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吉野直子ハープ・リサイタル@上大岡ひまわりの郷 2012.10.7

今日は上大岡ひまわりの郷コンサート・シリーズの2012年秋編の開幕コンサートです。実に珍しいハープ独奏のリサイタルです。
クラシック音楽でハープが主役の曲というと、モーツァルトの《フルートとハープのための協奏曲》、ヘンデルの《ハープ協奏曲》、ドビュッシーの《フルート、ヴィオラとハープのためのソナタ》あたりしか思いつきません。いずれも名曲ですけどね。しかし、ハープ独奏というと何も思い当りません。失礼ながら、クラシック音楽というよりもムード音楽のような気がしてしまいます。いずれにせよ、滅多に聴かない珍しい(saraiにとってですが)リサイタルなので、折角の機会を楽しみましょう。

今日のプログラムは以下です。

  ハープ:吉野直子

  J.S.バッハ=グランジャニー編曲:プレリュード(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番)
  ロゼッティ:ハープ・ソナタ第2番変ホ長調 Op.2-2
  クロフト:サラバンドとグラウンド ハ短調
  J.S.バッハ=オーウェンズ/吉野直子編曲:シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番)

《休憩》

  グランジャニー:コロラド・トレイル Op.28
  プレル:雨にぬれた庭
  ルニエ:黙想
  ドビュッシー=ルニエ編曲:アラベスク第1番、亜麻色の髪の乙女(前奏曲集第1巻)
  アルベニス=マクドナルド/ウッド編曲:入江のざわめき(マラゲーニャ)
  グリーディ:古いソルツィーコ

   《アンコール》 サルツェード:夜の歌

プログラムを見ると、オリジナルは別の楽器で編曲されたものが多いことに気が付きます。そして、saraiの知っている曲はすべて編曲されたものです。ハープ独奏の有名曲って、なさそうですね。
まずはバッハのプレリュードです。この曲らしく、小気味いいテンポできっちりとした演奏です。愛聴しているオリジナル曲のヒラリー・ハーンの演奏は天馬空を行くか如きで、それには及びませんが、なかなか気持ちよく聴けます。もし、原曲のヴァイオリン曲を知らなければ、すっかり満足して聴いてしまいそうな快調な演奏でした。バッハはそもそも楽器を変えて演奏しても、どの曲も立派に演奏できてしまうのが凄いですね。
次のロゼッティのソナタはまったく聴いたことのない曲ですが、典型的な古典派のソナタで一発で楽しめてしまう曲です。第1楽章は模範的なソナタ形式できっちり提示部の繰り返しもあるので、曲の把握が簡単で、退屈することもありません。古典派のピアノ・ソナタを聴いている気分で聴いていました。まあ、短いのもいいですね。
次のクロフトのサラバンドとグラウンドですが、特に前半のサラバンドはいかにも古いイギリスを感じさせる名曲でした。初めて聴いたのになにやら懐かしい感覚を抱いてしまいます。ハープには、こういう曲が似合うんですね。何度聴いても聴き飽きない思いを持ちました。今日のリサイタルは多彩なプログラムでハープの魅力を聴かせてくれるという趣向のようですが、こういうイギリスの古いハープ曲だけのプログラムのリサイタルなら、また聴きたくなりそうです。今日の一番の収穫でした。
前半の最後はバッハのシャコンヌです。大曲です。原曲はもちろん、ヴァイオリン曲ですが、ピアノで演奏されることもあります。ハープでの演奏にピアノでの演奏は比較的近いかと思い、事前にミケランジェリの演奏を聴いておきました。ミケランジェリの演奏はかなりピアノを強く響かせた演奏で違和感のある演奏でしたが、吉野直子のハープ演奏はまろやかで耳にすっとはいってくる感じで、これは吉野直子のハープ演奏に軍配をあげましょう。もちろん、ヴァイオリンの名曲中の名曲なので、シャコンヌはヴァイオリンで聴くと異次元の素晴らしさがあることは間違いありません。ハープでは、耳に心地よい音楽に流れてしまい過ぎます。ヴァイオリン演奏での高い精神性はほかの楽器では表現が難しそうです。

休憩後、19世紀から20世紀に作られた曲が演奏されました。
グランジャニーの曲は良くも悪しくもアメリカの音楽です。グローフェの曲を聴いている感じ。それにハープ奏者が作曲したということもあり、音楽の深さは感じられません。耳に心地よい音楽ではありますが、そういうのはsaraiの好みではありません。
それに引き換え、次のプレルの曲はドビュッシーのような印象派を思わせる内容で素晴らしく音楽的です。フランス音楽の粋を聴かせてもらいました。
次のルニエの曲はまあまあですが、これもいかにもハープ奏者がハープをムード的に聴かせようとするところがもうひとつに感じます。もっと、音楽的に掘り下げてほしいと感じてしまいます。
次はドビュッシーの有名ピアノ曲が2曲です。吉野直子のお話で、これらの曲はピアノよりもむしろハープに向いているという紹介がありましたが、なるほど、《アラベスク》は本当にハープ演奏にぴったりです。今後、この曲はピアノでなく、ハープで聴いてもいいかなと思うほど、見事な演奏でした。《亜麻色の髪の乙女》はピアノがいいか、ハープがいいか、結構、拮抗しています。ピアノ演奏は少し聴き飽きているので、ハープもいいかも知れません。《月の光》なんかはどうなんでしょう?
次はアルベニスの有名曲《入江のざわめき》です。原曲はピアノ曲ですが、一般的にはギターで演奏されることが多いですね。その場合、《マラゲーニャ》という名前でも呼ばれています。一応、予習のためにナルシソ・イエペスのギター演奏を聴いておきましたが、やっぱり、この曲はギターの名曲です。ハープの演奏は綺麗ですが、素直過ぎて、ギターの持つ魔力のような力に欠けます。
最後のグリーディの曲もスペインの曲ですが、正直、よく分かりません。頭の上を音楽が素通りしてしまいます。なんでしょうね。saraiには印象がどうしてもつかめない曲でした。
アンコールの曲はハープの新しい技巧をふんだんに盛り込んだ曲でした。アンコール曲らしい華やかさに満ちていました。

全体に吉野直子のハープ演奏はとても素晴らしく、いいものを聴かせてもらったと思いました。しかし、反面、ハープは少なくとも独奏曲には恵まれていないという印象を持ちました。もっとも、この分野はほとんど聴いたことがないので、初心者の単なる思い違いかも知れません。ヨーロッパでは竪琴の長い歴史があるので、古い曲には素晴らしいものがたくさんあるのかも知れません。

ところで、前回のこのコンサートシリーズで聴いたアンリ・バルダは当ブログでも大絶賛しましたが、このコンサートシリーズをプロデュースしている平井さんのメッセージによると、また、再来年にこのステージに再登場してくれるとのことです。あの強靭で音楽的なタッチの響きがまた聴けるかと思うと嬉しい限りです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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