ハンブルク市立美術館:フリードリヒのコレクションを満喫
今日はハンブルクHamburgでゆったり散策。まずはハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで名画鑑賞。
2階の常設展示室で20世紀の作品の展示から古典的な絵画の展示に移りました。現在、フリードリヒの展示室でフリードリヒの名品に魅了されています。
カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《初雪》。1827年頃、フリードリヒ、53歳頃の作品です。うっすらと雪を被った森の風景です。一本の道がここを歩む者の存在を見る人に考えさせるかのようです。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《滝のあるモミの森》。1828年頃、フリードリヒ、54歳頃の作品です。深く暗い森の中を緩やかな滝が流れ落ちていく様が描かれています。ここには人の姿がまったく感じられません。自然そのものだけを描いたのはいかなる意図だったんでしょう。ロマン主義というよりも自然主義みたいですが、自然といってもフリードリヒの心の中で再構成された理想化された自然なのでしょう。
・・・と書いたのですが、配偶者から鋭い突っ込み。滝の横に人が立っているじゃないのってことです。そんな筈はと・・・とよくよく見ると、確かに黒い人の形があります。前言を翻さざるを得ませんね。人が美しい滝を見ているロマンに満ちたロマン主義そのものの作品です。それも控えめに人影を描いた抒情的な名作ですね。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《ボヘミアの山の風景》。1830年頃、フリードリヒ、56歳頃の作品です。ボヘミアの山の風景は、フリードリヒが風景を単純化・抽象化する根本的な理解だけでなく、視覚的な調和に対する彼の特別な感覚も明らかにしています。草が茂った平野、低い山岳地帯の尾根、空を漂う雲-これらの3つのスペースを含む水平に層状になったストライプから、絵画の構図が構成されています。微妙な色の調和のとれた開墾地に対するフリードリヒの意識は、トウモロコシ畑でも明らかにされます。それは、中地に狭い黄色のストライプとして現れ、平野の緑のパレットと山の鉛灰色の間を仲介します。この山脈の地形がどこなのかということを明確に特定化できませんでした。おそらくそれは、スニェシュカ山を最高の頂に持つクルコノシェ(リーゼン)山脈の一部なのでしょう。このような地形の特定の問題は、フリードリッヒの絵画でしばしば発生します。彼は自然の探求でたいていは忠実にその事実に従いましたが、絵画では異なる地域から取り出した異なる地形の断片を自由に組み合わせました。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《鍬の入った畑》。1830年頃、フリードリヒ、56歳頃の作品です。自然と人の営みの融合は何と美しい風景になるのでしょうか。これもフリードリヒの心の中で再構成し、理想化した心象風景なのでしょう。

カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの《月明かりの海岸》。1835/36年頃、フリードリヒ、61/62歳頃の作品です。この10年ほど前から、時流から外れたフリードリヒは徐々に忘れられていきました。絵も売れなくなり、貧しくなったフリードリヒは、ただひたすら森や荒野を彷徨い歩いていました。1835年、61歳のフリードリヒは遂に脳卒中で倒れてしまいました。一命は取り留めたものの、麻痺が残り、油彩画は描けなくなってしまいました。本作が彼の最後の油彩画となりました。この作品がとりわけ暗い作品になってしまったことにフリードリヒのファンとして、大変、心が痛みます。

このハンブルク市立美術館で13枚ほどのフリードリヒの大コレクションを見て、ようやく、フリードリヒの代表的な作品のほとんどを見終えることができました。フリードリヒの絵画はドイツの美術館を中心に展示されています。saraiが見たのは以下の美術館です。
ベルリンBerlinの博物館島の旧ナショナル・ギャラリーAlte Nationalgalerie
ベルリンBerlinのシャルロッテンブルク宮殿Schloss Charlottenburg
ドレスデンDresdenのノイエ・マイスター絵画館Galerie Neue Meister
ミュンヘンMünchenのノイエ・ピナコテークNeue Pinakothek
フランクフルトFrankfurtのゲーテ博物館Goethe Museum
ウィーンWienの美術史美術館Kunsthistorisches Museum
ヴィンタートゥールWinterthurのオスカー・ラインハルト美術館Kunst Museum Winterthur / Reinhart
当美術館(ハンブルク市立美術館)
フリードリヒの絵画は妙に日本人のsaraiの心に響きます。かつて、ヨーロッパに留学していた東山魁夷もフリードリヒに心惹かれた日本人の一人だったようです。
ハンブルク市立美術館の鑑賞はさらに続きます。
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