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ハンブルク市立美術館:レンバッハ、ドラクロワ、ドーミエ、コロー、ミレー、ファンタン=ラトゥール、ロートレック、ドガ、ブーダン、ギヨマン、ドミンゲス(キリコ)

2018年8月22日水曜日@ハンブルク/21回目

今日はハンブルクHamburgでゆったり散策。まずはハンブルク市立美術館Hamburger Kunsthalleで名画鑑賞。
2階の常設展示室で20世紀の作品の展示から古典的な絵画の展示に移りました。クラナッハ、ボッシュ、オランダ絵画を見て、この後は19世紀のドイツ・フランスの色々な絵画を見ていきます。

フランツ・フォン・レンバッハの《赤い傘》。1860年頃、レンバッハ、24歳頃の作品です。フランツ・フォン・レンバッハはドイツ出身で、貴族、芸術家、企業家などの肖像画家として成功した人物です。豊かな家の出身で「貴公子画家」と 呼ばれました。しかし、正直なところ、彼の名前は画家としてよりも、ミュンヘンの青騎士の大コレクションを有するレンバッハハウス美術館に名前を冠することのほうでその名前が知られています。少なくともsaraiにとってはそうです。でも、結構、ドイツの美術館では彼の作品を見かけることが多いことに気が付きました。多くは有名人の肖像画です。この作品は珍しく田舎の風景が描かれたものです。彼のごく初期の作品だからでしょう。ミュンヘン近くのアレシングの村からそれほど遠くない田舎のモチーフを描いた作品です。ちょっと見にくいのですが、赤い傘の陰にいるのは、手押し車の幼児と地面に横たわって、休んでいる子供です。

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フランツ・フォン・レンバッハの《作曲家フランツ・リスト》。1884年頃、レンバッハ、48歳頃の作品です。フランツ・フォン・レンバッハはこの作品を描いた2年前、1882年にバイエルン王国から功労章を受勲し、貴族の称号を与えられました。まさに絶頂のときにあったわけです。この作品を描き上げた年の翌年にはローマ教皇、レオ13世の肖像画の製作を依頼されます。そういうときに大作曲家リストの肖像画を描きました。リストは当時73歳くらいで、この2年後に亡くなります。前年に娘コジマの夫であったリヒャルト・ワーグナーが亡くなり、力を落としている時期でもありました。

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フランツ・フォン・レンバッハの《母と子》。1893年頃、レンバッハ、57歳頃の作品です。これまた珍しい絵ですね。普通、このテーマだと、聖母子を連想させるものが多いですが、これは違いますね。何か雰囲気のある作品ですが、詳細は不明です。

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ウジェーヌ・ドラクロワの《虎と蛇》。1854/58年頃、ドラクロワ、56/60歳頃の作品です。フランス・ロマン主義の大家ドラクロワの動物を描いた作品です。

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ウジェーヌ・ドラクロワの《ライオンとワニ》。1863年頃、ドラクロワ、65歳頃の作品です。ドラクロワの最晩年、亡くなる年に描いた作品です。何故、この美術館はドラクロワの動物の絵ばかりがあるのでしょう。

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オノレ・ドーミエの《初めての水浴び》。制作年は不詳です。ドーミエは19世紀のフランスの画家で、風刺版画家として知られるとともに、当時のパリ市民の日常生活などを油彩画で描きました。この作品もそのひとつ。

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オノレ・ドーミエの《救助》。1870年頃、ドーミエ、62歳頃の作品です。子供が救われる場面が描かれています。

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ジャン=バティスト・カミーユ・コローの《城》。1865/70年頃、コロー、68/73歳頃の作品です。コローの作品は既にまとめて見ましたが、何故か、1点だけ、ここに離れて展示されています。この作品も灰色もしくは銀色の靄のかかった独特の画法で描かれています。

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ジャン=フランソワ・ミレーの《掃除する農家の女》。1867年頃、ミレー、53歳頃の作品です。このミレーの作品も離れて展示されています。この作品はようやく、名声を得た頃のものです。何気ない農家の日常風景を描いています。

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アンリ・ファンタン=ラトゥールの《花のバスケット》。1875年頃、ファンタン=ラトゥール、39歳頃の作品です。ファンタン=ラトゥールは、フランスの19世紀の画家で、静物画、花の絵、友人の画家・作家たちのグループ肖像画などを描きました。この作品も得意の花の絵です。

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アンリ・ファンタン=ラトゥールの《楽劇:ラインの黄金、第1場》。1888年頃、ファンタン=ラトゥール、52歳頃の作品です。ファンタン=ラトゥールは、リヒャルト・ワーグナーの音楽の熱心な支持者であり、1876年の最初のバイロイト音楽祭で《ニーベルンゲンの指輪》のプルミエ上演を鑑賞しました。その経験で《ニーベルンゲンの指輪》の序夜《ラインの黄金》の第一場を描き上げましたのが本作です。

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックの《横顔の女性の肖像の習作》。1890年頃、ロートレック、26歳頃の作品です。この作品のモデルは《保護者の娘》と呼ばれていますが、彼女の身元はいまだ不明です。彼女の椅子に硬直して座っている姿勢はその内面の緊張を感じさせるものになっています。彼女は完全に自分自身にのみ関心があり、内向的な存在として描かれています。

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エドガー・ドガの《鏡の前》。1889年頃、ドガ、55歳頃の作品です。ドガも2度目の登場です。ドガは、画面の官能性と色彩の明るさのために、1870年頃からパステルチョークを好んで用いました。ドガは斜め上の視点から、化粧台で髪を結んでいる女性の後ろ姿を描きました。パステル画は、ドガの晩年の作品の特徴である、さまざまな絵画技法の実験的な取り扱いがみられます。

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ウジェーヌ・ブーダンの《フェカンの漁船》。1893年頃、ブーダン、69歳頃の作品です。ブーダンは19世紀フランスの画家であり、外光派の一人として印象派に影響を与えました。特にモネとはル・アーヴルで一緒に絵を描き、モネに屋外で絵を描くことを教えました。ノルマンディーの海岸を描いた作品が多く残されています。本作もその一枚です。フェカンはル・アーヴルから40㎞ほど北の漁港です。

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アルマン・ギヨマンの《パリのベルシー河岸》。1874年頃、ギヨマン、33歳頃の作品です。この作品はさきほど見たセザンヌの同名の作品のもととなった作品です。あのセザンヌがコピーするほどですから、よほど、インパクトのある作品だったのでしょう。印象派の先駆けの作品の一つです。

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さて、いよいよ、この美術館でご紹介する最後の絵です。面白い絵を見つけました。てっきり、キリコの絵だと思ったのですが・・・

オスカル・ドミンゲスの《通りの神秘と憂愁(ジョルジョ・デ・キリコに拠る)》。1941-45年頃、ドミンゲス、35-39歳頃の作品です。オスカル・ドミンゲスはスペイン出身の画家で、主にシュルレアリスムに属するとされています。ピカソや、ジョルジョ・デ・キリコ等の作品の贋作を描いていたとも言われています。実際、この作品は同名のジョルジョ・デ・キリコの有名な作品のコピー、あるいは贋作に思えます。

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これでこの美術館の鑑賞は完了。
カンディンスキー、マルク、マッケ、ヤウレンスキーなどの青騎士の作品、ブーダン、モネ、マネ、シスレー、ルノワール、ドガ、ゴーギャンなどの印象派やセザンヌ、コロー、クールベ、ミレー、テオドール・ルソーなどのフランス絵画、リーバーマンのドイツ印象派作品、マグリット、デルヴォー、クノップフなどのベルギーの作品、レンブラント、ルーベンスを始めとするオランダ・フランドル絵画、ミレイ、ロセッティなどのラファエル前派やバーン・ジョーンズ、ムンク、クラナッハ、ベックマンやキルヒナーやノルデのコレクションも充実、配偶者の大好きなボッシュも1点、ホドラー、アンリ・ルソー、ドニ、ルドン、ドーミエ、ドラン、ピカソ、ロートレック、ダリ、ヴラマンク、ヴァン・ダイク、ベックリンなど錚々たる画家たちの作品が並んでいました。これだけ並べると、ちょっと展示がごたついていたのも仕方がないのかもしれません。

なかなか見て回りにくい展示室の並びなので、面白いものを見逃さないように、最後に確認の一周をします。

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おかげで、ボッスを見逃さずに済みました。これだけを2時間ほどで見て回り、くたくたになりました。それでも、なかなか充実した美術鑑賞になり、満足です。

ここで休憩をしたいところですが、せっかくですから、美術館のカフェでは寂しいですね。運河沿いの赤レンガ倉庫まで足を伸ばし、そこでお茶することにします。



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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

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