FC2ブログ
 
  

究極のポリフォニー音楽、ロ短調ミサ曲は平和を希求する!:バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2020.9.20

今年はバッハ・コレギウム・ジャパンの創立30周年の年で、バッハの3大宗教曲が演奏されます。8月の素晴らしかったマタイ受難曲に続いて、今日はロ短調ミサ曲。この二つは特別な音楽で、西欧音楽の頂点に立つ作品です。コロナ禍の会場は人数が半数以下に制限されましたが、バッハをこよなく愛する聴衆が詰めかけました。そして、それにふさわしい最高の演奏を聴くことができました。

ステージ上は演奏者間の距離を開けるため、ステージをフルに使った配置。最後列はオーケストラが弧状に1列に並び、その前に合唱隊が2列に並びます。合唱隊の前列はソプラノとアルト。後列はテノールとバスです。前回のマタイ受難曲と同様の配置ですが、音の響きの広がりが素晴らしく、納得の響きです。演奏者間の距離が広がり、合わせるのが難しい筈ですが、名人たちの集団はこの配置の演奏を完璧にマスターしたようです。コロナ禍の賜物ですが、今後もこの配置がよいのではと思ってしまいます。

今日の演奏は、何と言っても、合唱のフーガの演奏の素晴らしい響きが聴きもので、合唱、古楽オーケストラ、通奏低音のポリフォニーの極致を極める清冽で迫力のある音響に魅せられました。海外演奏家の来日が遠のいている現在、日本人だけの演奏で世界最高レベルのバッハが聴けるのは何と嬉しいことでしょう。

今日の演奏をかいつまんで概観してみましょう。

第1部. ミサ(キリエ (Kyrie)とグロリア (Gloria))

第1曲はKyrie eleison . 五部合唱です。まず、冒頭のキリエと歌われる合唱の素晴らしい響きに魅了されます。その後、器楽合奏を挟み、素晴らしい合唱のフーガが展開され、そのフーガの織りなす綾とそれを支える通奏低音の響き、古楽器のオーケストラの響きが混然一体にになり、ポリフォニーの究極を味わわせてくれます。こんな音楽はほかにありません。

第2曲はChriste eleison. 二重唱(ソプラノ1、2)です。ヴァイオリンの明澄な響きに乗って、ソプラノの美しい響きが聴けます。澤江衣里の美しい声はまずまずです。

第3曲はKyrie eleison. 四部合唱です。これは終始素晴らしい演奏。第1部では最高の演奏でした。合唱のフーガの素晴らしさに圧倒されました。感動でうるうる状態になります。

第4曲はGloria in excelsis. 五部合唱です。トランペットが響き渡り、晴れやかな合唱に心が浮き立ちます。終盤の高潮は圧倒的です。

第5曲はEt in terra pax. 五部合唱です。平和を希求する静謐とも思える音楽に深い感銘を覚えます。

第6曲はLaudamus te. 若松夏美の素晴らしいヴァイオリンオブリガートに聴き惚れます。そのヴァイオリンに先導されて、アリア(ソプラノ)が歌われます。澤江衣里の美しい声にうっとりとします。

第7曲はGratias agimus tibi. 四部合唱です。相変わらず、素晴らしい響きです。その響きの明澄さに心洗われる思いです。

第8曲はDomine Deus. 二重唱(ソプラノ、テノール)です。フラウト・トラヴェルソの明澄で素朴な響きが最高です。菅きよみ、前田りり子のコンビの演奏は見事です。

第9曲はQui tollis peccata mundi. 四部合唱です。しみじみとした感動の合唱です。

第10曲はQui sedes ad dexteram Patris. 三宮正満の名人芸のオーボエ・ダモーレに聴き惚れます。オーボエ・ダモーレに伴奏されて、アリア(アルト)が歌われます。布施奈緒子の歌唱はまずまずです。

第11曲はQuoniam tu solus sanctus. 日高剛の素晴らしいコルノ・ダ・カッチャのオブリガートが素晴らしいです。コルノ・ダ・カッチャはホルンの古楽器で、演奏が超難しそうです。アリア(バス)は加耒 徹の歌唱ですが、これもまあまあですね。

第12曲はCum Sancto Spiritu. 五部合唱です。第1部の最後を飾る壮麗な音楽です。終盤の圧倒的なアーメンに感動します。

ここで休憩です。後半は第2部以降です。後半は前半以上の素晴らしい音楽でした。細部の感想は省略します。力尽きました。


第2部. ニケーア信経 (Symbolum Nicenum)

第3部.サンクトゥス(Sanctus)

第4部.ホザンナ、ベネディクトゥス、アニュス・デイとドナ・ノビス・パーチェム(Hosanna, Benedictus, Agnus Dei)

後半の合唱は前半と同様の感想ですが、ますます、素晴らしい響きでした。ベネディクトゥスのテノールの西村 悟のアリアは素晴らしいですが、それ以上にフラウト・トラヴェルソの菅きよみの独奏は素晴らしいの一語。アニュス・デイの布施奈緒子のアリア歌唱も美しいものでした。圧巻だったのは最後の第27曲の合唱。Dona nobis pacem.(我らに平和を与えたまえ)。清澄さの限りを尽くした最高の歌唱はバッハの名作を締めくくるのにふさわしいものでした。最後はトランペットも加わって、全器楽と合唱が高らかに平和を願いながら、壮麗に音楽を閉じました。


BCJのロ短調ミサ曲がこんなに素晴らしいのだったら、マタイ受難曲と同様に毎年、演奏してもらいたいものです。


今日のプログラムは以下です。


  指揮:鈴木 優人
  ソプラノⅠ:澤江衣里
  ソプラノⅡ:松井亜希
  アルト:布施奈緒子
  テノール:西村 悟
  バス:加耒 徹
  フラウト・トラヴェルソ:菅きよみ、前田りり子
  オーボエ:三宮正満、荒井豪、森綾香
  コルノ・ダ・カッチャ:日高剛
  ヴァイオリン(コンサートマスター):若松夏美
  チェロ:山本徹
  ヴィオラ・ダ・ガンバ:福沢宏
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン


J. S. バッハ

《ミサ曲 ロ短調》 BWV 232

第1部

 《休憩》

第2部~第4部


最後に予習について、まとめておきます。

3枚組のLPレコードを聴きました。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団 1961年
  マリア・シュターダー、ヘルタ・テッパー
  エルンスト・ヘフリガー、キート・エンゲン、
  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

かなり古い演奏ですが、今でもその価値は永遠のものです。独唱者の顔ぶれが凄いです。このLPレコードとリヒター盤のマタイ受難曲のLPレコードを聴くためにレコードプレーヤーと真空管アンプを持っているようなものです。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!







関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       バッハ・コレギウム・ジャパン,

コメントの投稿

非公開コメント

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

天野さん

saraiです。初めまして。コメントありがとうございます。ブログを書く励みになります。当日は快晴で素晴らしい日でしたが、夏の陽光がまぶしいほどで暑さに悩ま

09/27 14:15 sarai

充実した心豊かなご様子に励まされます.
情報、有り難うございました.
いつか、ふらっと訪ねてみたいです.

09/27 09:23 天野哲也

昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

07/20 05:08 えりちゃ

はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR