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ハンブルク市立美術館:東日本大震災の写真、そして、フリードリヒ~ムンク

2018年8月22日水曜日@ハンブルク/2回目

今日はハンブルクHamburgでゆったり散策。まずはハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで名画鑑賞。カメラ一つの手軽さで鑑賞スタートです。
2階の常設展示室への立派な階段が見えますが、まずは地下の特別展示室を覗きます。

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地下の特別展示室で目に飛び込んできたのは、何と何と・・・東日本大震災の津波の惨状の写真です。

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日本ではよく目にしてきた光景ですが、異国の地で見ると、奇妙な感情がこみ上げてきます。被害者のかたには北ドイツからお見舞い申し上げます。

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このほかには、何故か、フリードリヒが数点あっただけ。でも、数点でもフリードリヒは注目です。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《燃え立つノイブランデンブルク》。1834年、フリードリヒ、60歳頃の作品です。ノイブランデンブルクは北ドイツ、メクレンブルク・フォアポンメルン州の古い町です。収穫の終わった畑の向こうにノイブランデンブルクの町が幻想的なシルエットで浮かび上がっています。その町には中心となるマリエン教会の塔が見えています。町は架空の火災で燃え上がっています。自然と人間の営みのかかわりはフリードリヒの主要な画題でしたが、この作品でも人が描かれていないものの、その画題は貫かれています。この作品を描いていた頃、1835年にフリードリヒは脳卒中に襲われ、一命はとりとめたものの、油絵を描くことはできなくなりました。そのため、この作品は未完成のままになりました。画家の晩年の一枚です。

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カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《ブランドシュテッテ(火災現場?)》。1802年、フリードリヒ、28歳頃の作品です。エッチングの版画作品です。火災の場所で呆然とする二人の人物が描かれています。

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カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《氷の海の船》。1799年、フリードリヒ、25歳頃の作品です。もっとも画家の名前の後ろに疑問符が付いているので、フリードリヒの作品と確定しているわけではなさそうです。画風はいかにもフリードリヒそのものですが・・・。氷の海で難破した船をボートに乗った人たちが眺めています。

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カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《氷の海》。1823年/1824年、フリードリヒ、49歳か50歳頃の作品です。フリードリヒの代表作品のひとつと目されています。氷の海の光景が象徴的に描かれて、その中に難破船が小さく描かれています。大自然とその力に対してはあまりにも小さな存在である人間というように読み取れますが、それ以上に大自然の美しさと強さが見事に表出されていることに注目すべきでしょう。当時のウィーン体制下のドイツの政治状況を描いたとも、13歳の時、河でスケート遊びをしていたところ、氷が割れて溺れ、彼を助けようとした一歳年下の弟・クリストファーが溺死してしまったことを象徴的に描いたとも言われていますが、この絵が持つ芸術性そのものがすべてでしょう。フリードリヒの画力の素晴らしさがあふれ出る迫力ある一枚です。

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結局、地下の特別展示は何のことか、よく分かりませんでしたが、フリードリヒの作品を見られたので、よしとしましょう。

2階の常設展示室に移動します。

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まずは20世紀の近代作品が展示されています。

エルンスト・ヴィルヘルム・ナイの《赤と黒のドットで》。1954年、ナイ、52歳頃の作品です。この画家のことはまったく知りませんが、何故か、気になる絵でした。誰かの絵に似ているような気もします。ちょっと違いますが、カンディンスキー風?

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ハンス・アルプの《夢の中の星》。1958年、アルプ、72歳頃の作品です。アルプ特有の緩やかなカーブの彫刻です。その柔らかさに心が和みます。

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ジェームズ・アンソールの《仮面のある静物》。1898年、アンソール、38歳頃の作品です。アンソールの主要なモチーフの仮面がギラギラした色彩の静物画の中に描かれています。実に無気味さを湛えた画面です。あまり好きになれません。

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ここからムンクの作品が続きます。

エドヴァルド・ムンクの《マドンナ》。1893~1895年、ムンク、30~32歳頃の作品です。ムンクの代表作の一つです。生命のフリーズと題されたシリーズに属するもので、《叫び》もその一枚です。セクシュアルでもあり、神の愛にもつながる多面的な要素を持つムンクの傑作です。

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エドヴァルド・ムンクの《セルマ・フォンハイムSelma Fontheim》。1894年、ムンク、31歳頃の作品です。ベルリン在住時に知り合った女性をモデルにした肖像画です。柔らかなタッチが印象的です。

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エドヴァルド・ムンクの《冬の森》。1900~1901年、ムンク、37~38歳頃の作品です。雪の積もった森の風景はムンクの心象風景でしょう。スピリチュアルな雰囲気も湛えています。

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エドヴァルド・ムンクの《橋の上の少女たち》。1901年、ムンク、38歳頃の作品です。幻想的な風景の中に立つ3人の少女たちは生身の人間であるイメージからは離れています。一人だけ、顔をこちらに向けた少女の視線の先にあるものは何でしょう。虚空・・・無のように思えます。同じイメージの作品がオスロ国立美術館にもありますが、その作品では焦点は風景に向けられて、少女たちは3人とも橋の下を覗き込み、顔の表情が見えません。

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エドヴァルド・ムンクの《アルベルト・コルマンとスティーン・ドラウスン》。1902年、ムンク、39歳頃の作品です。ドイツを拠点に活動するムンクも世間から評価されるようになり、ハンブルクの実業家アルベルト・コルマンからの支援も受けます。スティーン・ドラウスンはデンマークの作家でジャーナリストです。不安な心理状況が漂う肖像画になっています。どうやら、二人に依頼されて描いた肖像画ではなさそうですね。背景の描き方がまるでゴッホのようですが、神経質な感じに仕上がっています。

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エドヴァルド・ムンクの《海辺の少女たち》。1906~1907年、ムンク、40~41歳頃の作品です。白いドレスを来た少女たちは一塊に描かれ、そのグループから、赤いドレスの少女が離れていこうとしています。白いドレスは少女たちの無垢さを象徴し、赤いドレスは性への目覚めを象徴しています。この作品は後にザルツブルク音楽祭を創設するマックス・ラインハルトが劇場監督をしていたベルリンのカンマーシュピーレのホワイエを飾るための12枚のパネルの1枚でした。現在、そのパネルの作品のほとんどはベルリンの新ナショナルギャラリーに所蔵されています。

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しばらく、20世紀の作品の展示を見て回ります。一緒にお付き合いくださいね。



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ジャンル : 海外情報

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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