辻彩奈の優雅な響きのヴァイオリンにうっとり@東京芸術劇場コンサートホール 2021.1.23
今日は珍しく、ほぼラヴェルだけの曲を並べたコンサートです。たまにはいいかもしれません。
さて、辻彩奈の演奏ですが、彼女なら、これくらい弾くだろうという期待通りの演奏です。それ以上ではなかったのが残念と言えば、残念。やはり、もう少し、いいヴァイオリンを誰かが貸与してくれれば、ヴァイオリンの響きがさらに輝かしくなるような気がします。
最初のショーソンの詩曲ですが、実に艶やかな演奏です。超絶技巧もさりげなく演奏し、その優雅な演奏は彼女の若さを考えると驚異的です。音楽的表現も見事なものでした。
続くラヴェルのチガーヌですが、これも素晴らしい演奏。実にさりげなく演奏するので、簡単な曲だと思えてしまうほどです。もっと突っ込んで奔放な演奏をしてもらいたくもありますが、余裕のある弾きっぷりも聴き応え十分ではありました。スケールの大きな演奏でした。コパチンスカヤの個性的な演奏にも比肩するほどの完成度の高い演奏でした。
そうそう、辻彩奈のアンコール曲は日本人作曲家の現代音楽でしたが、これはとても突っ込んだ演奏でショーソンやラヴェルの安定した演奏とは異なっていて、満足して聴けました。
今日のコンサートは辻彩奈の素晴らしいヴァイオリンが聴けただけで十分に満足しましたが、沼尻竜典指揮のN響も繊細で美しいラヴェルを聴かせてくれました。とりわけ、マ・メール・ロワは響きの多彩さに感銘を覚えました。
今日のプログラムは以下です。
指揮:沼尻竜典
ヴァイオリン:辻 彩奈
管弦楽:NHK交響楽団 コンサートマスター:白井圭
ラヴェル:組曲「クープランの墓」
ショーソン:詩曲 Op.25
ラヴェル:チガーヌ
《アンコール》権代敦彦:Post Festum ~ソロ・ヴァイオリンのための Op.172 第3曲
《休憩》
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
ラヴェル:バレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全曲)
最後に予習について、まとめておきます。
1曲目のラヴェルの組曲「クープランの墓」は以下のCDを聴きました。
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2017年8月13日 ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ セッション録音
今や、ラヴェルについてはロト指揮レ・シエクルが定番のスタンダートと言えます。文句ない演奏です。
2曲目のショーソンの詩曲 Op.25は以下のCDを聴きました。
アルテュール・グリュミオー、マニュエル・ロザンタール指揮コンセール・ラムルー管弦楽団 1966年3月 パリ セッション録音
こういうフランス系の音楽ではグリュミオーは素晴らしい演奏を聴かせてくれます。
3曲目のラヴェルのチガーヌは以下のCDを聴きました。
アンネ・ゾフィー・ムター、ジェイムズ・レヴァイン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 1992年11月 ウィーン セッション録音
ムターで悪かろう筈がありません。
4曲目のラヴェルの亡き王女のためのパヴァーヌは以下のCDを聴きました。
アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団 1962年9月26,27日,10月2,3日 パリ セッション録音
定番の録音です。ほっこりした演奏。
5曲目のラヴェルのバレエ音楽「マ・メール・ロワ」(全曲)は以下のCDを聴きました。
フランソワ=グザヴィエ・ロト指揮レ・シエクル 2017年8月13日 ブローニュ=ビヤンクール、ラ・セーヌ セッション録音
前述したように、ラヴェルでは今や決定盤。素晴らしい演奏です。
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