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至高のブラームス!インバル:東京都交響楽団定期演奏会@サントリーホール 2012.10.22

嬉しい驚きでした。インバルと東京都交響楽団がやってくれました。最高のブラームスでした。マーラーでは何度も素晴らしい体験をさせてくれた東京都交響楽団ですが、ドイツのオーケストラすら超えるようなブラームスを遂に演奏してくれました。それも今日演奏した2曲ともどちらも素晴らしい演奏でした。単なる偶発的な演奏ではなく、確実にアンサンブルを高めてきた結果だと思います。それにしてもインバルは真に巨匠だと再認識させられました。インバルの指揮するブラームスということで、半信半疑、どういう演奏になるのか、そう高い期待も持たずにコンサートに足を運びました。素晴らしく美しいブラームスと表現すればいいのでしょうか。磨き抜かれた輝きがそこにはありました。重厚さや渋さというよりも澄み切った秋空のような透徹した美の世界です。今回は先週の東京文化会館での定期演奏会と合わせて、ブラームスの全交響曲ツィクルスでしたので、先週のコンサートを聴き逃したのが悔やまれます。今日の出来から考えると、先週のコンサートもきっと素晴らしい演奏だったに違いありません。それに今日の東京都交響楽団のメンバーは少なくとも弦楽器セクションの顔ぶれはベストメンバーではありませんでした。それでこの演奏ですから、東京都交響楽団は相当、地力がついてきたように思われます。今後のマーラー・ツィクルスも期待が高まりますね。

今日のプログラムは以下です。

  ブラームス:交響曲第2番ニ長調Op.73

《休憩》

  ブラームス:交響曲第4番ホ短調Op.98

最初の交響曲第2番、あまりsaraiの集中力のない状態で始まりましたが、すぐにえっという感じになりました。ふわーっとした素晴らしい響きが広がっています。真正のブラームスの響きです。久しぶりに聴く本物のブラームスの世界がそこにあります。インバルの指揮はとりたてて、どうということはありません。ただ、きっちりと棒を振っているだけです。余程、リハーサルで磨き上げたのでしょう。結局、どの楽章も終始一貫して、完璧ともいえる演奏が続きました。特に楽章ごとのはいりが自然で素晴らしかったのが印象的です。生で聴いた交響曲第2番では最高の演奏でした。これまで一番良かったのは、パーヴォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団でしたが、無駄な力が抜けていた分、今日の演奏が上回りました。第2楽章の深い味わいのある旋律が美しく歌われたのには、うっとりと聴き入るのみでした。第4楽章の輝かしいフィナーレには心躍る感動がありました。

この交響曲第2番も素晴らしかったのですが、交響曲第4番の仕上がりのよさはさらなるものでした。無理のない強弱の付け方、そして、強音でもしっかりしたアンサンブル、弱音での各楽器パートの安定した美しい響き、何をとっても文句の付けようのない演奏です。長い第1楽章もじっと聴きいっているうちに終わってしまい、名残り惜しく感じます。弦楽器セクションの素晴らしさは例えようもありませんが、特に第1ヴァイオリンの美しい高音の響きには自分の耳が純化する思いです。どこをどうとっても素晴らしいとしか言いようのない演奏が続き、心は高揚するばかりです。最高に素晴らしかったのは第4楽章のフルートソロからの部分です。まさにこれこそ、秋の日に聴くべき演奏です。秋の日の木漏れ日の美しさにも思えるしみじみとした深い抒情あるいは寂寞感が管楽器によって淡い表情で演奏されます。これこそブラームスを聴く最高の喜びです。何という美しい演奏でしょう。心はブラームスの秋色で満たされていきます。そして、あっという間に上り詰めるフィナーレ。もっともっと聴いていたかったブラームスでした。インバルに脱帽です。

ガリー・ベルティーニの指揮したマーラーの第5番に衝撃を受けて、東京都交響楽団を聴き始めましたが、10年以上も聴いてきて、最高の演奏でした。このブラームスを上回る演奏はこれまでウィーン・フィルの演奏した第4番のみです。東京都交響楽団は日本のオーケストラの枠を超えたレベルに達してきたのでしょうか。その答えはこれからのマーラー・ツィクルスのなかにあるでしょう。今週末はいよいよマーラーの大曲、第3番を聴きます。



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この記事へのコメント

1, Masaさん 2012/10/23 17:32
こんにちわ。久しぶりにコメントさせて頂きます。
インバル+東京都交響楽団では、少し前にショスタコ10番を聴きましたが、相当に感動したのを覚えています。
マーラーチクルスも全部聴きたいところですが、そうもいきませんので、とりあえず大好きな5番を買いました。まだまだ先ですが、楽しみにしています。
3番の感想を楽しみに待っています。

2, saraiさん 2012/10/23 22:10
Masaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

マーラーチクルスの第5番は定期演奏会に組み込まれているので、当然聴くことになります。第5番も楽しみですが、フェルミリオンの歌う「リュッケルトの詩による5つの歌」も素晴らしそうな予感がします。あと、もちろん、第9番は外せませんね。2014年3月17日ですよ。
第3番はやはり終楽章が楽しみです。
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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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07/08 18:59 sarai

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