驚愕!アンリ・バルダ ピアノ・リサイタル@横浜上大岡「ひまわりの郷」ホール 2012.7.8
その前に今日のプログラムは以下です。
ラヴェル:高雅で感傷的なワルツ
ラヴェル:ソナチネ
ラヴェル:クープランの墓
《休憩》
ショパン:24の前奏曲 Op.28
《アンコール》
ショパン:ワルツ第15番?
ショパン:ワルツ第19番?
昨日のファジル・サイのピアノ・リサイタルは最悪の状態で聴いてしまいましたが、今日は万全の体調と精神状態で100%の集中力でピアノ・リサイタル聴き通すことができました。それというのも、こんなに素晴らしいリサイタルをぼーっと聴くのは音楽ファンとしてはあり得ないことです。
ラヴェルの最初の曲の《高雅で感傷的なワルツ》は色彩豊かな響きに身を委ねるのみ。芯のあるタッチはエネルギーに満ちていますが、それでいて高域のお洒落な装飾音など、エスプリに満ちた演奏です。多彩な響きを堪能しているうちにこの長い曲集も気持ち良く終わります。特にテンポの速い曲の演奏が素晴らしく、この複雑極まりない曲でミスタッチひとつ聴き取れない完璧な演奏です。
《ソナチネ》は当日にプログラム追加された曲です。これは先ほどの曲よりもさらに色彩感あふれる演奏でとても素晴らしい響きです。力強く、そして、繊細さも兼ね合わせた圧倒的な演奏です。もちろん、ミスタッチらしきものもないパーフェクトな演奏です。ライブでこれほどの演奏ができるとは、一体、この人は何者なんでしょう。まさに驚愕の演奏です。
そして、前半の最後を締めくくった《クープランの墓》は彼がもっと弾けるよって誇示するかのような名演奏でした。第1曲《前奏曲》の豊かな響きには唖然とするばかりです。この曲が名曲だということを初めて理解させられる演奏です。そして、驚きの演奏は終曲《トッカータ》です。力強いリズムの連打に心躍ります。フィナーレの鍵盤中を駆け巡るスリリングでパワーフルな手の動きは尋常ではありません。まるで神が乗り移ったかのように恐ろしいまでの高揚感を聴衆にもたらします。鬼神のごとき演奏とはこのことです。ラヴェルのピアノ曲で大興奮してしまいました。
後半のショパン、ショパンらしい繊細さに満ちた演奏が始まります。ただ、重量感のあるタッチはそのままで、こういうスタイルのショパン演奏って、あまり聴いたことのないものではありますが、それでもしっかりとショパンの本質に沿った演奏で高い質の演奏です。ラヴェルのときのような明るく、色彩感のあるタッチではなく、強靭さを前面に出したショパンの美しい響きです。バレエ《レ・シルフィード》でも使われている有名な第7番を過ぎたあたりからの芯の強いタッチの演奏はもう素晴らしいとしか形容するしかないもので、第15番《雨だれ》はちょっとどうかなという感じで始まりましたが中盤以降の強靭なタッチは素晴らしく、第16番以降も高いレベルの演奏のままにフィナーレに突入していきます。最高に素晴らしかったのが最後の第24番です。これはCDも含めて、saraiの聴いた最高の演奏でした。思いがけず、こういう素晴らしい演奏に遭遇するのは音楽ファンとして、こんなに嬉しいことはありません。
アンコールのショパンは曲目不明です。ワルツということですが、耳慣れた曲ではありません。家に帰ってCDで聴き直してみましたが、上に書いたのはsaraiの推測で間違っているかもしてません。お分かりの方はご教示ください。いずれにせよ、本編の演奏同様に素晴らしいショパンでした。
今回の来日でも、まだ朝日浜離宮ホールのリサイタルが7月12日の夜7時からあるようですから、余裕のあるかたは是非とも聴かれることをお勧めします。演奏の質の高さはsaraiが保証しますよ!
saraiもまた機会があれば、絶対に聴きたいピアニストの一人です。
なんだか、明暗分かれた2日間のピアノ・リサイタルになりました。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!

- 関連記事
-
- 東京都交響楽団定期演奏会@サントリーホール 2012.7.19
- 驚愕!アンリ・バルダ ピアノ・リサイタル@横浜上大岡「ひまわりの郷」ホール 2012.7.8
- ファジル・サイ ピアノ・リサイタル@鎌倉芸術館 2012.7.7