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ヒラリー・ハーン+サロネン2回目@サントリーホール 2010.6.2

ヒラリー・ハーン、恐るべき凄いヴァイオリニストです。
5月30日の東京芸術劇場のあのパーフェクトだった演奏を遥かに上回る演奏をサントリーホールで聴かせてくれました。

何が違ったのか、考えましたが、気品の高い演奏に加えて、人の温かみを感じさせてくれる演奏でした。天上の音楽ではなく、血の通った人間の音楽です。
また、荒々しいところは少しもない優しげな演奏で、激しいパートも十分抑制が効いて、美しさが崩れることは決してありません。

ともあれ、演奏は最初の1フレーズを聴いただけでグッときてしまいました。もう、あとはうるうる状態。上記のような分析的な聴き方はまったく不要で、ただただ、彼女の美しい響きに身を委ねて、陶然としていました。
それにしても何という響きの美しさ!
1音1音が光り輝く滴のように、saraiの耳だけでなく、全身にふりかかってきます。

これはチャイコフスキーなのか、何なのか、もう判然としなくなります。
ただそこにあるのは、ヒラリーの奏でる美しい響きだけ・・・

第1楽章の後半のカデンツァにはいると、やっと、これは間違いなく、チャイコフスキーだと思い至ります。
なんと美しい響きでしょう。saraiは終始、緊張状態を強いられていましたが、ヒラリーは集中しつつもリラックスした演奏のようです。
会場はみな固唾をのむ緊張状態で、まるでそこに人が存在しないかのごとく、シーンと静まりかえっています、
「時間よ止まれ」状態で活動しているのはヒラリーだけ。
それにしても、サントリーホールの聴衆は日本最高の聴衆ですね。あんな聴き方を全員一致でできるのは凄いことです。

この金縛り状態のカデンツァから、いよいよ、第1楽章の終結部へと進みます。
ヒラリーはナチュラルにテンポをすっとあげていきます。
なんと見事な演奏でしょう。
saraiはもう気絶寸前です。
そして、完璧なフィニッシュ!

また、第2楽章はゆるやかなメロディーを美しい響きで奏でていきます。
とりわけ、ピアノッシモの見事なこと、言葉もありません。
夢のようにこの楽章も終わり、第3楽章へ。

小気味良いテンポの演奏はヒラリーの真骨頂。
ただ、このあたりまでくると、もうsaraiが持ちません。
あまりの緊張感の持続に耐えかねて、集中力が切れかかります。
フィナーレの高揚感とともに、茫然自失状態。

アンコールの2曲が少し高揚感を静めてくれました。

 イザイ:メランコリア
  とても静かで美しい曲です。それを完璧な演奏で飾ってくれました。

 バッハ:ジーグ(無伴奏ヴァイオリン・パルティータより)
  美しくも楽しい曲です。やはり、ヒラリーのバッハは最高。
  無伴奏の全曲リサイタルをやってくれないかなあ。

ヒラリーは今日も東京芸術劇場と同じく真っ赤なドレスでした。
サイン会にも惹かれましたが、もう既にもらっているので、アンコール2曲のプレゼントのほうがずっと嬉しいなと思いながら、パスしました。

そうそう、サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団にも触れないといけませんね。

1曲目はサロネン作曲のへリックス。
さすがに2回目なので、やっと、曲がつかめてきました。
短いフレーズとリズムを繰り返しながら、古典的な展開とか変奏ではなく、複雑な響きの変化をしていく曲です。多彩な響きの変容が見事です。
似たようなコンセプトの曲では、ラベルのボレロがありますが、あんな単調さはないので、sarai好みかもしれません。
今日は面白く聴けました。
サロネンは音楽性の高い人ですね。

チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を挟んで、最後はシベリウスの交響曲第2番です。
大変な熱演でした。
ただ、saraiはもうヒラリーの演奏で精力を使い切ったので、ただ、ぼーっとして聴いていました。

ゴメンナサイ!!

少しだけ、印象を言うと、サロネンの指揮が静寂音から大音響まで、ダイナミックに音楽を表現しようとしていて、その意図はよいと思いますが、それについていけるオーケストラは抜群の大合奏力を誇るシカゴ響か、美しい響きの極致を演奏できるウィーンフィルなど、ほんのわずかの超1流オーケストラに限られるという感を抱きました。

で、サロネンが振るウィーンフィルのマーラー9番はどうなるでしょう。
音楽ファンとしては、ますます興味津津になりました。

あっ、それとヒラリー・ハーンの次の来日コンサートは来年の3月にあるようですね。また、楽しみになりました。



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この記事へのコメント

1, ハルくんさん 2010/06/05 08:37
おはようございます。

ヒラリー良かったみたいですね。このコンサートも聴きたかったのですが、平日なので断念しました。
サロネンも数年前にLAの本拠地でロスフィルとのマーラー7番を聴いてとても良かった記憶が有ります。でもやはり9番はウイーンフィルで聴きたいですよね。チケットGET頑張りましょう!

2, saraiさん 2010/06/05 14:35
コメントありがとうございます。

ヒラリーはますます進化しています。
CD以上にライブは最高です。
マーラーの9番はウィーンフィルの美音で聴きたいですね。
でもチケット高いですね。破産です。

3, ひろし@杉並さん 2010/07/06 22:48
はじめまして。ヒラリー・ハーンを検索していたら、たまたま遭遇しました。6月2日のサントリー、私も行きました。私的には今シーズン、もっとも感動したコンサートでした。マーラーの9番、ロンドン、サントリー、両方行くつもりです。財布はピンチですが…。

4, ひろし@杉並さん 2010/07/06 22:49
はじめまして。ヒラリー・ハーンを検索していたら、たまたま遭遇しました。6月2日のサントリー、私も行きました。私的には今シーズン、もっとも感動したコンサートでした。マーラーの9番、ロンドン、サントリー、両方行くつもりです。財布はピンチですが…。

5, saraiさん 2010/07/07 13:52
はじめまして、はじめまして、saraiです。
コメントありがとうございます。

ヒラリー、感動でしたね。来年の3月も行きましょう。
いま、チューリッヒでオペラ見てます。
昨夜は「魔弾の射手」、今日は「ばらの騎士」、さすがに高いレベルの公演です。

ではまた。
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ジャンル : 音楽

       ヒラリー・ハーン,

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