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鮮烈にして狂奔に突っ走る!バルトーク快演奏・・・フルシャ+東京都響@サントリーホール 2012.12.15

今年最後の東京都交響楽団のサントリーホールでの定期演奏会はフルシャの指揮でバルトークとコダーイのハンガリープログラムです。このところ、好調を持続し、名演を連発している都響を毎回素晴らしい指揮で唸らせてくれるフルシャがどうコントロールし、インスパイアするか、期待が高まります。
今日のプログラムは以下です。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  ピアノ:ゲルハルト・オピッツ
  管弦楽:東京都交響楽団

  バルトーク:ピアノ協奏曲第2番

  《休憩》

  コダーイ:ガランタ舞曲
  バルトーク:「中国の不思議な役人」組曲

最初はオピッツのピアノでバルトークの名作、ピアノ協奏曲第2番です。saraiは第3番が一番、好きですが、第2番はバルトークの精気あふれる作品で、絶頂期の傑作とも言えます。エネルギー充填度の高さから、気分が高揚する作品です。今日の都響は矢部達哉がコンサートマスターを努め、四方恭子も並ぶ万全の布陣。第1ヴァイオリンの女性奏者の顔触れも充実しており、ベストメンバーと思えます。ただ、ベートーヴェン、ブラームスを主なレパートリーとするオピッツがどんなバルトークの演奏をするか、正直、不安です。ミスマッチのような気もします。エレーヌ・グリモーか、コチシュ・ゾルターンで聴きたいところです。実際、予習したのは以下のCDです。

 ピアノ:コチシュ・ゾルターン、指揮:イヴァン・フィッシャー、管弦楽:ブダペスト祝祭管弦楽団

このCDは文句も付けどころのない演奏でした。

さて、いよいよピアノ独奏とともに第1楽章が開始。オピッツはてっきり、ピアノをがんがん叩いてくると思っていたら、実に軽妙に肩の力が抜けた演奏で、いつもよりも音量も抑え気味です。ベートーヴェンのソナタを弾くときよりも、かえって、手も回っています。オーケストラの管楽器のほうがうるさいくらいに感じます。最高の演奏とは言いませんが、なかなかの好演です。ところで、迂闊にもsaraiは第1楽章では、弦楽器の出番がまったくないことに今まで気が付いていませんでした。管楽器と打楽器だけで、フルシャが見事なサポートをして、満足の第1楽章です。
第2楽章は、休んでいた弦楽器が低い音量ながら、夜の闇、あるいは深い霧を思わせる幻想的な響きで音場を作り出します。そこにピアノが光点をあてるように、静かな響き、しかし、くっきりした響きで侵入してきます。バルトークの作り出した20世紀の抒情はこういう形です。古典派の音楽がここまで変容してきたことに思いを馳せます。見事な演奏です。この楽章は中間部でテンポを上げ、盛り上げて、また、幻想的な抒情に戻ります。
そして、ほとんど休みなしに第3楽章に突入します。この音楽はバルトークの書いた音楽のなかでも最高傑作のひとつと言えるでしょう。高い緊張感、複雑なリズムでの躍動感、熱い激情、まったく隙のない構成です。オピッツ、都響は見事にそれを演奏し、中心にはフルシャの巧みなコントロールがあります。聴集も沸きましたが、まさに見事なバルトークでとても満足しました。
オピッツのピアノも素晴らしく、ベートーヴェンでも、こういう風に力の抜けた演奏ができればいいのになあとも思いました。

休憩後、コダーイの作品です。コダーイはバルトークの盟友でもあり、一緒にハンガリーの民謡を収集したりしましたが、この作品はハンガリー民謡というよりも、ロマの音楽をベースにしたエンターテインメント性の高い作品です。こういう楽しい作品でも、フルシャは曲のつかみが見事で素晴らしい演奏に仕上げてきました。精神性をうんぬんする作品ではないので、素直にロマの音楽を楽しみました。それ以上でもそれ以下でもありません。

最後はまた、バルトークの作品に戻って、これが今日のメイン曲になります。これは超素晴らしい演奏で、久しぶりにバルトークの音楽の真髄に触れた思いです。「中国の不思議な役人」はもともと、パントマイムのための舞踊音楽ですが、その過激な内容のために演奏機会がなく、バルトーク自身が演奏会用の組曲に編曲し、今日はその組曲版の演奏です。実際には、全曲の最初の3分の2くらいをそのまま抜き出し、コーダを付け加えただけの組曲で音楽的には、全曲とそんなに違っているわけではありません。ただ、今日、実際に聴いた感覚では、組曲版を聴くということは、踏み込んだ言い方をすれば、音楽の背後にあるパントマイム舞踊音楽としての物語性を排除し、純粋音楽、もっと言えば、絶対音楽として、この音楽を成立させてしまうことになってしまうと感じました。バルトーク自身の意図とは異なるかもしれませんが、saraiは物語性を忘れて、音楽の自在な響き、ダイナミズム、シャープなリズムだけで高揚しました。フィナーレに向かっての複雑に絡み合ったリズムの饗宴、それは狂気そのものにも思える凄まじさで、圧倒されつくしました。フルシャの意図ももしかしたら、そのあたりにあり、あえて、全曲版を避けたのではないかとも深読みしてしまいました。それにしても、フルシャの高い要求に応えた都響の高いレベルの合奏力には舌を巻きました。フルシャ、そして、インバルの振るときの都響は常に素晴らしい高みに上り詰めます。

来週は東京文化会館で今年最後の都響の定期演奏会です。そして、フルシャがチェコの作曲家マルティヌーの交響曲第6番を振ります。saraiにとっても今年最後のコンサートです(ジルヴェスターコンサートは別として)。きっと、素晴らしい音楽体験が待っている予感がします。



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11/09 22:13 sarai

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