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川久保賜紀は好演・・・しかし、東京交響楽団はどうした!@サントリーホール 2020.9.26

今日のコンサートも海外からの音楽家の来日中止の影響で、日本人による代演となりました。とりわけ、期待していたアリーナ・イブラギモヴァのヴァイオリンが聴けないのが残念です。かくなる上は川久保賜紀のヴァイオリンに期待するしかありません。ずいぶん前に川久保賜紀の演奏を聴いて、saraiの好みに合わないので、切り捨ててきた経緯があります(川久保賜紀のファンのかた、ごめんなさい!)。実は何を聴いたかも忘れるくらい昔の話です。今の川久保賜紀はどうなんだろうと不安に思いつつ、演奏に臨みました。今日はショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲 第1番ですから、日本人演奏家が比較的、取り組みやすい音楽です。日本人音楽家、それもヴァイオリンとなると、世界的な水準でいっても、最高レベルの技術は当たり前の感があります。あとは音楽性の問題だけです。今日のショスタコーヴィチの協奏曲では第1楽章と第3楽章にとてつもない音楽性が要求されます。それにもうひとつの問題点があります。これは聴く側のsaraiにあります。当ブログでも書きましたが、今年の1月に同じ曲を庄司紗矢香のヴァイオリンで聴きましたが、それが物凄い演奏で大変に感動したんです。

 庄司紗矢香の空前絶後のショスタコーヴィチに驚愕! サロネン&フィルハーモニア管弦楽団@東京芸術劇場 2020.1.28

庄司紗矢香の魂の歌とも思える超絶的な演奏でした。これ以上の演奏は世界中の誰にも無理でしょう。そういうものを今年、聴いたばかりなので、今日の演奏の前に大きな壁として、庄司紗矢香が立ちはだかるんです。
前置きが長くなりましたが、今日の演奏のことについて述べましょう。一言で言えば、不安に思っていたことは払拭されました。川久保賜紀のヴァイオリンは技術的に完璧で、何よりリズム感がよく、一番の美点はヴァイオリンの響きが美しいことです。ダブルストップのあたりの演奏に彼女のよさが一番出ていました。それに自然で素直な音楽表現にも好感が持てました。結果的に大変、満足できました。第3楽章の後半あたりでも感銘を受けました。が、もちろん、庄司紗矢香のように魂を揺さぶられるということはありません。それはそれでいいでしょう。色んな音楽の形、表現がありますからね。

後半はバルトークの《管弦楽のための協奏曲》です。現在、saraiの一押しのオーケストラ、東響の最上の演奏を期待していました。オーケストラがその腕前を披露するのに、これ以上の曲目はありませんからね。ヨーロッパの一流オーケストラにも比肩するような演奏をしてきた東響にとって、saraiを驚愕させることくらい、簡単なことでしょう。しかしながら、その期待は水泡に帰しました。もちろん、東響の地力を発揮して、それなりの演奏は聴かせてくれました。が、それ以上のものは聴けませんでした。今日からコロナ禍で続けていたSD(ソーシャルディスタンス)対応の座席配置は終了し、全座席が開放されました。そういう気の緩みもあったんでしょうか。鉄壁のアンサンブル、弦パートの美しい響きは最後まで聴けませんでした。何かの事情で十分なリハーサルが積めなかったとしか思えません。あるいは10月に予定されていたジョナサン・ノット指揮の目玉コンサートが中止になったことも影響しているのかしらね。

やはり、東響のレベルをここまで引き上げてきた音楽監督のジョナサン・ノットの1日も早い来日が望まれます。海外音楽家の渡航許可は日本の文化振興にとっての急務であることを声を大にして、訴えたいと思います。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:尾高忠明(リオネル・ブランギエの代演)
  ヴァイオリン:川久保賜紀(アリーナ・イブラギモヴァの代演)
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  リャードフ:交響詩「魔法にかけられた湖」Op.62
  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第1番

   《休憩》

  バルトーク:管弦楽のための協奏曲 Sz.116


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のリャードフの交響詩「魔法にかけられた湖」は以下のCDを聴きました。

 ヴァシリー・シナイスキー指揮BBCフィル 2000年4月12-13日 マンチェスター、ニュー・ブロードキャスティング・ハウス セッション録音

美しく、まとまった演奏です。


2曲目のショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番を予習したCDは以下です。

  リサ・バティアシュヴィリ、エサ=ペッカ・サロネン指揮バイエルン放送交響楽団 2010年5月 ミュンヘン、ヘルクレスザール セッション録音
  ヒラリー・ハーン、マレク・ヤノフスキ指揮オスロ・フィルハーモニー管弦楽団 2002年、オスロ セッション録音

バティアシュヴィリの美しい響きの演奏は完璧に思えました。しかし、22歳のヒラリー・ハーンの演奏を聴くと絶句します。そのクールな演奏はこの曲の真髄の迫るものに思えました。ヒラリーの青春の残像です。以前聴いたオイストラフもさすがに初演しただけのことはあり、最高の演奏だった記憶があります。


3曲目のバルトークの《管弦楽のための協奏曲》は以下のハイレゾ音源を聴きました。

 フリッツ・ライナー指揮シカゴ交響楽団 1955年10月22日、シカゴ、オーケストラ・ホール セッション録音
 
とても古い演奏ですが、いまだに決定盤の地位は揺るぎません。ハイレゾで音質も素晴らしく、最新録音にも負けません。saraiが学生時代に衝撃を受けたのがこのLPレコードでした。併録されていた《弦と打楽器とチェレスタのための音楽》はさらに素晴らしい演奏で、これもいまだに決定盤の地位は揺るぎません。50年も座右に置き、繰り返し聴いている名盤中の名盤です。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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天野さん

saraiです。初めまして。コメントありがとうございます。ブログを書く励みになります。当日は快晴で素晴らしい日でしたが、夏の陽光がまぶしいほどで暑さに悩ま

09/27 14:15 sarai

充実した心豊かなご様子に励まされます.
情報、有り難うございました.
いつか、ふらっと訪ねてみたいです.

09/27 09:23 天野哲也

昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

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