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田部京子・矢部達哉・古川展生《室内楽コンサート》@上大岡ひまわりの郷 2012.10.12

すっかり秋めいてきました。秋といえば、やはり室内楽をじっくりと聴いてみたいですね。先週、上大岡ひまわりの郷コンサート・シリーズで吉野直子ハープ・リサイタルを聴きましたが、その際、今日の室内楽コンサートのことを知りました。日本を代表する演奏家たちが近場の小さなホールで室内楽を奏でてくれるのはとても嬉しいです。
実際、期待以上の素晴らしい演奏で感動しました。特に後半のピアノ3重奏曲の定番中の定番、ベートーヴェンの《大公》は大袈裟に聴こえるかもしれませんが、予習したオイストラッフ・トリオ、スターン・トリオ、スーク・トリオ、そして、ケンプ+シェリング+フルニエの演奏を吹き飛ばしてしまう快演で、終始、酔いしれました。ベートーヴェンの《大公》がとてつもない傑作であることが初めて実感できました。実は《大公》、そして、ピアノ3重奏曲は生で聴いたのは初めてだったんです。ピアノ3重奏曲は生が一番です。あのチェロの深い響きは拙宅のオーディオ装置では決して再現できません。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:矢部達哉
  チェロ:古川展生
  ピアノ:田部京子

  ベートーヴェン:ユダス・マカベウスの主題による12の変奏曲 WoO 45
  ブラームス:主題と変奏 Op.18(弦楽6重奏曲第1番第2楽章の作曲家自身のピアノ編曲)
  ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第1番《雨の歌》 Op.78

《休憩》

  ベートーヴェン:ピアノ3重奏曲第7番《大公》 Op.97

   《アンコール》 ドビュッシー:ピアノ3重奏曲より第3楽章

矢部、古川の両氏は東京都響の弦楽セクションを支える首席奏者で、毎月の定期演奏会でいつもご尊顔を拝見していますが、なかなか、ソロの音は聴いていません。ピアニストの田部氏は初聴きです。

前半のプログラムはベートーヴェンはともかく、ブラームスは不満だらけの演奏。あまり思い出したくないので、詳細には触れませんが、休憩時間に配偶者にsaraiは「日本人の音楽家はどうしてブラームスがちゃんと演奏できないんだ!」なんて暴言を吐いていました。《主題と変奏》は妙にピアノを響かせ過ぎて、ピアノのピュアーな音色が聴けませんでしたし、ヴァイオリン・ソナタはあの爽やかなロマンチシズムが表現できていませんでした。ベートーヴェンの《ユダス・マカベウスの主題による12の変奏曲》はチェロの古川展生の深い響き、力強い音楽表現で結構よかったんですが、ブラームスの2曲でその好演も消え去ってしまいました。

ということで、まったく期待していなかった《大公》です。この長大な曲、退屈するといやだなあと思いながら聴き始めました。
第1楽章はあの有名な主題から始まります。たーたーたーたーたー、たーたたーたーたーたーたー・・・。
いやもう、その素晴らしい響きに金縛りにあいました。あの聴きなれていた筈の旋律が実に新鮮に聴こえます。チェロの低音の深い響きはCDでは味わったことがありません。実はsaraiはかぶりつきのど真ん中で聴いていました。美しいヴァイオリンの高音の響き、ピアノの重厚な響き、それらが一体になって、saraiの耳を楽しませてくれます。長い筈のこの曲がアンサンブルの妙に聴き惚れているうちにあっという間に進行していきます。圧巻は第3楽章。ピアノの内省的な流れのとても美しい音楽が始まります。やがて、チェロ、そして、ヴァイオリンが絡んでいきます。思わず目頭が熱くなり、saraiの胸は感動で満たされます。これはベートーヴェンが書いたなかでももっとも美しい曲の一つです。後期の弦楽四重奏曲群、後期のピアノ・ソナタ群と肩を並べる傑作中の傑作です。美しく諦念に満ちた変奏が次々に続きます。最後に主題に戻った時の美しさといったら、何物にも例えられません。そして、そのまま、明るい第4楽章にはいり、うきうきした気分で曲が閉じられます。フィナーレでの余韻も感じました。素晴らしい快演です。こんな素晴らしい音楽がこんなにお手軽に聴けて、嘘のようです。演奏した3人の名手にブラヴォー!

アンコールはドビュッシー、もちろん、聴いたことのない曲です。チェロが甘いロマンを感じさせるメロディーを弾きます。これって、本当にドビュッシー? 印象派ならぬ、後期ロマン派の響きです。ロマンの香りに満ち、フランス的な気品も感じる美しい曲でした。

彼ら3人は素晴らしいピアノ・トリオです。できれば、前半もピアノ・トリオの曲を演奏してくれればなあと叶わぬ望みを配偶者に話しながら、ご機嫌でホールを後にしました。

今夜とまったく同じプログラムで11月7日に浜離宮朝日ホールでコンサートが予定されています。少なくとも《大公》だけは聴きものですよ。室内楽の好きなかたもそうでないかたも是非、足を運ぶことをお勧めします。

最後に駄話ですが、ピアニストの田部京子は初めて聴きましたが、とても綺麗なかたでした。saraiは音楽家を見栄えでは評価しませんが、美しさは罪ではありません。ねっ・・・



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       田部京子,

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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