ハンブルク市立美術館:ゴーギャン、ルノワール、シスレー
今日はハンブルクHamburgでゆったり散策。まずはハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで名画鑑賞。
2階の常設展示室で20世紀の作品の展示から古典的な絵画の展示に移りました。現在、ドイツの印象派、マックス・リーバーマンのコレクションを見終え、次はフランスの印象派を中心とした画家たちの作品です。
ポール・ゴーギャンの《水浴びするブルトン人(ブルターニュ地方のケルト人)の少年》。1888年頃、ゴーギャン、40歳頃の作品です。ゴーギャンがブルターニュのポン=タヴァン村を訪れたのは1886年のことで、それ以来、度々、訪れるようになります。そのときの主要な題材のひとつがブルトン人の少年たちの水浴でした。本作はゴーギャンのポン=タヴァン時代を代表する一枚でもあります。また、この年はゴッホとアルルで共同生活を送った年でもあります。彼がタヒチに旅発つのはこの作品を描いた後、3年後の1891年になります。

ピエール=オーギュスト・ルノワールの《温室の花》。1864年頃、ルノワール、23歳頃の作品です。ルノワールの印象派以前のごく初期の作品です。温室のガラスの壁の前には、花の咲く小さなヒナギクが植えられた木製の箱があり、その隣には花の咲く白いオランダカイウ、チューリップ、ライラック、シクラメンの鉢があります。背景は不明瞭な低木で、左上には窓の十字の横木が見えます。この作品はマックス・リーバーマンが所有していたそうです。

ピエール=オーギュスト・ルノワールの《ブローニュの森での朝の乗馬》。1873年頃、ルノワール、32歳頃の作品です。この作品では、1850年代に広大な公園に変貌したパリ西部のかつての森林地帯だったブローニュの森で、午前中に女性と少年が乗馬をしている場面が描かれています。このように、ルノワールは裕福なパリのブルジョア階級の人気のある娯楽を描きました。この作品を1873年のサロンに応募しましたが、この作品も落選し、この年5月から開かれた落選展に出品しました。この作品に好意的な批評と批判的な批評が出ましたが、エドガー・ドガの友人アンリ・ルアールが購入してくれました。その後、1913年にハンブルク市立美術館のコレクションに加わりました。なお、本作が描かれた年の翌年、1874年に「第1回印象派展」と呼ばれる歴史的展覧会が開かれます。ルノワールは、7点を出品し、『踊り子』、『桟敷席』、『パリジェンヌ(青衣の女)』など風俗画5点、風景画1点、静物画1点でした。

ピエール=オーギュスト・ルノワールの《マダム・エリオ》。1882年頃、ルノワール、41歳頃の作品です。この作品では、ゆったりと椅子にかけるルーブル百貨店の大株主オーギュスト・エリオ氏の夫人が描かれています。夫人は日本の着物をドレスの上に着ています。着物は 19 世紀の中ごろになると、室内着として知られるようになっていました。また、いわゆる、ジャポニズムが絵画の世界でも流行し、既にモネが着物姿の女性を描いています(《ラ・ジャポネース(日本の女性)》という1876年にクロード・モネによって制作された油彩作品。モデルは妻のカミーユ・ドンシュー。)。

ピエール=オーギュスト・ルノワールの《ヴィーナス》。1913年頃、ルノワール、72歳頃の作品です。ルノワールは晩年、南仏カーニュ=シュル=メールで住みました。1907年、カーニュ=シュル=メールのレ・コレットに別荘を買い、晩年をここで過ごしました。1906年にアリスティド・マイヨールがルノワールの胸像を制作したことを機に彫刻に興味を持ち始め、画商ヴォラールの勧めで彫刻を手がけるようになったそうです。この作品を制作した6年後にルノワールは78歳でこの世を去ります。

アルフレッド・シスレーの《アルジャントゥイユ近くのトウモロコシ畑》。1873年頃、シスレー、34歳頃の作品です。シスレーは、ピサロ、セザンヌ、ルノワールおよび他の画家とともに、1873年に設立された「印象派の協会」に初めから所属していました。その同じ年、このトウモロコシ畑の絵はセーヌ川沿いのアルジャントゥイユの近くで描かれました。風景は、黄色、青、緑の3色で構成されています。明るい黄色のトウモロコシ畑が広がり、村の教会のある丘の上へ続く暗い色調の木々が、絵画を構成しています。この絵のように、シスレーのほとんどの作品はパリ周辺の風景を題材にした穏やかな風景画で、シスレーは一貫して、印象派画法を保ち続け、もっとも典型的な印象派の画家と呼ばれています。

フランス絵画は続きます。
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