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クルレンツィスは最高の演奏で閉幕 バルトリはデスピーナでもアジリタ全開 モーツァルトのオペラ《コジ・ファン・トゥッテ》@ルツェルン音楽祭 2019.9.15

ルツェルン音楽祭を通して、今日の《コジ・ファン・トゥッテ》が最高の演奏でした。モーツァルトのオペラの最高峰にふさわしい驚異的なレベルの演奏です。何と言っても、3人の女声歌手が究極の歌唱を聴かせてくれました。まずはフィオルディリージ役を歌うナデージダ・パヴロヴァが今日も会心の歌唱。彼女の透き通った潤いのある声を聴いているだけで幸せです。ウィーン、ルツェルンで計4回聴きましたが、今や、現役のソプラノでは一番のお気に入りです。モーツァルトのオペラしか聴いていませんが、評判の高いタチアーナも素晴らしい歌唱なんでしょう。彼女は抒情的な歌唱も見事ですが、力のある声の響きも持ち、超絶的なコロラトゥーラも聴かせてくれます。ルチアの狂乱の場なんかも聴きたいところです。ともかく、今回のヨーロッパ遠征でこの素晴らしいソプラノと出会えたのは望外の喜びです。唯一の問題は彼女の名前が舌を噛みそうな覚えにくさ。
バルトリのデスピーナ! 彼女が今後歌う機会があるのでしょうか。バルトリはデスピーナを歌っても自然にアジリタします。彼女でないと歌えないデスピーナ。こんなスーパーキャストで聴けるのもルツェルン音楽祭ならではです。しかも、デスピーナ役にバルトリ以上の適任はないと断じられるような素晴らしい歌唱でした。
ドラベッラ役のポーラ・マリヒーはウィーンでの歌唱もよかったのですが、今日の歌唱は絶好調。安定した中音域から澄み切った高音域までむらのない響きの歌唱で、特にナデージダ・パヴロヴァとの2重唱の美しいこと。恐れ入りました。
女声の3人は絶対的なレベルの歌唱で、今後、これ以上のキャストでの《コジ・ファン・トゥッテ》は登場しないのではないかと思わせるような完璧の演奏でした。
男声3人も素晴らしい歌唱でしたが、女声のあまりの素晴らしさに比すものではありません。
クルレンツィス指揮のムジカエテルナの音楽的な精度の高さはこの4日間を通じてのものですが、聴けば聴くほど、その演奏の細かいところまで磨き抜かれたところに絶句するだけです。それにモーツァルトの音楽に対してのリスペクトと愛情の強さも尋常ではなく、実に丁寧で誠実な演奏です。歌手に合わせて、オーケストラの響きを変えていたのは、モーツァルトの楽譜に書かれていることなのか、どうかはsaraiはよく知りませんが、こんな演奏を今まで聴いたことがないのは確かです。ピチカートとかチェロを床に叩きつけるとか、足を踏み鳴らすとか、普通のオーケストラではやらないことを多用しており、それが演奏効果として、有効に機能していました。

演奏の個々に触れる必要はないでしょう。すべてが素晴らしかったんですからね。それでも、いくつかは触れておきましょう。第2幕のフィオルディリージの長大なアリアにはとりわけ、魅了されました。第2幕の2組の仮のカップルのラヴソングは最高。特にフィオルディリージとフェランドのかりそめの恋愛が真実の恋愛に成就する(saraiはそう解釈しています)ところはモーツァルトの音楽が素晴らしいのですが、それをきちんと演奏で実現しているのは素晴らしく、うっとりを通り越して、魅了され尽くしました。第1幕、第2幕の終幕の5重唱、6重唱のオーケストラと一体化した凄まじい高揚感はあきれるばかりです。短いパウゼを置いた急速なテンポの変化も素晴らしかったです。そうそう、序曲もそうでしたが、アップテンポのオーケストラの疾走感は素晴らしいです。特に古楽器を使っている管楽器がその急速なテンポで見事な演奏を聴かせてくれたのが印象に残りました。オーボエ、フルートをはじめとした名人たちの演奏に魅惑されました。レシタティーボで伴奏パートを務めた通奏低音、特にフォルテピアノのマリア・シャバショワは美貌だけでなく、素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

キャストは以下です。(デスピーナ役がチェチーリア・バルトリに変わった以外はウィーン・コンツェルトハウスと共通)

 モーツァルト:歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』 K.588 全曲


 ナデージダ・パヴロヴァ(フィオルディリージ)
 ポーラ・マリヒー(ドラベッラ)
 コンスタンティン・スチコフ(グリエルモ)
 ミンジェ・レイ(フェランド)
 チェチーリア・バルトリ(デスピーナ)
 コンスタンティン・ヴォルフ(ドン・アルフォンソ)*
 ムジカエテルナ
 ムジカエテルナ合唱団
 テオドール・クルレンツィス(指揮)
 ニーナ・ヴォロビオヴァ(演出)
  *クルレンツィスのCDでも同一キャスト


今回のダ・ポンテ3部作を総括すると、モーツァルトのオペラはその真の姿を現すために、240年ほどの時を経て、天才クルレンツィスの登場を待っていたということになるでしょうか。saraiはその歴史的な場面に立ち会わせてもらいました。そして、モーツァルトの天才の真の意味を知ることになりました。2人の天才にダブルで感謝することになったルツェルン音楽祭でした。1954年8月22日、あの素晴らしいフルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団のベートーヴェンの交響曲第9番が演奏されて以来の画期的なコンサートと言えるでしょう。(アバドのファンの方、ごめんなさい)

予習したCDはもちろん、クルレンツィス。キャストは以下です。

 ジモーネ・ケルメス(フィオルディリージ)
 マレーナ・エルンマン(フィオルディリージ)
 クリストファー・マルトマン(グリエルモ)
 ケネス・ターヴァー(フェランド)
 アンナ・カシヤン(デスピーナ)
 コンスタンティン・ヴォルフ(ドン・アルフォンソ)
 ムジカエテルナ(ピリオド楽器オーケストラと合唱団)
 テオドール・クルレンツィス(指揮)

 録音時期:2013年1月9-13日
 録音場所:ロシア、ペルミ、チャイコフスキー記念国立オペラ&バレエ劇場
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)


(以下の内容は既に書いたものです。今回も自分の文章をパクりました。ごめんなさい。)
クルレンツィス&ムジカエテルナのモーツァルトのオペラ、ダ・ポンテ3部作の第1弾の《フィガロの結婚》の2012年9月の録音の直後に、この《コジ・ファン・トゥッテ》は録音されました。クルレンツィスらしい隅々まで徹底したこだわりの演奏です。スタイルは《フィガロの結婚》とほぼ同じですが、ソット・ヴォーチェを駆使して、音楽の精度はさらに向上しています。この後に続く《ドン・ジョヴァンニ》と同じレベルの素晴らしさです。ただ、演奏は美しいのですが、若干、上滑り気味でこのオペラの持つ真の深みが感じられないのが残念です。これから先は実演に期待しましょう。



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ジャンル : 音楽

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昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

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えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

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04/23 21:47 

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