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ゴルトベルク変奏曲はやっぱり最高! 曽根麻矢子 バッハ 連続演奏会@ハクジュホール(Hakuju Hall) 2021.3.4

やはり、音楽は聴いてみないと分からないものですね。何となく、これまで敬遠してきたチェンバロの曽根麻矢子を聴いてみる気になりましたが、それが素晴らしかったんです。そもそもは彼女がスコット・ロスの弟子というのに惹かれました。誰それの弟子というのは往々にして、眉唾なことが多いのですが、今日のコンサートの後半では、彼女がスコット・ロスの弟子というのがそれなりに実感できました。その演奏スタイルの明快さとチェンバロの響きが透明で繊細なことです。チェンバロって、意外にうるさい響きを感じることもありますが、スコット・ロスと同様にとても美しい響きでした。ところで彼女が継承したというスコット・ロスの愛用したチェンバロはどうなったんでしょう。今日、曽根麻矢子が弾いたチェンバロは彼女のためにスイスの職人が作ったものだそうです。

今日の前半、冒頭のアリアは納得できる美しい演奏。ただ、その後の第1変奏から第15変奏までは聴いているsaraiの集中力が不足して、あまり、耳に残りません。演奏はよかったような気もしますが、音楽は一方通行ではなく、演奏者と聴き手がコミュニケートするものだということです。別に寝落ちしたわけではなく、音楽に身が入らなかっただけです。

休憩後、第16変奏から始まります。ここから、saraiの集中力がぐっと上がり、何となく、曽根麻矢子の演奏の質もぐっと上がったような気がします。ともかく、テンポ感というか、リズムのノリが抜群です。微妙なテンポの揺れが心地よく感じます。それにチェンバロの鍵盤のタッチの軽さも相俟って、切れのよい超絶的な演奏です。ただの1音も聴き洩らさらないように聴き入ります。第16変奏以降、すべての変奏が素晴らしい演奏です。第20変奏、第23変奏という、チェンバロの2段鍵盤の曲はさすがにチェンバロならでは高レベルの演奏です。そして、第24変奏の耳慣れたメロディーに心躍ります。次のト短調の第25変奏の悲しみを湛えた美しさに感動します。まさに心に沁み入ってくるような演奏です。この第25変奏を聴くだけでも、この日の演奏を聴いた甲斐がありました。一転して、第26変奏の高速パッセージも素晴らしい音楽です。第27変奏は最後のカノン。9度のカノンです。最後を締めくくるにふさわしい素晴らしいカノンの演奏です。そして、第28変奏、第29変奏は高潮していきます。ゴルトベルク変奏曲は不眠に悩むヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵のために書かれたという逸話が有名ですが、この終盤の盛り上がりでは、ますます、不眠に陥ること、間違いなし。この逸話が誤りであることは一聴して分かります。あくまでもコンサートを聴く聴衆のために書かれています。激しく高潮した音楽も第30変奏のクオドリベットquod libet(ラテン語で「好きなように」を意味する)で美しく、静謐な音楽に落ち着きます。曽根麻矢子の見事な構成感によって、音楽の素晴らしさを堪能します。
最後はダ・カーポで美しいアリアに回帰します。冒頭のアリア以上の美しい演奏でした。

アリアに始まり、アリアに回帰するゴルトベルク変奏曲。曽根麻矢子はこれから5年に渡るバッハの連続演奏会をバッハの偉大な傑作、ゴルトベルク変奏曲で開始しました。その連続演奏会は最後にゴルトベルク変奏曲に回帰して終結するそうです。5年後のゴルトベルク変奏曲はさらなる飛躍を遂げるのでしょう。しばらくは曽根麻矢子のバッハから目を(耳を)離せません。

最初はたった1曲だけのコンサートなのかって思っていましたが、この1曲だけで本当に十分でした。充足しました。うーん、バッハの鍵盤音楽は最高です。

今日のプログラムは以下です。

  曽根麻矢子 バッハ 連続演奏会  《BWV》 Ⅰ ゴルトベルク変奏曲

  チェンバロ:曽根麻矢子

  バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 アリア~第15変奏

   《休憩》

  バッハ:ゴルトベルク変奏曲 BWV988 第16変奏~アリア


最後に予習について、まとめておきます。

予習はもちろん、夭逝した天才チェンバロ奏者スコット・ロスの残した晩年の録音を聴きました。

 スコット・ロス 1988年 セッション録音 EMI

1985年のライヴ録音も素晴らしい演奏ですが、1988年の録音がsaraiの長い間の愛聴盤です。よりテンポがゆっくりでかみしめるように弾いています。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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最終公演に行きますが、ムーティ&ウィーン・フィルは渾身の力で凄い演奏を聴かせてくれますよ。特にシューベルトは有終の

11/09 22:13 sarai

尻上がりに素晴らしくなりました!
あの弦の響きにもうハマるのですよ!
あと2公演ありますが、もう既に同じプログラムを2回演奏しているので、ますます良くなるか、ち

11/09 10:56 えりちゃ

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