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バランスのとれた見事な演奏:ヘンシェル・クァルテット@鶴見サルビアホール 2019.11.14

久しぶりの鶴見サルビアホール。今や、このホールは弦楽四重奏の殿堂です。今日のヘンシェル・クァルテットもバランスの取れた素晴らしい演奏を繰り広げてくれました。とても響きのよいホールですが、あまり、響かせ過ぎずにしっとりした演奏。まさにこれぞ室内楽という感じ。曲目も有名曲は避けて(?)、新鮮な曲ばかりです。

前半のメンデルスゾーンのOp.81は単独に作られた4曲をまとめたもの。それでもすべて、メンデルスゾーンらしい明るく若々しい魅力に富んでまとまった感じの作品になっています。最初の2曲が晩年の1847年に作曲されたものですが、ちょっと聴くと、いかにも若い頃の作品に聴こえる清新さに満ちています。最期まで若々しい感性を保ったメンデルスゾーンらしい曲の内容です。特に第2曲は《真夏の世の夢》の「スケルツォ」の雰囲気そっくりのいきいきとした魅力に富んでいます。ヘンシェル・クァルテットは安定したアンサンブルで正確な演奏。それでいて、退屈な演奏になっていないのは彼らの実力なのでしょう。第3曲と第4曲は作品番号とは逆の順の演奏。最後を盛り上がって終わるためでしょうか。4曲は特別に順序はないので、入れ替えて演奏しても問題はありません。3番目に演奏した第4曲はゆったりしたフーガ。メンデルスゾーンも相当にバッハを研究したことがうかがわれます。とても美しい演奏にうっとりします。最後はカプリッチョ。中間の対位法的なパートが美しく奏でられて、終盤は高潮した演奏で素晴らしい盛り上がりです。滅多に演奏されない曲ですが、とても完成度の高い演奏でした。

前半の2番目はシュルホフの弦楽四重奏曲 第1番。ある意味、今日のコンサートの目玉です。シュルホフが聴ける機会はそう多くはありませんからね。パヴェル・ハースと同様にシュルホフもナチスの収容所で命を落としたユダヤ系のチェコ人です。最近、再評価が進んでいる作曲家のひとりで、注目して聴きました。正直、この曲をそう把握しているわけではありませんが、素晴らしく充実した演奏でした。音色の多彩さの表現を始めとして、こなれた演奏に思えました。終楽章のアンダンテは印象深く、感銘しつつ、曲が閉じられました。

後半のシューマンは個人的にとても心惹かれる演奏。密やかなロマンティシズムにうっとりしました。シューマンの作品の魅力によるものですが、それを十全に表現してくれたヘンシェル・クァルテットの見事な演奏に感謝です。特に第3楽章の魅惑的な演奏に魅了されました。

爆発的な魅力がある演奏ではありませんが、いかにもイギリスの演奏団体らしく、落ち着いて、しっとりとした演奏は室内楽の奥深さを感じさせてくれました。満足のいったコンサートになりました。やはり、鶴見で聴くカルテットは特別です。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ヘンシェル・クァルテット
    クリストフ・ヘンシェルvn テレサ・ラ・クールvn モニカ・ヘンシェルva マティアス・バイヤー=カルツホイvc


  メンデルスゾーン: 弦楽四重奏のための4つの小品 Op.81
   第1曲 「主題と変奏」 ホ長調 (1847年) Andante - Un poco pou animato - Presto - Andante come prima
   第2曲 「スケルツォ」 イ短調 (1847年) Allegro leggiero
   第4曲 「フーガ」 変ホ長調 (1827年) A tempo ordinario
   第3曲 「カプリッチョ」 ホ短調 (1843年) Andante con moto - Allegro fugato. assai vivace
  シュルホフ: 弦楽四重奏曲 第1番

   《休憩》

  シューマン: 弦楽四重奏曲 第3番 イ長調 Op.41-3

   《アンコール》
    ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調から、第2楽章Assez vif. Très rythmé イ短調


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のメンデルスゾーンの弦楽四重奏のための4つの小品を予習したCDは以下です。

 エマーソン四重奏団 2004年4月 ニューヨーク
 
これはエマーソン四重奏団によるメンデルスゾーンの弦楽四重奏のための全作品とさらに弦楽八重奏曲まで含む全集盤に含まれるものです。実際に収録されているのは、4つの小品がまとめられているのではなく、作曲年順にばらばらになっています。それを作品番号順に再構成して聴きました。名人集団のエマーソン四重奏団ですから、安心して聴ける、素晴らしい演奏です。


2曲目のシュルホフの弦楽四重奏曲 第1番を予習した録音は以下です。

 ブロドスキー四重奏団 2013年 ライヴ録音

ショスタコーヴィチの全集で素晴らしい演奏を聴かせてくれたブロドスキー四重奏団はシュルホフでも極めて高精度の演奏を聴かせてくれます。


3曲目のシューマンの弦楽四重奏曲 第3番を予習したCDは以下です。

 エマーソン四重奏団 2004年4月 ニューヨーク


メロス弦楽四重奏団を聴いてもよかったのですが、今回はエマーソン四重奏団を聴く気分。やはり、素晴らしい演奏でした。美しい響きでシューマンのロマンを香り高く演奏しています。



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