルンマン(フィオルディリージ)
 クリストファー・マルトマン(グリエルモ)
 ケネス・ターヴァー(フェランド)
 アンナ・カシヤン(デスピーナ)
 コンスタンティン・ヴォルフ(ドン・アルフォンソ)
 ムジカエテルナ(ピリオド楽器オーケストラと合唱団)
 テオドール・クルレンツィス(指揮)

 録音時期:2013年1月9-13日
 録音場所:ロシア、ペルミ、チャイコフスキー記念国立オペラ&バレエ劇場
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)


(以下の内容は既に書いたものです。今回も自分の文章をパクりました。ごめんなさい。)
クルレンツィス&ムジカエテルナのモーツァルトのオペラ、ダ・ポンテ3部作の第1弾の《フィガロの結婚》の2012年9月の録音の直後に、この《コジ・ファン・トゥッテ》は録音されました。クルレンツィスらしい隅々まで徹底したこだわりの演奏です。スタイルは《フィガロの結婚》とほぼ同じですが、ソット・ヴォーチェを駆使して、音楽の精度はさらに向上しています。この後に続く《ドン・ジョヴァンニ》と同じレベルの素晴らしさです。ただ、演奏は美しいのですが、若干、上滑り気味でこのオペラの持つ真の深みが感じられないのが残念です。これから先は実演に期待しましょう。



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ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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