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ベルヴェデーレ宮殿のオーストリア・ギャラリー:シーレ、ゲルストル

2019年9月8日日曜日@ウィーン/7回目

ベルヴェデーレ宮殿Schloss Belvedereの上宮Oberes Belvedereのオーストリア・ギャラリーÖsterreichische Galerie Belvedereで絵画鑑賞中です。
素晴らしいクリムト、シーレの作品に魅了されます。

エゴン・シーレEgon Schieleの1914年、24歳頃の作品、《家の壁(窓)Hauswand (Fenster)》です。クリムトがアッター湖Atterseeの景色にインスピレーションを得て、風景画を描いたように、シーレは母マリアの故郷クルマウKrumau(チェコ語表記:チェスキークルムロフČeský Krumlov)の古い町の景色にインスピレーションを得て、多くの風景画を描きました。この作品もその1枚です。この作品は初めは立体的に家の側壁まで描き込んでいましたが、最終的に平面的に壁と窓だけを描きました。そして、古い壁の質感を出すために粗いカンバスの上に下地を塗らずに粗いタッチで、細かい砂とチョークの粉を絵の具に混ぜて描きました。発表当時は批判的だった世評も今では高い評価に変わっています。なお、描かれた家は母マリアの実家だそうです。シーレ、渾身の1枚です。

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エゴン・シーレEgon Schieleの1910年、20歳頃の作品、《ライナー坊や(ヘルベルト・ライナーの肖像)Reinerbub (Bildnis Herbert Reiner)》です。このモデルの少年はウィーンの整形外科医マックス・ライナーの息子で、ライナー坊やと呼ばれていました。シーレはこの作品に強い自信を持っていたようです。クリムトの肖像画に見られるような装飾性を排し、背景には何も描かずに、ずばっと少年の内面に迫るような直球勝負に出ています。シーレの若い時代の作品に珍しく、大胆な性的な表現なしの真摯とも思える1枚です。

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リヒャルト・ゲルストルRichard Gerstlの1908年、25歳頃の作品、《笑う自画像Selbstbildnis, lachend》です。一見、屈託なく笑っている自画像です。でも、これが描かれたのは彼が首吊り自殺をとげた年です。人間、あまりに絶望すると、もう、笑うしかないという心境に陥ります。saraiもたまに経験します。この笑い顔はまさにその表情のようです。その自画像を描いている画家の心境はどうだったのか、想像もできません。この年の夏に作曲家シェーンベルクの妻マティルデと駆け落ちしますが、マティルデはアントン・ウェーベルンの説得で10月に夫シェーンベルクのもとに戻ります。その愛の痛手と芸術上の行き詰まり(クリムトと敵対して、いざこざを起こして孤立)で、ゲルストルは若干25歳で11月に自殺しました。ところでこの作品はゴッホのようなタッチで描かれています。でも、ゴッホはこんな絵を絶対に描きませんね。

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エゴン・シーレEgon Schieleの1917年、27歳頃の作品、《4本の木Vier Bäume》です。一見すると、何でもないような風景画に見えますが、この絵の前に佇んで、じっと眺めていると、この絵の途轍もない素晴らしさが心に沁み渡ってきます。この絵に哀愁を感じない人はいないでしょう。画家の心の中のやるせない思いが投影されて、それがこの風景画を美しく見えています。画面のほぼ真ん中にある夕方の太陽のバラ色の光と手前の暗い緑の丘に立つ4本の木が対照的に描かれて、この世とも思えない“美”が現出します。ゴッホが描いた狂気の風景画をシーレもまた別の狂気で描き出しています。風景画の超傑作です。
改めて思いますが、こういう天才的なシーレ、クリムト、そして、ココシュカのいたウィーンでは、やはり、若きゲルストルは苦悩したことでしょう。才能あるゲルストルは死を選びたくもなったかもしれないと実感します。

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リヒャルト・ゲルストルRichard Gerstlの1907年、24歳頃の作品、《エルンスト・ディエツ教授Professor Ernst Diez》です。美術史家のエルンスト・ディエツ博士を描いたものです。彼はシェーンベルクの弟子のアントン・ウェーベルンの従弟で、当時、ウィーンに滞在していました。その後、彼はイスラム美術の研究に打ち込み、イスタンブール大学で教鞭と研究を行いました。なぜか、ゲルストルの絵はピントの外れた写真になりますね。

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次はもう一人の天才、オスカー・ココシュカの登場です。



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