ただただ感動!ヤンソンス+バイエルン放送響のベートーヴェン交響曲第9番@サントリーホール 2012.12.1
お昼は横浜・上大岡のひまわりの郷でのアンヌ・ケフェレックのピアノ・リサイタル。とても気持ちのよいピアノの響きに満足したリサイタルでしたが、このリサイタルのレポートは後回しにさせていただきます。
夜はサントリーホールに移動して、ヤンソンス指揮のバイエルン放送交響楽団でベートーヴェンの交響曲第8番と第9番を聴きました。
前半の交響曲第8番は大変に切れのいいアンサンブル、特に弦楽セクションが素晴らしく、ちょうど1年ほど前にウィーン楽友協会で聴いたウィーン・フィルの演奏ウィーン楽友協会で聴いたウィーン・フィルの演奏と拮抗する出来で大いに満足しました。ウィーン・フィルのコンサートでは、この交響曲第8番がメインの曲目でした。この日のコンサートはこの交響曲第8番だけ聴いて、サントリーホールを後にしても、大満足できる気分でした。それほどの素晴らしさでした。
休憩後は、まるでおまけのような形の交響曲第9番でしたが、さすがに緊張して、聴き始めました。生で聴くのは実に久しぶりで、前にいつ聴いたのか、思い出せないほどです。この日に向けて、ちゃんと予習しましたが、交響曲第9番と言えば、やはり、フルトヴェングラーを置いて、ほかはないでしょう。予習したのは3つの伝説的な名演です。
1942年のベルリン「第9」 幻のメロディア 青トーチ(たいまつ)盤からの復刻 ベルリン・フィル オーパス蔵盤
1951年の戦後バイロイト再開の年の記念演奏会の録音、最も有名な「第9」 バイロイト祝祭管弦楽団 ザ・グレートEMIレコーディングス
1954年のフルトヴェングラーが亡くなる直前のルツェルン音楽祭の「第9」 フィルハーモニア管弦楽団 ターラ盤
フルトヴェングラーの「第9」については、ハルくんさんのブログに詳しく紹介されています。どの演奏も素晴らしいの1語ですが、共通して言えるのは、凄まじいばかりの推進力です。圧倒的で否応なしに感動してしまいます。
久しぶりの生演奏の交響曲第9番・・・この曲はやはり特別な輝きに満ちている超名曲でした。今更ながら、そんなことを書くのも何ですが、頂点を極めた音楽であることを改めて感じました。そして、昨日の演奏の素晴らしさと言ったら、とても表現のできないものです。指揮のヤンソンスは以前に比べて、明らかに芳醇の時期を迎えたようです。かなり、頬がこけて、若々しさは失われましたが、それ以上に音楽的に充実してきました。そして、彼と相性がよいバイエルン放送交響楽団のとびっきりの合奏力、こんなに精緻な演奏が可能なのかと唖然としてしまいました。それは時として、わずかな破綻も引き起しましたが、その破綻によって、かえって、どれほど高精度な演奏をしているのか、確認できたほどです。それにしても弦楽アンサンブルのシャープな響きの素晴らしさと言ったら、驚くほどです。管では、ホルンの見事な演奏に感服。ベートーヴェンの交響曲では、ホルンの役割が重要なことを再認識しました。
合唱はバイエルン放送合唱団です。日本人歌手の姿が多かったので、少し、日本人の助っ人で増量したのかもしれませんが、素晴らしい合唱でした。特に女声の澄み渡るような響きには、心が洗われました。
独唱陣も最高の出来でした。
ソプラノ:クリスティアーネ・カルク
アルト:藤村美穂子
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バス:ミヒャエル・ヴォッレ
バスのヴォッレはたっぷりした声量で、堂々たる歌いぶり。往年のエーデルマンにも比肩できる歌唱でした。テノールのシャーデは持ち前の美声に加え、張りのある高音で魅了されます。ヘルデン・テノールとはまた違った形での歌唱に満足です。女声の二人も好調でした。4重唱では、大変、感動し、涙が滲みました。
第1楽章は宇宙を感じさせられるスケールの大きな演奏で、強奏はまるでビッグ・バンのようでした。
第2楽章は切れのあるダイナミックな演奏で、オーケストラの実力を思い知らされました。
第3楽章は独唱者たちの入場もあり、再スタートのような形でした。その音楽の神聖さは宗教的にも思えますが、自然に対する人間の思いを最高に表現した、崇高な音楽です。ベートーヴェンが到達した最高峰と感じさせられる、素晴らしい響きに満ちていました。ヤンソンスとバイエルン放送交響楽団の達成したものの大きさには感動するしかありません。この交響曲はここで終わっても、偉大な音楽です。
第4楽章はオーケストラ、合唱、独唱のすべてが完璧に融合し、巨大な構造物を形作っていました。そして、何といっても美しい! 人間愛の豊かさも限りありません。フィナーレにすべてが集約されていくのは、聴いている自分も飛翔していくような感覚を覚えます。
超弩級の音楽、演奏でした。こういう音楽に出会える人生に感謝あるのみです。
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