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パウル・クレー・センター:バウハウス時代~デュッセルドルフ、そして、スイスへの亡命

2019年9月13日金曜日@ルツェルン~バーゼル~ベルン/7回目

ベルンBern郊外のパウル・クレー・センターZentrum Paul Kleeを訪れ、クレーの作品を鑑賞しています。制作年順にご紹介していますが、バウハウス時代の後期の作品を鑑賞中です。なお、年号の後ろのカッコ内の数字はクレーの作品に付けられた整理番号です。

《奇妙な劇場》。1929年(316)、クレー50歳頃の作品です。劇場の色んな様子を構成したものでしょうが、モノクロームのせいか、未完成のように思えます。

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《征服者》。1930年(129)、クレー51歳頃の作品です。幾何学模様や記号を組み合わせた抽象絵画にも見えますが、ちゃんと具象的なイメージも分かります。槍と旗を持った傲慢そうな征服者の姿が描かれています。ナチスが世界を席巻する姿を予見したのでしょうか。いずれにせよ、世界恐慌で不安な社会になった限界状況はクレーの絵画にも影響を与えない筈がありません。

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《仕事》。1930年(223)、クレー51歳頃の作品です。何か鬱屈したイメージの作品です。タイトルと照らし合わせると、仕事を活き活きとする姿ではなく、仕事に圧し潰される人間の苦しい姿が思い起こされます。この時代、町には失業者があふれかえっていました。

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《家族の散歩》。1930年(260)、クレー51歳頃の作品です。犬や子供を連れた家族の散歩が幾何学模様で描かれています。晩年の線画への萌芽を感じます。ゆったりした微笑ましい家族のシーンが描かれていますが、どことなく、不安なイメージも垣間見えます。

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ここまでがバウハウス時代の作品です。様々な挑戦をしながら、芸術の幅を広げた充実の時代でしたが、最後は暗い影も見えてきます。
この後は1931年から1933年までデュッセルドルフの美術学校の教授の職に就きました。スイス亡命前の最後のドイツ時代になります。


《襟(ネックレス)》。1932年(227)、クレー53歳頃の作品です。一見、ピカソ風のキュービズムを思わせますが、ここでは画面全体の淡い色彩に注目すべきでしょう。特に顔のピンクっぽい色彩が印象的です。男女のカップルのほのぼのとした愛情にも心が和みます。

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ここまでがスイス亡命前の作品です。クレーはナチス当局の様々の弾圧を受けて、生まれ故郷のスイスのベルンへの亡命を決意します。しかし、ドイツ国内の銀行口座は凍結され、亡命後は経済的に困窮することになります。しかも追い打ちをかけるように、亡命の2年後、原因不明の難病である皮膚硬化症を発症し、創作もはかどらなくなります。その亡命後の苦しい時代の作品を見てみましょう。

《悲嘆》。1934年(8)、クレー55歳頃の作品です。静かに喪に服す姿が見事な技法で描き出されています。タイル状の点描と大胆な線画の組み合わせはクレーの得意の手法で傑作《パルナッソス山へ》でも用いられました。しかし、ここにはあの輝きはなく、深い哀しみだけが見るものの心を打ちます。

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《創造主》。1934年(213)、クレー55歳頃の作品です。抽象的な模様だけが描かれています。クレーは創造主の姿を求めて、救いを探しているのでしょうか。これもある意味、哀切を極めるような作品です。

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《レディー・デーモン(悪魔)》。1935年(115)、クレー56歳頃の作品です。タイトルはおどろおどろしいですが、作品自体は剽軽な雰囲気を醸し出しています。この年の作品は極めて少ないです。

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5年ほど創作活動が低迷する時代が続きますが、1937年ごろにはふたたび、創作活動が活発になり、最後の頂点を迎えることになります。しかし、難病に侵されたクレーに残された時間は僅かです。その最後の2年間ほどに奇跡のような天使シリーズが生まれることになります。



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