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ティーレマンが振るとウィーン・フィルが美しく鳴る:ブルックナーの交響曲第8番@サントリーホール 2019.11.11

チェリビダッケはブルックナーは美しくなければならないと言い、実際、彼とミュンヘン・フィルによるライヴ録音で交響曲第8番を聴くと卒倒するほどの究極の美しさに感動します(リスボンライヴ、東京ライヴ、ミュンヘンライヴ)。今日のティーレマンウィーン・フィルから引き出した響きはチェリビダッケとはまた質が違いますが、恐ろしいほどの美しさに満ちていました。巨匠ティーレマン、世界最高のオーケストラのウィーン・フィルの名に恥じない素晴らしい演奏に脱帽です。これまでウィーン・フィルのブルックナーは何度となく聴いてきましたが、これほどの美しい響きを聴いたのは初めてです。さすがにティーレマンです。そう言えば、このコンビでブルックナーを聴くのは初めてかな。サントリーホールがまるでウィーンの楽友協会大ホールにように音が鳴りまくっていました。その美しい響きをベースにブルックナーの精神性の高い音楽が奏でれるのですから、たまりません。いつもはこの第8番は第3楽章で頂点に達し、第4楽章で上り詰めるというのが常ですが、今日は第1楽章から、その音響美にうっとりして聴き入っていました。もちろん、第3楽章の超絶的な美しさも天国的でしたし、第4楽章の終盤、上昇音型が繰り返し現れるあたりからの盛り上がりは大変なものでした。圧倒的なフィナーレではティーレマンはいつものごとく、神のような存在と化していました。曲が終わっても神のごときティーレマンが指揮棒を下すまではホール内には完全な静寂が続きます。この静寂を作り出すサントリーホールの聴衆は世界最高の聴衆でもありますね。

アンコール曲は不要なブルックナーの交響曲第8番ですが、それでもアンコール曲を演奏できるのはウィーン・フィルならではでしょう。ウィンナーワルツという鉄板プログラムがありますからね。俄かにニューイヤーコンサートと化したサントリーホールでした。やんやの喝采で指揮者コールは2回でした。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:クリスティアン・ティーレマン
  管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

  ブルックナー:交響曲第8番 ハ短調 WAB 108(ハース版)

   《アンコール》
    ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ『天体の音楽』Op.235


最後に予習について、まとめておきます。

ブルックナーの交響曲第8番を予習したCDは以下です。

  ベルナルト・ハイティンク指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 2007年8月22日 コンセルトヘボウ、アムステルダム ライヴ録音 非正規盤

saraiの生涯で聴いた最高のブルックナーの交響曲第8番は2013年の4月にアムステルダムで聴いたベルナルト・ハイティンク指揮のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏でした。このCDはそのおよそ5年前の同じホール、同じコンビの演奏で同じノヴァーク版の演奏です。saraiが実演で聴いた究極の演奏には及びませんが素晴らしい演奏ではあります。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       ティーレマン,        ウィーン・フィル,

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No title

sarai さん、こんにちは。Steppke です。

昨日が、ブルックナー8番の来日公演だったのですね。
金管とか吼えまくって、音量とか音圧が過剰ではなかったですか?

楽友協会で聴いた直後にちらっとお伝えした「凄い」というのは、超大音量で音が厚過ぎ、何と言うか聴いている最中から疲れてしまうような演奏だったという意味で、ヴィーン・フィル特有の響きの美しさやブルックナーの深みというようなものはあまり感じられませんでした。(sarai さんが聴かれるまで伏せていましたが..)
サントリーホールなら、それ程は響かず、ちょうど良かったのかも知れません。

まあ、超人気指揮者ですし、楽友協会でも演奏終了後の長い静寂の後に起こった拍手は凄いものでした。

No title

Steppkeさん

saraiです。最前列で聴いたので、ほとんど弦セクションの音が響きました。それが狙いなので、満足しました。本文にも書きましたが、ウィーン・フィルのブルックナーとしては最上級に感じました。ティーレマン好きにはたまらない演奏でした。さすがと思いました。まあ、嫌いなかたには、うるさいと感じるのかしらね。

No title

sarai さん。
そんな..Thielemann が「嫌い」などと、夜道で後ろから刺されるようなことは言わないで下さい。
別に「嫌い」ということはないですよ。
今年は既に4回も聴いていて、12月にベルリンで5回目の予定です。
『影の無い女』は、曲自体も凄いのですが、圧倒的に素晴らしい演奏でした。

No title

Steppkeさん

saraiです。ティーレマン信奉者にとって、《あまり好きでない》=《嫌い》に思えてしまうのです。まあ、夜道でうんぬんはいかにティーレマン信奉者でもやりませんが・・・。
真面目な話、ティーレマンはひところと違って、強引なところが抑制されて、より自然な表現の変わってきた印象です。昔の圧倒的な迫力が懐かしいくらいですが、彼も熟成の道にあるように思います。『影の無い女』は聴けなくて、とても残念です。ベルリンはお楽しみください。羨ましい。
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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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07/08 18:59 sarai

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クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

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